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米Amazon.comがスマートフォンビジネスに乗り出し、同社オリジナルの端末を市場投入していたことを憶えているだろうか? 同社は2014年夏に「Fire Phone」のブランド名で携帯端末ビジネスに参入したが、販売台数などの成果や後継機を発表することもなくそのままフェードアウトしていった。そして現在、2つの"Android"スマートフォンをラインナップとして引き連れて同市場に戻ってきた。

今回発表されたのは「BLU R1 HD」と「Moto G」の2種類で、名前からもわかるように「BLU」と「Moto」という既存ブランドの製品を、Amazon.com経由で販売する形となっている。その最大の特徴はAmazon Primeメンバー向けに、SIMロックフリー端末を「50ドル引き」で販売する点にあり、BLU R1 HDは通常であれば99.99ドルだが49.99ドルに、Moto Gは通常199.99ドルが149.99ドルにそれぞれ値引きされる。

この50ドル引きは、「広告と個別プロモーション」をロックスクリーンに表示させることで実現している。ユーザーはバーターとして安価にAmazon.comからSIMロックフリー端末を購入できる。またSIMロックフリーのため、米国であればBLU R1 HDはAT&TまたはT-Mobile、Moto Gは米国内の大手キャリア4社すべてに対応する。

Amazon.comはかつて「Fire Phone」を発売する際、同社Kindle Fireと同じくAndroid OSを独自にカスタマイズした「Fire OS」を採用した。そのため、Android端末の特徴であるGoogle Play Storeアプリやその関連機能を利用することができなかった。この問題は後にストアアプリを追加する手段が用意されたことで回避されたが、本来Amazon.comのコンテンツを楽しむための端末としてFire Phoneが提供されたこともあり、普及の阻害要因のひとつだったといわれる。

また、Fire Phoneは、値段の高さでも話題となった。当初Fire Phoneがリリースされた際には、契約縛りなしの販売価格で650ドル、AT&Tの2年契約時で199ドルと、実際に製品自体のスペックは高かったものの、iPhoneとほぼ同等の値付けを行ったことにより苦戦したといわれている。実際、AT&Tは、Fire Phoneの2年契約時の販売価格を3カ月も経たずに99セントまで値下げした。Amazon.comが提供する契約縛りなしのモデルも、1年をかけて段階的に値下げし、2015年夏には100ドル付近まで価格が下がった。このタイミングでAmazon.comのサイトから商品が消滅し、実質的に携帯ビジネスから撤退したと考えられている。

今回、比較的安価な既存モデルを用意し、これに広告やプロモーションを結びつけることでさらに販売価格を下げてユーザーを取り込む作戦は、おそらく上記での独自開発とユーザーニーズからの乖離を反省してのものだと考えられる。Amazon Primeユーザー向けの優遇策の一環という側面もあり、昨今の同社の戦略を濃く反映したものだといえる。

(Junya Suzuki)