ニルヴァーナのカート・コバーンが愛した「ビート・ジェネレーション」の作家たち

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音楽が好きな人であれば、今日4月5日が何の日かと聞かれたらピンとくる人がいるのではないか。

1994年、今から22年前にショットガンで自分の頭を撃ち抜いて自殺したニルヴァーナのヴォーカリスト兼ギタリスト、カート・コバーンの命日(死体の発見は8日だったため推定)である。

カート・コバーンについては説明の必要はないだろう。90年代前半に世界を席巻したバンド、ニルヴァーナを率いて『ネヴァーマインド』『イン・ユーテロ』といった名盤を世に出し、人気絶頂の1994年に自ら命を絶った。

その言動、ファッション、音楽性すべてが今にいたるまで多くのフォロワーを生んでいるあたり「伝説的人物」というほかないが、そんな彼をして影響を受けたものの一つに「ビート・ジェネレーション」がある。

「ビート・ジェネレーション」は1960年代中ごろから約10年間、主にアメリカで活動していた特定の作家たちを指す言葉で、ウィリアム・バロウズやジャック・ケルアック、アレン・ギンズバーグといった作家が含まれる。彼らのどこか厭世的で時に奔放な作風はヒッピーカルチャーとの相性が良く、その層からの支持を得て、「ビート・ジェネレーション」はアメリカを超えて世界に知られるようになった。

『裸のランチ』(ウィリアム・バロウズ)


「ビート・ジェネレーション」を代表する作品としてあまりにも有名なのがウィリアム・バロウズの『裸のランチ』である。これは実際にカートも好んで読んでいたとされる。
 
ひとことで言えば、ものすごく読みづらい。筋がないのに加えて登場人物もつかみにくく、幻覚を見ているような感覚すら覚える。それと関係あるかはわからないが、バロウズはほぼ生涯を通じてドラッグを使用しつづけながらも83歳まで生きたツワモノだ。
ちなみに、バロウズは晩年ポエトリーリーディングでカートと競演し「the "Priest" they called him」という音源を残している。

『ギンズバーグ詩集』(アレン・ギンズバーグ)


多くの詩や散文を残したギンズバーグも、まさしく「ビート・ジェネレーション」の中心人物だ。
 
『ギンズバーグ詩集』に収録されている「吠える」がことに有名。荒木一郎の楽曲「僕は君と一緒にロックランドにいるのだ」にその一節がそのまま使用されている。
前述のバロウズとの共著『麻薬書簡』は日本のサブカルシーンでも人気が高い。

『町でいちばんの美女』(チャールズ・ブコウスキー)


敗者、落ちこぼれ、社会不適合者を書いたらブコウスキーに勝る者はいない。
メインストリームからこぼれ落ちた人間たちから見たアメリカ、夢など見られない落ちこぼれのアメリカにはどうしようもないロマンがある。
 
バロウズと並び、カートが特に好んだ作家として挙げているのがこのブコウスキーである。

『オン・ザ・ロード』(ジャック・ケルアック)


2013年に映画化されたことで知名度が一気に上がったこの作品。日本で「ビート・ジェネレーション」といえばこの作品を挙げる人が多いのではないか。

曲者揃いの「ビート」の作家の中にあって案外ストレートで読者を選ばないのがケルアックの特徴である。その意味では入門書としては最適だ。

「ビート・ジェネレーション」の作家は多くが1910年代〜1920年代生まれ。生きていれば100歳を超えている。それほど昔の本が今もなおたくさんの人をひきつけ、読み継がれていることは筆者としてはちょっとした驚きであり、文化というものの強さを改めて感じさせられる。

22年前の今日、カートの死によって止まってしまったニルヴァーナの音楽もそうなることを願うばかりである。
(山田洋介)

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