おおさか維新が政党交付金をダミー団体にプールし国庫への返還逃れ!? 橋下は「国に返す」と宣言していたのに

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 このところ、すっかり鳴りをひそめてしまった橋下徹氏の「東京都知事選出馬」の動き。しかし、橋下氏とおおさか維新の会の政界における存在感は、決して小さくはなってはいない。

 というのも、今回の参院選では、改憲勢力が3分の2を握るかどうかが焦点になっており、おおさか維新がそのキャスティングボートを握る可能性が高いからだ。

「いくら大勝しても自公だけで3分の2はかなり難しい。おおさか維新は橋下氏が表舞台からいなくなったことで勢いを失っていますが、それでも、安倍政権が改憲を実現するためには欠かせない存在になる。参院選後に与党入りする可能性もかなり高いでしょう。もちろん、その動きの中心にいるのは橋下氏です。橋下氏は今、テレビでレギュラー番組をもっているために、表立ったおおさか維新の応援活動は行っていないが、今でも彼が同党の司令塔であることは全く変わっていないし、菅官房長官とも相変わらず頻繁に連携を取り合っている。橋下氏自身の東京都知事選出馬はまったくなくなったわけではないし、都知事選に立たなくても、次の衆院選に出馬することになるでしょう。そして、安倍首相とともに改憲に突き進んでいくはずです」(全国紙政治部記者)

 そう考えると、「おおさか維新」というのは、自民党以上にタチが悪い存在といえるかもしれない。裏では安倍自民党と完全に結託しているにもかかわらず、さまざまな局面で「ダブルスタンダード」を使い分け、自民党の戦前回帰的な志向や金権体質とは違う顔を見せなから、耳触りのいい言葉で世論を煽り、改憲という安倍政権の掲げる最終目標に誘導していく。そのやり口はまさに詐欺的と言っていい。

 実はここにきて新たに、そのおおさか維新のダブルスタンダード、詐術が明らかになった。

 おおさか維新が自民党との差別化として掲げている姿勢に「まずは自ら率先して国会議員の既得権益を改革する」というのがある。

 たとえば、選挙戦がスタートした6月25日、おおさか維新の会党首の松井一郎大阪府知事は、舛添要一前東京都知事の「政治とカネ」での辞職を意識しつつ「日本一給料の安い知事」を強調。「身を切る改革。実現できているのは大阪だけ。これを全国に広げないと」とぶち上げた。

 しかし、おおさか維新が実際にやっているのは、「身を切る改革」と真逆の行為だった。なんと、我々の血税から出た政党交付金をダミー団体にプールして、国への返還逃れをしていた疑惑が浮上したのだ。

 発端は、昨年の維新の党の"分裂騒動"だ。橋下氏と松井一郎大阪府知事の離脱を皮切りに、維新内の"大阪派"と執行部の対立が激化、結果、橋下氏たちはおおさか維新を立ち上げたわけだが、そのとき、政党交付金を巡って銀行口座を凍結するなど泥沼化したことは記憶に新しい。そして、今回浮上した疑惑も、この政党交付金の"行方"を巡ったものだ。

 橋下氏は、この分裂騒動の最中の昨年10月24日、ツイッターでこんなツイートをしていた。

〈維新の党はここまでの事態に陥った以上、いったん解党して政党交付金を国に返すべきだ。他党に回ろうとも今の維新の党が受け取る資格はない。有権者にお詫びして、皆リセットして一から出直し。そして次の選挙で審判を受ける。これしかない。維新の党の永田町組な何を考えているか分からない〉(原文ママ)

 実際には、維新の党は解党せず、離脱した大阪系らが橋下氏と新党を結成する形になったわけだが、この時点で、橋下氏は"政党交付金の返還"を明言していたことを覚えておいてほしい。しかも、全額返還するような口ぶりで。おそらく、橋下氏は交付金をめぐる内ゲバで低下した大阪系のイメージを「返還」を強調することで払拭しにかかったのだろう。

 しかし、その交付金の扱いの"実態"といえば、クリーンな「返還」とは程遠いものだった。昨年12月、残留組と大阪組は和解の文書で交付金を議員数に応じて配分することで合意し事態の決着をはかったのだが、これを報じた朝日新聞15年12月9日付にはこうある。

〈銀行通帳や印鑑を奪い合う泥仕合となっていた政党交付金の取り扱いについては、これまでの必要経費や、大阪都構想をめぐる大阪市の住民投票の運動経費5億円を精算し、残金を国庫に返納する。ただ、関係者によると、所属する国会議員の数に応じて、1人当たり約1200万円を配分する約束も交わしており、国庫への返納額はわずかとみられる。〉

 つまり、経費清算と約束した所属議員への分配を終えると、橋下氏が喧伝していた「返還」分はほとんど残っていなかったのである。

 これだけでも詐欺的としか言いようがないが、さらに姑息なのはここからだ。そもそも政党助成法では、交付金を受けていた政党や支部が解散などによって政治団体でなくなった場合、受け取った交付金に対して総務省が返還を命じることになっている。そして、維新の党の分裂騒動では、片山虎之助議員、室井邦彦議員、藤巻健史議員(いずれも参院)ら離党組が代表を務める多数の選挙区支部が解散している。ひらたく言うと、その選挙区支部が受け取った政党交付金を使い切らなかった場合、国庫に返さねばならないのだ。

