ただ“抜けばいい”わけじゃない!糖質制限のデメリット3つ

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「食事中の糖質を抜くだけで、後は何でも好きなものが食べられる」という手軽さで人気の“糖質制限ダイエット”。

抜けば抜くほど短期間で痩せられるということで、中には極端に糖質を制限してダイエットをする人もいるようです。

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しかし、そんな極端な糖質制限をして本当によいことばかりなのでしょうか?

今回は、管理栄養士の筆者が、栄養学的な見地も含めて「糖質制限をすることで受けるデメリット」を3つお話したいと思います。
(1)食物繊維が不足しやすくなる
食物繊維は、身体にとってさまざまな良い働きをしてくれる栄養素です。

例えば、腸の中に住んでいる腸内細菌の善玉菌のエサになって増えるのを助けたり、糖質の吸収を緩やかにしたり、余分なコレステロールを吸着して体の外に出すなどの働きがあります。

とくに最近は、体と心の健康、そして美容を考える上で腸内細菌は非常に重要視されていて、その腸内環境をよい状態に保つには食物繊維は欠かせない栄養素のひとつです。

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現在、日本人の食物繊維摂取量は成人男性が約13g、女性が約12g程度。目標量は男性が20g、女性が18gですから、全然足りていないのが現状です。

そして、糖質を含む穀物(お米、小麦など)や芋類、果物は豊富な食物繊維を含んでいます。つまり、これらを制限するということは、同時に食物繊維が摂取できる機会をも捨てることになってしまいます。
(2)栄養バランスが崩れる
栄養バランスのひとつに「PFC比率」というものがあります。

何やら難しい言葉ですが、エネルギー源になる3つの栄養素「たんぱく質(P)」「脂質(F)」「炭水化物(C、糖質)」のそれぞれの割合を示したものです。

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終戦直後の日本人のPFC比率は、「P : F : C =12.4 : 7.0 : 80.6」で、実にエネルギーの8割を糖質から摂取していました。

それが2009年では、「P : F : C = 13 : 28.4 : 58.6」と脂質が大幅に増えて、糖質が大きく下がっています。

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つまり、日本人は戦後、どんどん糖質を食べなくなってきたのです。糖質制限が正しいのであれば、日本人は健康になっていないとおかしいですよね?

でも、現実はそうならず、糖尿病や心臓病などの生活習慣病は増加の一途をたどるばかりですし、女性特有の病気も患者数が増えただけでなく、若年化しています。

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このうえ、さらに糖質を減らすというのはこれまでの日本人が経験したことのないバランスの食生活です。

その食生活をずっと続けていて将来的にどんな影響が出てくるのかは、まだ誰もわからないというのが現状です。
(3)食の楽しみが大きく損なわれる
「ごはん」という言葉自体が“お米”を意味するように、日本人にとってお米はソウルフードともいうべき食べものです。

しかし、糖質制限をするということは、このお米を食べなくなることに他なりません。

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これで食の楽しみが味わえるのでしょうか? そもそも日本食の料理というのは、お米を美味しく食べるために発展してきました。それ単独で食べても物足りなさを感じてしまうのは、そういう理由です。

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また、糖質はお米だけではなく、パンやうどん、パスタなども糖質です。

今や日本は、日本食だけでなく、世界中の料理がとても高いクオリティで楽しむことができる世界有数のグルメ国家です。

しかし、糖質を制限すると、こういった食の楽しみも常に制限がつきまとうことになります。

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そして意外と多いのが、「ごはんは残すけど、間食で甘いものはとる」という人です。この場合は糖質を結局とってしまっていますし、間食には少なくて、ごはんには含まれる食物繊維やビタミン、ミネラルなどがとれなくなってしまうのです。

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いかがだったでしょうか。確かに糖質制限は手軽ですが、問題なのは糖質そのものではなく、糖質のとり方やその他の栄養素のバランスや生活習慣です。

食べ方は生き方。簡単に糖質を切り捨てる食生活よりも、糖質をとりながら健康を守るような、賢く上手な付き合い方を会得して暮らした方が心豊かな生活が送れるのではないでしょうか。

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<プロフィール>

圓尾和紀

管理栄養士。ファスティングマイスター。総合病院勤務を経て、「予防医療に貢献したい」という思いから独立。「日本人には和食が一番身体に合っている」との考えから、和食の良さを伝える活動をしている。また、現代は”不自然な食べもの”にあふれており、定期的に身体をリセットする目的から、ファスティングを取り入れた生活の提案を行う。テレビや雑誌等のメディアにも出演。

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写真© Nishihama - Fotolia.com