実際、昨年の欧州肝臓学会では、NASHの患者にビタミンEを投与すると医薬品と同等の改善が見られ、心臓への悪影響もないことが観察されたと報告されている。
 「そのため、ビタミンEの250〜500倍抗酸化作用が強いとされるサプリメントの『アスタキサンチン』に着目し、詳しく調べたところ、いい成績を得たという医療機関もあります」(同)
 この「アスタキサンチン」は、カニやエビなどに含まれる赤い色素で、体脂肪の増加抑制や眼精・筋肉疲労などに効果あり、化粧品や健康食品としても用いられている。

 ところで、「肝機能の数値だけで脂肪肝の深刻な度合いを判定するのは難しい」との一説を唱える人がいる。医学博士の内浦尚之氏だ。
 「肝機能の数値と治療の緊急性は、必ずしも一致しないからです。なぜかと言えば、脂肪肝を肝機能の数値だけでチェックしようとしても、脂肪が蓄積されているだけなのか、炎症や線維化を起こしているのか、今後、より進行して肝硬変、肝臓がんへ至りやすいのか、しっかりと組織を採取する生検をしなければ分からないからです。深刻度も生検で詳しく調べる必要がある。まず入院して出血などの合併症の有無を調査しますが、生検で見る肝臓の組織は、肝臓全体の5万分の1ほどなので“本当の状態”が分かりにくい。また、肝臓の左右の組織を取って生検した場合、それぞれの状態(脂肪肝がどの程度進行しているか)が一致するのは5割ほどという報告もあります」

 最近では、NASHの状態をMRIで検査できるという研究結果が発表され、高い評価を受けている。
 あとは、生検で見えない「肝臓全体がどれくらい硬くなっているのか」の判断が一つの大きなポイントとなる。
 前出の内浦医博は、さらにこう説明する。
 「肝臓は均一に硬くなっていくと言われてきましたが、MRIで硬い場所とそうでない場所があることも実証されました。今後は、より詳細な重症度の分類に役立てられるでしょう。現段階では、脂肪肝の判定は生体が基本になっていますがが、脂肪肝の状態をチェックできるMRIの普及で変わるかもしれません」

 別の専門家もこう言う。
 「MRIで、肝臓の脂肪の蓄積具合(脂肪化)がどれくらい線維化し、硬いかが分かる。しかし、炎症や肝細胞の破壊がどの程度かは、生検でなければ分かりません。ですから、まずMRIで深刻な脂肪肝の有無を調べ、深刻であれば必要に応じて生検でさらに検査をする流れで、脂肪肝の適切な治療を行うことが望ましい」

 患者側は、まずは「脂肪肝の深刻性」をしっかりと認識し、正しい治療を受けなければならない。