池水雄一氏
’13年の大暴落以来、長きにわたり低迷していた金が、今年に入り急騰している。欧州に日本も続き、世界が「マイナス金利」時代の様相を呈するなか、躍進する実物資産の雄・金への投資でどう儲けるか? 徹底ガイドする

◆3年にわたり低迷していた金がついにV字回復!

’13年の大暴落から長らく低迷していた金が、年初から急騰し、復活の兆しを見せている。金市場に何が起きているのか。

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 図を見ながら、金相場の歴史を振り返ってみよう。’80年代から’90年代にかけて金価格(NY市場)は1トロイオンス=250〜400ドルで低迷していたが、’04年に金ETFが登場すると市場は一変する。金ETFは、発行体が投資された金額と同じ量の金現物を購入、保管する。つまり、現物の裏付けがある金ETFは、金そのものへの投資に等しいのだ。それまで金に投資したくても叶わなかった年金基金など、機関投資家の資金が金ETFに大量に流入し始め、これに連れて金価格は上昇を続けた。

◆’11年に史上最高値するも、’13年から低迷の時代に

 さらに’09年にリーマンショックが起きると、アメリカのQEをはじめとする世界的な金融緩和によって莫大な流動性が金市場に注ぎ込まれ、’11年には中東情勢が不安定化した「アラブの春」、リーマン後から燻り続ける欧州のソブリンリスクを追い風に、9月には史上最高値の1923ドルに到達。「有事の金」の力を証明してみせた。ICBCスタンダードバンク東京支店長の池水雄一氏が、当時を振り返る。

「あの頃は、アメリカをはじめ、世界中の国がお札をバンバン刷っていました。マネーの量が増えれば、当然その価値は下がり、投資家にすればお金じゃないものに資金を移動させたいと考える。そこでコモディティに資金が流入したわけですが、なかでも金にはそのもの自体に普遍的な価値がある。有史以来、金は重んじられ、腐ったり、物質として変化することもない。こうした特質を持つのは金だけなのです」

 翌’12年、調整局面に入った金は1530〜1800ドルのレンジ相場に突入したものの、高水準を維持していた。ところが’13 年、わずか2営業日で200ドルを超える大暴落に見舞われ、金は1360ドル台にまで値を下げたのだ。マーケット・ストラテジィ・インスティチュートの亀井幸一郎氏が、その背景を解説する。

「’13年に金は大きく売られ、1年で26%もの下げ幅を記録しました。ここから金の苦難の歴史が始まった……。’13年に大きく下げた原因は、同年5月、アメリカがそれまで続けていた空前の規模の量的緩和策を『そろそろやめようか』と、バーナンキFRB議長が言い始めたから。実際にQE3が終了したのは’14 年11月でしたが、『やめようか』と米当局が口にしただけで大きく下げたのです。金相場は、先食いによって先行して動くんですね。その後、相場はまた下落し、直近での安値は昨年の12月3日の1045ドル。原因は、同月16日に発表されたアメリカの利上げです。つまり、ここでも発表に先行して金は下げたわけです」

◆昨年末の米利上げで金はV字回復!

 ところが今年に入ると、金は猛烈に値を上げ、年初来高値を続々と更新。5月には1300ドルに迫り、わずか5か月で実に250ドルも急伸した(図参照)。

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「年末年始で、金市場は180度変わった。昨年末まで3年にわたり世界にマネーをじゃぶじゃぶに供給してきたアメリカのQE3が終わり、FRBは利上げに踏み切った。それまでの3年間、ずっとドルが買われ、一方でほかの通貨は売られ、ドルへの一極集中が続いていた。要は、ヘッジファンドをはじめとする機関投資家が、アメリカの利上げを見越してドルを買いまくっていたのです。そして、現実に利上げが行われると、ドル一辺倒だったマネーの流れが一変。金に流入した結果、V字回復を遂げたのです」(池水氏)

 現在、あまりの急騰に金は調整し、1200ドル台前半に位置するが、ジム・ロジャースなど世界的投資家が熱い視線を注ぎ、前途は有望に見える。

【亀井幸一郎氏】
山一證券、ワールド・ゴールド・カウンシル企画調査部長などを経て、マーケット・ストラテジィ・インスティチュート代表取締役

【池水雄一氏】
ICBCスタンダードバンク東京支店長。住友商事を皮切りに、クレディ・スイス銀行、三井物産で一貫して貴金属ディーリングに従事

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