慰安婦問題をめぐる昨年末の日韓合意から半年。日本政府が10億円を拠出する支援財団設立は遅れ気味で、ソウルの日本大使館前の少女像もそのままだ。資料写真。

写真拡大

2016年7月2日、日本と韓国の懸案だった慰安婦問題が一応決着してから半年が経過した。両国間の合意に基づき、韓国政府は日本政府が10億円を拠出する支援財団設立を急いでいるが、めどは立っていない。ソウルの日本大使館前の少女像もそのままで、慰安婦を追悼する新たな公園の工事も始まった。

聯合ニュースによると、韓国外交部報道官は日韓首脳会談から半年の節目となる6月28日の記者会見で、「合意を忠実に履行していくことが重要だ」との姿勢を重ねて示した。その上で、「被害者の意見を聴きながら、名誉と尊厳を回復し、心の傷を癒やすことができるよう最善の努力を傾けている」と述べ、「被害者主体という原則に基づき、合意の履行に最善の努力をしている」と繰り返し強調した。

韓国政府が国会に提出した資料になどによると、財団設立に向けては、5月末に準備委員会(委員長=金兌玄・誠信女子大名誉教授)が発足。元慰安婦の女性に1人ずつ面会して合意内容や事業について説明を続けている。

韓国政府は当初、上半期(1〜6月)中の設立を目指していたが、元慰安婦らとの話し合いや定款づくりなどに予想より時間がかかっているとされる。準備委は調整が終わって定款が確定すると女性家族部に財団の設立を申請し、同部の許可を得て正式な発足の手続きを踏むことになる。

しかし、あくまで「日本政府の公式謝罪」を求める声も根強い。韓国メディアの取材に応じた元慰安婦キム・ボクトンさん(90)は「私たちは国民や市民団体のおかげで不自由なく生活している。必要なものはお金ではなく名誉の回復だ。『申し訳なかった』の一言も聞けずにお金をもらっても、何の意味もない」と主張した。

こうした中、市民団体が中心となった「日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶財団」(正義記憶財団)が6月9日、公式に発足した。ハンギョレ新聞によると、10万人を超える市民の自発的参加で10億3523万ウォン(約9200万円)が集まったという。

一方、新しい追悼公園「慰安婦記憶の場」が建設されるのは、ソウル・南山近くの韓国統監官邸跡。統監官邸は1910年に日韓併合条約が締結された場所でもある。6月29日に起工式が行われ、8月15日の光復節(日本による植民地支配からの解放記念日)の完成を目指す。

聯合ニュースによると、昨年11月に市民団体や学界、文化界の関係者を中心に公園建設の推進委員会が結成され、6月28日までに約3億4000万ウォン(約3000万円)の募金が寄せられた。公園には母性で世界を抱くという意味をこめた造形物や、慰安婦被害者の故キム・スンドクさんが描いた絵を使用した壁画を設置する。推進委は「戦争犯罪の被害者でありながら、平和と人権の運動家として活躍した慰安婦被害者のハルモニ(おばあさん)たちを記憶に刻み悼む場所になる」としている。

韓国政府に登録された慰安婦被害者は238人。このうち生存者は昨年末の合意時点で46人だったが、現在は41人(国内38人・海外3人)に減っている。日韓合意を実現するまでに残された時間は多くない。(編集/日向)