45分、右SB室屋からのリターンにダイレクトシュートで合わせる逆転弾をお見舞い。「結果を残せたことは良かった」と一定の手応えは得たようだ。 写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

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[キリンチャレンジカップ2016]日本4-1南アフリカ/6月29日/アルウィン
 
 国内最後の試合で、日本の「背番号10」が存在感を示した。スタートは左サイドハーフながら、中央から逆サイドまで流動的にポジションを取って攻撃に絡んでいく。22分、スペースに抜け出した浅野拓磨にノールックで鮮やかなスルーパスを通したプレーは惜しくもオフサイド判定。しかし、37分に大島僚太、中島翔哉との連係で同点弾を演出すると、45分には中島のサイドチェンジから右サイドを駆け上がった室屋成とのコンビプレーでペナルティエリア内に侵入し、ダイレクトボレーで逆転ゴールを決めて見せた。

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「自分が点を取った場面は、翔哉からのサイドチェンジが来て、そこで成がオーバーラップしてきたのも分かっていました。あそこで一気にスピードアップ出来たので、あの崩しは結構イメージ通りでしたね。翔哉が1点目を取った場面も大島くんが3列目から来て、自分がパスを出してそこで入れ替われたので、あれも結構良い形だったのかなと思います」
 
 今合宿では中島に代わって10番を託された点がフォーカスされたが、“旧10番”の中島が2ゴール、“現10番”の矢島が1ゴールとアピール合戦に。試合後、「中島の2点を意識したか」と水を向けられると、「いや、全然ないです」と冷静に切り返した。
 
「10番を(誰にするか)決めたのは監督だし、自分にはその期待に応える責任がある。でも、10番はこの代でずっと翔哉が背負ってきたものだし、そういう意味では、自分の気持ち的には翔哉に背負ってもらって、俺は何番でもいいです(笑)」
 
 手倉森監督の“秘蔵っ子”と呼ばれ、5月のガーナ戦では2ゴール、さらには2列目とボランチを起用にこなすポリバレント性を発揮し、今年に入っての存在感はチームでも一、二を争うと言っていい。矢島本人も南アフリカ戦について「結果を残せたことは良かった」と一定の手応えを得られたようだが、一方で課題も見えたという。
 
「どんな試合でも課題は生まれるもので、後半はカウンター合戦みたいな感じだったので、相手陣で押し込んで時間を作ったり、もう少し“自分発信”でゲームをコントロールしたかった。そこも監督に求められているところだと思うので、できなかったのは残念です」
 2日後の7月1日、ついにリオ五輪の最終メンバーが発表される。これまでの貢献度と信頼度を考えれば限りなく「当確」に近いと目されるが、矢島自身は「待つしかない」と運命の時が来るのを静観する構えだ。
 
「(メンバー入りする自信はあるか?)いやー、どうですかね。そこに関してはもう待つしかないというか。立ち上げ当初から(代表に)選ばれてきて、自分が成長するためにやってきました。点も取れるようになってきて、徐々に成長していると思いますけど、まだまだ成長できるとも思っています。(メンバーに)選ばれたとしても選ばれなかったとしても、この代表で活動してきたことは自分の今後のサッカー人生につながっていくと思うし、これを無駄にしてはいけないなと」
 
 メンバー発表を待つ気持ちは「ドキドキ」か、「ワクワク」か問うと、矢島はわずかに笑みを浮かべてひと言だけ言葉を残した。「いや、もう“無心”で」――。メンバー入り、そして「10番」の行方はこの2日間の楽しみにしておきたい。
 
取材・文:小田智史(サッカーダイジェスト編集部)