2016年5月に開催された「SEABAスタンコビッチカップ」でのフィリピン代表チーム   著者撮影

男子バスケットボールのリオデジャネイロ五輪世界最終予選が7月4日から始まった。セルビア、フィリピン、イタリアの3会場に分かれて6カ国ずつが争い、それぞれのトップに立った国が五輪出場権を手にする。日本は女子がすでに3大会ぶりの五輪出場を決めているが、男子はこの世界最終予選に望みをかける。

 
近年、日本の男子バスケット界は混迷が続いていた。昨年には国内の男子リーグ分裂を理由に国際バスケットボール連盟から国際試合禁止の制裁を科されるまでに事態は悪化。その後、川淵三郎会長の就任によりリーグが統一され、今年9月には新たなプロリーグ「Bリーグ」が開幕するところまでこぎつけた。男子は1976年のモントリオール大会を最後に五輪出場から遠ざかっているが、40年ぶりの出場で日本バスケット界の未来を照らしたいところだ。

????????????????????????????????????2016年5月に開催された「SEABAスタンコビッチカップ」の様子   著者撮影

東南アジアには、あまりバスケットボールのイメージはないだろう。タイを筆頭にほとんどの国々ではサッカーがナンバーワンスポーツであり、バスケットの影は薄い。だが、そのなかで、東南アジアで唯一バスケットがスポーツ界の最上位に位置する国がフィリピンだ。今回、日本とグループは違うものの、フィリピンも五輪出場をかけて世界最終予選に出場する。

????????????????????????????????????2016年5月に開催された「SEABAスタンコビッチカップ」の様子   著者撮影

歴史的にアメリカ文化の影響を強く受けるフィリピンでは、バスケットが古くから愛されてきた。フィリピンを訪れると、その熱の高さがいたるところで感じられる。街中にはバスケットのゴールが自然に置かれており、ストリートバスケを楽しむ子供たちの姿をよく目にする。空港などのテレビでもバスケット中継が流されていることが多く、どれも東南アジアでは珍しい光景とえる。

IMG_16080マニラのストリートバスケの風景   著者撮影

歴史を振り返っても、フィリピンは初めてオリンピックでバスケット競技が行われた1936年のベルリン大会から5大会連続で出場しており、計7回のオリンピックを経験。アジア選手権でも1970年代前半までは上位進出が当たり前で、アジア王者にも5回輝いている。1954年の世界選手権(現ワールドカップ)ではアジア歴代最高位の3位に入るなど、アジアを代表するバスケット大国として君臨していた。

ところが、1970年代の半ば頃から国際舞台での戦績が一気にトーンダウンする。オリンピック出場も1973年のミュンヘン大会が最後。2005年には国内に複数の団体が存在していたことが問題となり、昨年の日本と同様に国際舞台から締め出されていた時期もある。

????????????????????????????????????2016年5月に開催された「SEABAスタンコビッチカップ」の様子   著者撮影

だが、2007年に新団体SBP(フィリピンバスケットボール連盟)を立ち上げて復帰すると、近年は復活の兆しを見せ始めている。2013年には自国開催のアジア選手権で準優勝を果たし、36年ぶりにワールドカップ出場。リオデジャネイロ五輪予選も兼ねて行われた昨年のアジア男子バスケットボール選手権でも準優勝しており、準決勝では日本を下した。

最新の世界ランキングでは、フィリピンは中国(14位)、イラン(17位)に次ぐアジア3番手のポジションで、世界28位にランクイン。48位でアジア8番目の日本よりも、はるかに上位に位置している状況だ。世界最高峰NBAでのプレー歴があるフィリピン系の選手らの活躍もあり、フィリピンはアジアのバスケット大国として復権しつつある。

????????????????????????????????????2016年5月に開催された「SEABAスタンコビッチカップ」の様子   著者撮影

東南アジア全体でも近年、にわかにバスケット熱が高まる機運がある。2009年には東南アジアエリアの実力向上を目指し、ASEAN諸国のクラブが集まって行われる「ASEANバスケットボールリーグ」がスタート。年々、盛り上がりを見せており、タイなどでも新しいバスケットコートがつくられるなど、東南アジアのバスケット界に新しい風が吹き始めている。

バスケットボールにおいて、東南アジアを引っ張るのはフィリピンであるのは間違いない。日本同様にオリンピックへの道のりは険しいが、東南アジアのバスケット界をさらに盛り上げる原動力となるような健闘を期待したい。40年ぶりの五輪を目指す日本の戦いとともに、「東南アジアの雄」フィリピンにもぜひ注目してみてほしい。

 
(text & photo : 本多 辰成 )

 

スポーツコラム「スポーツが繋ぐ! 東南アジアと日本の新時代」
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