WEEKLY TOUR REPORT
【米ツアー・トピックス】

 スペインの新星ジョン・ラーム(21歳)が、タイガー・ウッズがホストを務めるクイッケン・ローンズ・ナショナル(6月23日〜26日/メリーランド州)で鮮烈なプロデビューを飾った。

 プロゴルファーとして初のラウンドとなった初日、前半11パットと冴えわたるプレーを披露して「64」をマーク。いきなり首位発進を決めて、大きな注目を集めた。

 残念ながら、プロデビューで即優勝という快挙は果たせなかったが、4日間通算13アンダー、3位タイでフィニッシュ。プロ人生の第一歩を、幸先よく踏み出したと言える。

 2週間前の全米オープンまで、ラームの名前を聞いたことがある、という日本のゴルフファンは少なかったのではないだろうか。しかし、あの難コースのオークモントCCを攻略し、アマチュアで唯一予選通過を果たして、世界中にその名が知られるようになった。

 その全米オープンでも、ラームは随所で素晴らしいプレーを見せた。3日目には、12番パー5で第3打のアプローチをチップイン。ボールにバックスピンをかけてイーグルを決めると、会場から割れんばかりの歓声が上がった。

 そして、同大会を23位タイでホールアウトし、ローアマを獲得。その直後にプロ宣言し、ホストのウッズからスポンサー推薦を受けてクイッケン・ローンズ・ナショナルに出場した。

 改めてラームの経歴を振り返ってみると、何とも華々しい限りである。

 スペインのバスク地方バリカの出身で、現在21歳。母国でゴルフをはじめ、大学進学の際に渡米。フィル・ミケルソン(46歳/アメリカ)やポール・ケーシー(38歳/イングランド)らが卒業した名門、アリゾナ州立大学ゴルフ部に入った。

 それからメキメキと頭角を現し、NCAA(全米大学体育協会)で2年連続の最少平均ストロークを獲得。最も優秀なカレッジゴルファーを毎年1回選出する『ベン・ホーガンアワード』も2度受賞している。さらに、世界アマチュアランキング1位にも輝いて、まさに将来を嘱望される逸材となった。

 毎年、欧州アマか、全米アマのあとに世界アマチュアランキングトップだった選手には、『マーク・マコーマックメダル』が贈られるが、ラームは同賞も受賞。今年の全英オープン(7月14日〜17日/スコットランド・ロイヤルトゥルーンGC)の出場権を獲得した。

 プロに転向したことで、ラームはその権利を失ったが、プロデビュー戦となったクイッケン・ローンズ・ナショナルは、全英オープンのアメリカ予選会を兼ねている(全英オープンの出場権を得ていない上位4選手に出場権が与えられる)。結果、見事3位となったラームは、自力で全英オープンの出場権を獲得してしまったのだ。

 それには、ラーム自身、素直に喜んだ。

「全英オープンの出場権を放棄することはかなりつらい決断だったけど、(またこうやって)出られることになって本当にうれしい」

 一方、ラームをスポンサー推薦でプレーさせたウッズも、「僕たちの目に狂いはなかったよ」とラームを称え、その活躍ぶりに目を細めた。

 ラームは今後、残りのレギュラーシーズンでフェデックスカップ125位以内に相当するポイント獲得を当面の目標とし、来季のツアーメンバー入りを目指す。

「(クイッケン・ローンズ・ナショナルの)最初の2日間はすごく満足しているけど、決勝ラウンドではうまくパットを入れられなかった。それが残念だった。でも、PGAツアーで優勝争いすることが、こんなにエキサイティングなこととは思わなかった。それを味わうことができて、最高のプロデビューになったよ」

 スペイン人らしく、陽気な笑顔を見せるラーム。これからどんな活躍を見せてくれるのか、その動向から目が離せない。

text by Reiko Takekawa/PGA TOUR JAPAN