 しかし、現在法務省が公開している前述の離党組3名が代表を務めていた維新の党選挙区支部の政治資金収支報告書を確認してみると、妙なことに、昨年度までの繰越金を含めた収入と、2015年の支出がぴったり差し引き0円になっている。念のため総務省に問い合わせたところ、解散する政治団体の収支を0円にしなければならないような規定はないという。そして、収入欄の政党交付金についての記載を見てみると、揃いも揃って、奇妙としか言いようがない"カネの流れ"が見て取れるのだ。

 例えば、片山虎之助議員が代表を務めていた「維新の党参議院比例区第1支部」の2015年分政治資金収支報告書によれば、「参議院比例区第1支部」は15年12月18日に、「維新の党本部」から「交付金に係る収入」として500万円を得ている。室井議員の「参議院比例区第53支部」、藤巻議員の「参議院比例区第63支部」にも、同日に同額を交付金として本部から受け取っている。

 これらの選挙区支部は年内に解散するにもかかわらず、師走の18日に受け取った500万円を含む政党交付金を"本当に使い切ったのか?"という疑問が湧いてくる。

 そこで、支出欄をチェックしていくと、本部から政党交付金を得たあと、年末にそれぞれ、約950万(第1支部)、約1100万(第53支部)、約420万(第63支部)という大金を「なんば維新」なる聞きなれない団体に寄付していたことがわかる。これはいったい何なのか。

 総務省公開の資料を調べてみると、「なんば維新」なる団体の届けがあったのは昨年12月11日。その所在地は、現在のおおさか維新の会とまったく同じ。しかも代表は島松洋一氏とある。実は島松氏は、おおさか維新の松井一郎氏の府議時代からの私設秘書で、府知事の特別秘書だった人物。島松氏は、松井氏が府議時代に社長を務めていた会社から給与を出していたことで12年10月に政治資金規正法違反容疑で大阪地検に刑事告発された後、秘書を退職したが、その後は日本維新の会の事務局次長、おおさか維新の会事務局長を務めるなど、松井氏の右腕中の右腕なのだ。

 このあまりにも怪しい急造政治団体への、うさんクサいカネの動き――。実は、このカラクリを、他ならぬ離党組で現・おおさか維新の会所属の足立康史衆議院議員が、先日5月26日、自身のツイッターで大暴露してしまっていた。

〈維新の党の残金は、当面の必要経費を除いて国庫に返納しました。必要経費については、残留組は維新の党として年越しできましたが、おおさか組はできません。そこで、なにわ維新という暫定の箱を作って年越しした次第です。ザッツオール。〉(原文ママ)

 足立議員が言及している「なにわ維新」なる政治団体の代表者と会計責任者、そして住所は、疑惑の「なんば維新」と同一。また、「なにわ維新」の15年分収支報告書をみると昨年末をもって解散しており、収入支出ともに0円で寄付を受けた形跡はないから〈暫定の箱を作って年越し〉はできない。あきらかなペーパー団体である。ようするに、足立議員はこの名称が酷似した二つの団体、「なにわ維新」と「なんば維新」を取り違えてツイートしたとみるのが妥当だ。

 いずれにせよ、足立議員は"残金は国庫に返納しました"などと言っているが、これはどう考えてもおかしいだろう。確認だが、現在公開されている片山議員らの政党支部はそれぞれ、解散直前に受け取った政党交付金500万円を含む収入と支出が差し引き0円。誰がどう見ても、疑惑の寄付の原資が交付金である可能性は極めて高い。つまり、本来は国庫に返還しなければならない"使い切れなかった"交付金を、コッソリつくった別団体に一旦プールし、年明けにおおさか維新の会のほうに移した。そういうことだろう。

 というか、第53支部と第63支部の収支報告書をよく見れば、これは決定的と言わざるをえない。少なくともこの二つの支部は、交付金500万円を受け取った12月18日以降の支出が、疑惑の「なんば維新」への寄付以外、ほとんどないのだ。正確に言うと、第53支部が190万円程度、第63支部にいたってはわずか約16万円ほどしか使っていないのである。完全に、政党交付金の返還を回避するため、「なんば維新」に預けたことは間違いない。

 しかも、これはこの3つの支部が勝手にやった話ではないだろう。前述したように「なんば維新」の代表を松井一郎府知事の特別秘書がやっていることを考えると、党本部ぐるみの仕掛けとしか考えられない。

 繰り返すが、本来、解散した政治団体の交付金の残余は返納せねばならず、しかも、おおさか維新の会の最高顧問である橋下氏自ら「政党交付金を国に返すべき」と清貧じみたことを吹いていたのである。にもかかわらず、実際には、返納は少額どころか、ペーパー政治団体めいたものまでつくって、返還を回避していた。言うまでもなく、政党交付金の原資は血税である。これは、国民に対する裏切り行為にほかならない。

 本サイトは、おおさか維新本部と各支部に、この「なんば維新」への政党交付金プール問題を追及する質問状をファックスで送った。しかし、締め切りの期日である6月30日になっても一切返事はなかった。

 おおさか維新はこの政党交付金プールと国庫への返還逃れ疑惑を知らぬ存ぜぬで封じ込めてしまうつもりなのだろうか。

 こんな無責任な政党、議員たちが、「改革」を喧伝し、あたかも自分たちが、金権政治とは無縁な新しい政治をやろうとしているかのようなイメージをふりまいているのだから、開いた口がふさがらない。

 橋下氏や松井一郎府知事はエラソーに舛添批判をして、「身を切る改革」などという前に、まずこの疑惑について説明すべきだろう。
(編集部)