米国のバイデン副大統領は中国の習近平国家主席との会談で、核・ミサイル開発を進める北朝鮮の説得を求める中、「日本は一夜で核兵器製造が可能」と発言したことを明かした。日本の核武装に言及した発言は内外に波紋を呼んでいる。資料写真。

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2016年7月1日、米国のバイデン副大統領は、中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席との会談で、「日本は一夜で核兵器製造が可能」と発言したことを自ら明かした。発言は習主席に核・ミサイル開発を急ぐ北朝鮮の説得を求める中で飛び出した。日本では禁句とされる核武装に言及した発言は、少なからず波紋を呼んでいる。

日本メディアなどによると、バイデン副大統領の発言は先月20日に行われた米公共テレビPBSのインタビューで明らかにされた。習主席との会談時期は明言しなかった。

会談で習主席は北朝鮮情勢に関して、在韓米軍への地上配備型迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」配備に触れ、「中国軍は米国が中国を包囲しようとしていると考えている」と反対。これに対し、バイデン副大統領は中国に北朝鮮への圧力を強めるよう促し、「日本は実質的に一夜で核武装できる能力を持っている」と語ったという。

バイデン発言は、北朝鮮が核・ミサイル開発にこのまま突っ走れば、危機感を抱いた日本が対抗して、中国が最も警戒する核武装に踏み切る恐れがあるとあえて例示。米中の連携がなければ、日本の核保有があり得るとの認識を伝えたとみられる。

参院選の応援で全国各地を飛び回る菅義偉官房長官に代わり、24日に記者会見した世耕弘成官房副長官はバイデン発言について「(日本が)核兵器を保有することはありえないことだ」と否定。「非核3原則」に言及し、「日本政府の重要かつ基本的な政策として今後も堅持していく」と強調した。

その上で、核に関する法制度として「国内法上は原子力基本法によって、日本の原子力利用は平和目的に極めて厳しく限定されている」と説明。「国際的にも核兵器不拡散条約(NPT)の非核兵器保有国として、核兵器の製造や取得などを行わない義務を負っている」とも述べた。

米国務省のカービー報道官も、バイデン発言について「米国は日本の防衛に十分な責任を持っている」と指摘。副大統領とは別に、日本の核保有を認めない従来の立場を明確にした。

日本の核武装については、米大統領選の共和党候補指名が確実視されるトランプ氏も今年3月の米紙とのインタビューで容認する考えを示し、物議を醸した。その後、さすがのトランプ氏も「そんなことは言っていない」と軌道修正を図っている。

習主席との会談でバイデン副大統領は「北朝鮮がハワイやアラスカはもちろん、米本土まで攻撃できる核兵器の開発を進めている事実をはっきり認識するよう求めた」という。副大統領は、米上院外交委員長などを長く務めた外交通。オバマ政権ナンバー2が日本を引き合いに出した真意をめぐっては、さまざまな臆測を招いている。(編集/日向)