さあ、面白くなってきた。7月1日の記者会見で、U-23日本代表の手倉森誠監督はどんな18人を明らかにするのだろう。

 6月29日に行なわれた南アフリカ戦とのテストマッチは、ふたつの評価が折り重なる。

 ひとつ目はゲームの入りかただ。相手の情報が少なかったとはいえ、南アフリカに序盤の主導権を握られてしまう。アフリカ勢特有の間合いやリーチに、頭はともかく身体が反応しきれていなかった。

 30分の失点はPKだった。守備の組織を崩されたわけではない。とはいえ、ここまでの時間帯でどちらのディフェンス陣が脅威を感じていたかと言えば、南アフリカではなく日本だっただろう。試合後の手倉森監督も、「あの入りかたをしていたら、リオ五輪では厳しい」と分析した。
 
 5月のトゥーロン国際では、先制点を与えることでゲームを難しくした。「こういうレベルで追いかける展開になるのは、やっぱりキツい」と大島僚太が振り返ったように、敗れた3試合はすべて先に失点をしていた。換言すれば、ビハインドを跳ね返せなかった3試合である。

 この日は違った。37分に中島翔哉のゴールで1−1の同点とし、45分には矢島慎也の一撃でゲームを引っ繰り返す。その直後にも中島が加点し、3−1でハーフタイムを迎えた。

「失点したあとも下を向くことがなく、やり続ける意識がみんなにあった」と、浅野拓磨は話す。2トップの一角で先発した彼は、後半開始直後の48分にチームの4点目を叩き出した。相手DFがボールの処理にもたついたところを、抜け目なく得点へ結びつけた。「リオでは先制点を取れるようにしなければいけない」と語る手倉森監督も、「失点で相手が怯んだときにたたみかけた。流れを読みながらゲームを運べた」と表情を緩めた。

 もっとも、松本山雅FCのホームスタジアム“アルウィン”に熱狂を運んだメンバーが、リオ五輪に出場できるとは限らない。OAに内定した興梠慎三、塩谷司、藤春廣輝は、今回の南アフリカ戦に招集されていない。ヨーロッパでプレーする久保裕也と南野拓実も同様だ。キャプテンの遠藤航は、ケガで出場を控えた。彼ら6人の選出は間違いない。

 当確ランプの点く選手はまだいる。櫛引政敏と中村耕輔の両GK、センターバックの植田直通、ボランチとサイドハーフをこなす矢島慎也、FWの浅野だ。チーム結成当初から植田とコンビを組んできた岩波拓也も、ケガからの回復にめどが立てば招集は濃厚と考えていい。

 ここまでで、すでに12人である。

 ポジションのバランスや個人の特性を考えれば、最終ラインの左右両サイドでプレーできる亀川諒史と室屋成も、メンバーに名を連ねるだろう。南アフリカ戦で復調を印象付けた中島も、自らの存在価値を証明した。

 大島も存在価値を高めている。所属する川崎Fとのスタイルの違いに、かつては戸惑いを感じさせることもあった。だが、ここにきてプレーの力強さを増し、ゴール前まで飛び出す回数も増えている。南アフリカ戦で中島があげた先制点も、彼のアシストから生まれたものだった。

 ここまでで、すでに16人である。

 あと2人しか、選ぶことはできない。手倉森監督はどうするのか。

 ひとつだけ、はっきりとしていることがある。U−20W杯出場を連続して逃し、谷間の世代と呼ばれた選手たちは、手倉森監督のもとで高い競争力を身につけてきた。
誰もが納得できる18人は、おそらく作れない。だが、手倉森監督がどのような18人を選んでも、誰もがその選考意図を理解することはできるはずだ。