“幸せ爆弾”の衝撃

漫画/田丸こーじ

何気なくFacebook を開いた途端に目に飛び込んでくる「結婚しました!」の一言と、誰かの幸せそうなツーショット。

まるで奇襲をかけられたかのように浴びせられる”幸せ爆弾”に昔はいちいち身構えたり、勝手にショックを受けたりしていたこともあったけれど、この歳になるともうすっかり慣れっこになってしまって、片っ端から無表情にいいね!を押しまくるマシーンと化しています。

でも、さすがにまだ心がかき乱されてしまうものですね、元カレの結婚報告ともなると。

遠い思い出がリフレイン、思わず遠い目

別に未練があるワケじゃないし、もう遠い思い出の人となっていたはずの元カレ。けれど久しぶりに見た幸せそうな笑顔に(私と付き合っていた頃も、いろんな楽しいことがあったなあ)とさまざまな記憶がよみがえります。旅行したり、家でのんびりしたり、たがいの友人を交えて遊んだりもしました。その時隣にあったのも、きっとこんな笑顔だったはず。

”なんでもないようなことが 幸せだったと思う”という有名な歌詞がつい、頭の中でリフレインします。

それでも今、彼が将来をともに歩むべく選んだのは私ではなく、写真の中で肩を寄せあって微笑むどこかの知らない女性なのです。彼女と私はいったいどこが違ったんだろうと、思考はズブズブ暗い方へと沈んでゆきます。

私と彼の間にはなかった、すべてを包む愛

楽しかった思い出もたくさんあるけれど、同じくらいたくさんのうまくいかないことがあって、私たちは別れました。だからつい(彼と結婚を決めたこの彼女は、コイツのあんな欠点もこんな悪癖も許せたんだなあ、すごいなあ)なんて皮肉めいたことも考えてしまいます。

けれど同時に(彼女には、私が彼を困らせたようなイヤな性格もよくない習慣もなかったのだな。短所も許してもらえたんだな)とも気づかされます。たがいの気に入らないところも合わない部分も受け入れていくという決意。かつての私たちには到底できなかった決意。二人の愛の大きさと勇敢さに、私はひとりタジタジとなってしまいます。

いいね! そして、そっと閉じる

とはいえ、私が今歩んでいるこの毎日だって、自分で決めて選んだ道です。愛や希望なんてすぐには見当たらないけれど、確かに「自分の道」。失敗したわけじゃない、後悔しているわけじゃない、私もいつかは私なりの幸せを掴むことができる。自身に言い聞かせながら、やはり無表情にいいね!ボタンを押して、そっとFacebook のウインドウを閉じるのでした。

元カレと、彼が選んだどこかの可愛い彼女、おめでとう。どうか末永く幸せでいてください。

(コラム:眞駒/@ameni1952

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