女性誌『Suits WOMAN』で注目を集めた「貧困女子」。これは普通の毎日を送っていたのに、気がつけば“貧困”と言われる状態になってしまった女性たちの体験談。

今回お話を伺ったのは・吉田瞳美さん(仮名・32歳)。彼女の現在の仕事は、ある人権団体の事務職員で年収は120万円。もちろんそれだけでは生活ができないので、家賃分の4万円を稼ぐために夜は自宅近くの居酒屋さんの厨房でアルバイトをしています。

「今の仕事は新卒時から10回以上の転職を経て、ようやく落ち着いた働き方。今までに1年に1回は転職したし、一時期は山口県の実家に帰ったこともあったのですが、親との関係が最悪なので、結局、東京に戻ってきました。東京は誰も私に興味を持たないから、とても居心地がいいです」

聞けば、瞳美さんは四谷にある難関大学を卒業しています。女優・木村多江さんにちょっと似ているスレンダーな美人……というかガリガリ体型。持っていた北欧のスーパーマーケットのトートバッグをほめると、恥ずかしそうに笑う顔がチャーミングです。きっとモテるのではないでしょうか?

「その通りといえばそうなのですが、私はダメ男ばっかりひっかけてしまうんですよね。大学2年生のときにナンパされて付き合ったのは、当時イケてた劇団の役者さんでした。当時30歳くらいだったかな。大人の恋をしているんだと舞い上がっていました。彼は表現や芸術にすごいこだわりがあって、家にゴダールやタルコフスキーのビデオやDVDがたくさんありました。服はフランス製、靴とクルマはドイツ製、バッグはイタリア製と自分だけのルールがあり、“女は家で男を待っているものだ”という古風な考え方の持ち主でした」

その彼に瞳美さんは貢いでしまいます。

「貢ぐというと語弊がありますよ! 私がしていたのは、彼が好きな食べ物を用意する費用を私が出しただけ。毎月5万円くらいだったから、バイト代でなんとかしていました。親に内緒で半同棲していたあの頃が一番幸せだったのかな」

しかし、彼は4年間浪人しても大学受験に失敗したという過去を持っていた。

「だから私に対する学歴コンプレックスがすごかったですよ。“大学をやめろよ”とか言ってきたし。何をするにも支配的で暴力的だったのですが、それを愛されていると思ってしまったんですよね。私をボコボコにした後に、“愛しているんだ、不安なんだよ”と大人の男性に泣かれてクラッと来ない20歳の女子はいないと思いますよ」

支配される=愛されていると思う人は、優等生だった女性に多いと感じます。

「私は高校までずっと学年トップでしたよ。田舎ですることもなかったし。大学も学費がかなり免除されたから進学できたんです。大学の成績もよかったです。スペイン語と英語をモノにしましたからね。でも、彼に出会って交際している1年間の成績はガタガタでしたが別れてから復活」

完璧主義な母親から認められたいという思いが、優秀な成績につながる

そこまで勉強できたのは、母親から嫌われていたからだという瞳美さん。

「母は完璧主義で、子育ても非の打ち所がないようにしようと頑張る人でした。特に勉強は100点以外認めなかった。だから、私はずっと勉強していたんです。今でも覚えているのは、小学3年生の10月、うっかりして90点を取ってしまったんですよ。すると“1問間違えた”って怒鳴り散らされて、外に出されてしまって。母と父は険悪な関係で、私が外に出されて泣いているときに父が帰って来ると、“なんで外に出していたんだ”と母と大ゲンカになる。その原因を聞かれると母は泣きながら“瞳美が悪い成績をとった。勉強しない”と父に言う。父は家庭に全く興味がないから、私がいつも100点を取っていることを知らない。で、“お前が悪い”となる。一事が万事、そういうことの繰り返しです」

瞳美さんはガリガリともいえるような細身の体型をしています。もしかして拒食症なのではと伺うと、迷った末にそうだと答えます。

「太ることに対する恐怖はあります。私の体重は30kg台で、BMI値は15(痩せすぎと言われる基準が18.5)なのですが、これでも太っていると思いますよ。最初に付き合っていた彼が、細い少女体型の女の子が好きだったので、何日も水だけで過ごすなどをしていたら、気持ちよくなって。食べ物をあまり受け付けなくなりました。でも猛烈に食べたくなる時もあるんですよ」

スパゲティは「自炊の場合の最安の主食」という女性は多い。

瞳美さんが夜中に過食の衝動がおこったときに、生のスパゲティをぼりぼりかじる〜その2〜へ続きます。