世界が使う「6年分のヘリウム」がタンザニアで見つかる

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声を変える以外にも、医療やエネルギー分野で使われるヘリウム。あと30年で枯渇するともいわれるこの貴重な資源が、タンザニアの地底に大量に埋まっていることがわかった。

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タンザニアの大地溝帯(Great Rift Valley:アフリカ大陸を南北に縦断する巨大な谷)の地下に溜まっていた大量のヘリウムガスが、科学者たちによって発見された。

発見されたのは世界最大のヘリウムガス地帯のひとつとなったが、ヘリウムガスが意図的に見つけられたのは今回が初めてである。これまでに見つかっているものは、人々が原油などを掘っている間に偶然発見したものばかりであり、それも少量だった。

オックスフォード大学とダラム大学の研究者グループは、今回発見されたヘリウムガス地帯の一部だけでも540億立方フィートのガスを含んでいると推定している。実に地球上の年間ヘリウム消費量の6倍以上だ。ヘリウムはMRIスキャナーや溶接装置、原子炉に必要不可欠な物質で、基本的には自然ガスから抽出されている。

宇宙において2番目に多い成分であるヘリウムは、太陽で大量に生産されるが、地球上では貴重な物質だ。2010年にノーベル賞を受賞した物理学者ロバート・リチャードソンは、世界のヘリウムがあと30年で底をつく可能性があると警告していた。

だが、今回見つかったガス地帯によって、ヘリウムが枯渇するのを遅らせることができるかもしれない。発見されたヘリウムは、120万台のMRIスキャナーを使うのに十分な量である。ちなみに1,000億個の風船を膨らませて、それで15億kgの重量を持ち上げることも可能だ。

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研究者チームは、地溝帯の火山活動によって古い岩に閉じ込められていたヘリウムが放たれ、それが浅いガス地帯に溜まることを発見した。しかし、役に立つヘリウムが産出されるためには、正しい場所にガス地帯ができる必要がある。もし火山に近すぎる位置にガスが溜まると、二酸化炭素のような火山ガスによってヘリウムの濃度はかなり薄まってしまうのだ。

「わたしたちはいま、ヘリウムの放出と火山ガスによる希釈のバランスがちょうどいい『ゴルディロックスゾーン』(宇宙のなかで生命が生きるのに適した領域を指す言葉)を見つけようとしています」とダラム大学地球科学部のディヴィーナ・ダナブラムは言う。

火山活動がヘリウムのある場所を探すためのいい指標になることがわかったいま、研究者やヘリウム資源の調査を行う会社ヘリウムワンは、この知識を使ってほかの巨大ガス貯留地を探し出そうとしている。