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倉庫ロボットを使用して物流倉庫のオートメーション化を進めるなど、あらゆる作業が自動化されていくAmazonの中で、非常にアナログな役割を担うのが「Amazon書籍エディター」たち。エディターらは本を読み、書評を書き、内容に応じてランク付けするという、新聞が何十年もの間にわたって行ってきた「アナログな」仕事を今でも行っています。Amazon書籍エディターとは一体何なのか、どのような影響力を持っているのかについてThe Seattle Timesがまとめています。

How Amazon’s team of old-school book reviewers influences what we read | The Seattle Times

http://www.seattletimes.com/business/amazon/how-amazons-team-of-old-school-book-reviewers-influences-what-we-read/

Amazonで本を購入しようとする人は、ユーザーの購入履歴から推測される「オススメ」と、Amazonカスタマーレビューに加えて、Amazon書籍エディターによる「Editors' Picks」から選択肢を得ることができます。エディターらはさまざまなカテゴリ別のオススメの本を毎月ピックアップし、半年ごとに「上半期の最良の本20冊」といったリストも発表しています。これらのリストは市場に大きな影響を及ぼすこともありますが、批評家や研究者から批判されることも少なくありません。

現在のAmazon書籍エディターチームは、出版社ハーパーコリンズの元副社長サラ・ネルソン氏によって取り仕切られています。

ネルソン氏によるとAmazon書籍エディターらの目的は知識人たちの文学に留まらず幅広い本を視野に入れ、最終的に本を販売すること。選んだ本が世間一般に広まることではなく、あくまで「読者とAmazonがつながること」を目的としているそうです。そのため、2016年6月にAmazon書籍エディターチームによって「1年で最も優れていた本」として選ばれた本は文学作品ではなく、植物学者ホープ・ジョアン氏の伝記「Lab Girl」でした。

このようなAmazon書籍エディターチームの姿勢に対して「ビジネスとして成功しているという点ではなく、書籍を真剣に読み読者に影響を与えているという点で、チームの行いは賞賛するに値する」という声もありますが、一方で「単にもうけだけを目的としている」という批判も存在します。

ネルソン氏がAmazonの書籍エディターチームに入ったのは2012年の夏。ネルソン氏がチームリーダーとして就任してまず行ったことは、エディターチームの編成でした。この人選が非常にユニークで、新たに編集者として選ばれた人の中には、ユーザーとしてAmazonに書籍レビューを頻繁に書いていた「本の虫」も存在するとのこと。例えばチームの1人であるエイドリアン・リアン氏はもともとAmazon社員ではなく自主出版でロマンス小説を書いていた人物。また、2009年までハーパー・コリンズで販売部門の代表を務めていたセイラ・ウィルソン氏は、現在Amazon書籍エディターの一員として料理・児童書などを扱うとともに、青春文学の専門家としての役割も担っています。この他、元書店経営者などもおり、さまざまな経歴を持つ人々が集まっているAmazon書籍エディターチームは、かなり特殊なものとなっています。



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Amazonのユーザーは多種多様な人物なので、エディターらの読書時間も偏りがないようにする必要があります。賞賛され人気を集めている本だけではなく、「Amazonユーザーを楽しませる本」を読まなければなりません。時には、Amazonで本を購入する側の一般ユーザーが、エディターらが読むべき本を教えてくれることもあるとのこと。

そして、月に1度、エディターらは歴史からビジネスに至るまで15のカテゴリー別に「必読」である本を発表しています。ニュースサイトのThe Christian Science MonitorBusiness Insiderはこのリストをピックアップしており、紹介された本が流行することも多いことから、Amazon書籍エディターが行うことのうち、もっとも影響力が大きいものの1つでもあります。

2016年6月初頭にも、2016年上半期で最良の本20冊を決めるために、それまでに選ばれた「毎月のオススメ」38冊を持って多くの人が会議に集まりました。いくつかの本をオススメのリストから削除するのは難しく、社員らが「憂うつな本を選びすぎないように」「でもこれは依存症から抜け出すための方法を教えてくれているよ」「トップ5からトップ50に枠を広げたら?」といったやりとりを経て、最終的に選んだのが「Lab Girl」だったわけです。

選んだ本について、社員らは「この本はすばらしい」という自信を持っていますが、一方で選ばれた本が売れるのか、知識人らに受け入れられるのかは事前に予測するのが難しいとのこと。Amazonの「最良の本」リストに関しては「科学的・客観的に選ばれた文学賞など存在しないが、それでもAmazonによって与えられたトロフィーには疑念が残る」として批判されることもありますが、しかし、セレステ・ンー氏の「Everything I Never Told Yo」は2014年にAmazonで「最良の本」として選ばれたことをきっかけに人気を博したと考えられており、Ng氏の本を出版したPenguin Press広報は「Amazonのエディターチームやその他の人々の熱心なサポートには非常に感謝しています」と語っています。



by David Luders