夜景もキレイ! BT.709に比べると、BT.2020は断然色鮮やか

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「映画好き」と言われれば言われるほど、聞きづらくなるのが映像技術の一般常識。理解しているようでいて実はよく知らない。こっそり訊ねたら「そんなこと知らないの?」と呆れられそう。本コラムでは話題の映画ブルーレイを題材にしながら、いまさら聞けない映画の一般常識や用語についてお話していこう。

●今回のお題「BT.2020」
●オススメBlue-ray『アメイジング・スパイダーマン2』

ブルーレイを遥かに凌ぐ4K高画質パッケージソフト、UHDブルーレイについての最終回。今回は「BT.2020」について解説しよう。前回お話しした「HDR」(ハイ・ダイナミック・レンジ)と共に非常に重要なBT.2020は、新たに設定された色域規格のことだ。
 
BTとはBroadcasting Seivice Televisionの略。つまり「テレビ放送用」の「2020番目」の(国際)規格ということ。このBT.2020は4K/8K放送やUHDブルーレイに加え、映画館の色域規格にも採用される(海外では採用開始)。

BT.2020に対して、現行のHD放送やブルーレイ等では「BT.709」という規格が採用されている。世の中に存在する色彩、すなわち自然界では存在する物体色の色域を100とすると、BT.709の色再現は74.4%に止まる。対してBT.2020では、規格上では99.9%、ほぼ100%の色彩を再現できるようになった。逆に言えばこれまでは、25.6%の色彩を再現し切れていなかったわけだ。

これまで再現ができなかった、エメラルドグリーンの海、鮮やかな(ヒマワリなどの)黄色い花、光沢感のある深紅の車体、深い夕焼け空の再現などはほんの一例。『エクソダス:神と王』にみる甲冑の黄金色、炎の色味。『アメイジング・スパイダーマン2』ならばタイムズスクエアの夜景、エレクトロのブルーの肌色にも注目である。さらに日没後の薄暮にみるような、低輝度場面での色再現も魅力だ。

このようにUHDブルーレイは解像度が4Kになっただけではなく、ダイナミックレンジ(HDR)、色再現(BT.2020)の点でも大きく飛躍しているのが特徴だ。たとえ4Kテレビを所有していなくても、UHDブルーレイ再生機があれば鑑賞できる。もちろん解像度は4KからフルHD(2K)に変換されるし、HDR、BT.2020での再生は楽しめない。しかし通常のブルーレイ再生よりも、映像品位が高い作品が大多数だ。

またブルーレイでは未収録であったドルビーアトモスやDTS:X音声が収録されるタイトルも多く、作品によっては新たなリミックスも施される。映像面だけでなく、サウンドの品質向上も聴き逃せない。

UHDブルーレイ元年の今年、年内100タイトル以上が登場予定で、6月24日にはパナソニックからお手頃価格のプレーヤーが登場(ブルーレイも再生可)。今後はソフトの充実によって、ハードの能力向上が促されるのは間違いない。限りない可能性を秘めた12cmの映画館。そのお楽しみは、これからだ!(文:堀切日出晴/オーディオ・ビジュアル評論家、オーディオ・ビジュアル・ライター)

堀切日出晴(ほりきり・ひではる)
これまでに購入した映画ディスクの総額は軽く億を超えることから、通称は「映画番長」。映画助監督という作り手としての経歴を持ち、映画作品の本質を見抜くには、AV機器を使いこなすこと、ソフトのクォリティにも目配りすることを説く。

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