主人公が全然出てこない理由「ファイアパンチ」10話

写真拡大

Web無料漫画配信サービスジャンプ+にて、「ファイアパンチ」第10話が配信されている。10話にしてやっと話の軸が定まってきた気配。


クビだけになって久しいアグニ、今話に至ってはそのクビさえも出てこなかった。これで全話中半分がクビだけ、もしくは登場していない。序盤にしてこの主人公の放っておかれっぷりは異常だ。

トガタにはなぜバトルシーンが用意されるのだろう?


トガタがカメラを片手にイワンとその他モブをぶっ飛ばす回。悪者が殺されるのが久しぶりだ。今までアグニが敵を倒すシーンは全て省略されていた。それはアグニの強さを引き立たせるという意味があったのかもしれないが、あまりにも頑なな省略っぷりは少し不自然だった。

しかし、今話はなんと華奢な文科系少女トガタが暴れる暴れる。爽快なバトルシーンが10ページに渡り描かれていた。なぜアグニのバトルシーンは省略するのに、トガタの場合は描くのだろうか?

家も映画も全てを燃やされて、自暴自棄になり爆薬で自殺を試みるも超強力な再生能力者のトガタは死ぬことが出来なかった。そこで部下から耳にしたのはアグニの噂。映画が無いなら撮ってしまえばいい。監督はトガタ、主人公は燃える裸の男アグニ、そしてイワンに捕まっていた少女ネネトをカメラマンに抜擢したところで今話は終了。

なんか少年ジャンプっぽいやつが出てきたぞ!


おかしなことにこの漫画は、第一話以降主人公であるアグニの人間的な魅力、思考などはほとんど描かれていなかった。ただ復讐がしたいという感情のみでストーリーが動かされていた。

しかし、トガタは違う。確かに性格は掴みどころがないし、過去も明らかにされていない。謎だらけなのは間違いないが、トガタが何をしたい人間なのかはハッキリと描かれている。仲間も増えた。夢に向かってワクワクドキドキの表情も見せた。ここで気づいたことがある。トガタって超ジャンプの主人公っぽい!人を殺しまくってるのになんだかとってもルフィっぽい。

「ファイアパンチ」の主人公は、もしかしたらアグニではないのかもしれない。アグニは単なる主人公という符号を受け取っただけで、その魅力を活かそうと奮闘するトガタの物語なのかもしれない。トガタが「アグニ面白い!」と思うところに共感して行くのがこの漫画の楽しみ方なのかもしれない。そう考えると、アグニにバトルシーンが無く、トガタにあるのも合点がいく。アグニが無口なのは、きっとお喋りなトガタが代わりに喋ってくれるからだ。

アグニが主人公ではないというのはさすがに早計かもしれないが、トガタの登場でアグニの見え方も変わってくるだろう。今までアグニが全然出てこなかったのは、トガタがまだ出てこなかったからなのではないだろうか?次回は7月4日配信予定だ。
(沢野奈津夫)