アパレル販売員から司会業を経て28歳で起業。パーソナルスタイリストとして成功を収めると、今度はワークライフスタイリストとして「可愛いままで起業できる!」をコンセプトにセミナーやワークショップを展開している宮本佳実(みやもと・よしみ)さん。模索の果てに彼女がつかんだ「ゆるふわな働き方」とは?

働くのは月に5日だけ

──いま、どのくらいのペースで働いているんですか?

宮本佳実さん(以下、宮本):だいたい月に5日くらいです。

──ということは、週に1日か2日?!

宮本:本のための原稿を書いたり、ブログを書いたりするのは毎日やっているので、それらを「働いている」と考えると毎日のように働いていることになるわけですが。

──「書く」という行為は仕事としてカウントされていないということですね。

宮本:「書く」のは、ごはんを食べる、昼寝をする、韓流ドラマを観る、書く……というふうに生活の中に入っているので、働いているという感じではないですね。私にとって、働いている状態とは、講演やセミナーでみなさんの前でお話ししたり、今のこの場のように取材を受けたりといった時間を指すんです。

「セックス・アンド・ザ・シティ」のキャリーに憧れて独立したものの

──最初は普通にOLとして就職されていますよね。そこからどのようにして今の働き方にたどり着いたのですか?

宮本:OL時代にドラマ「セックス・アンド・ザ・シティ」のキャリー・ブラッドショー*の世界に憧れつつも、あの世界を実現するのは自分には無理だと思っていました。大方の人と同じように満員電車に揺られて通勤し、上司の機嫌を伺って仕事し、普通に結婚もして……というレールの上にいましたから。それでもやはりそのままではダメだと思い、司会業のスクールに通い、会社を辞めて司会の仕事に転職しました。

司会は人気商売ですから、常に仕事が入っていることが成功を意味します。逆に手帳が仕事の予定で埋まっていないと不安になりました。たまに取る休みの日にも容赦なく仕事関係の電話がかかってくるので、いつも着信音にビクビクしていました。忙しさが充実感につながる一方で、これは私のペースじゃないと感じていました。

* 同ドラマの主人公。ニューヨークの新聞にコラムを連載するコラムニスト。ファッションに目がなく、恋愛至上主義。仕事は素敵な自分の部屋かコーヒーショップでする。

──それでパーソナルスタイリストとして起業される。

宮本:司会の仕事をして4年目くらいに起業しました。もともと洋服やファッション雑誌が大好きだったので、おしゃれが苦手な人にコーディネートのアドバイスをすることを仕事にしました。この仕事は私にとって内容的にはたやすいものでしたが、しばらくやっているうちにやはり「私らしくない」と気づきました。

「常に仕事モード」は自分に合わないと気づいて

宮本:お客様の予約がない日でも夜遅くまでブログを書き、マーケティングの勉強をして、常に仕事モード。私は本来ガツガツ系ではないので、そういう働き方は向いていません。それに、1対1で人と接するのが苦手だということも経験的に知りました。

私の場合は本を書いたり、多くの人の前で講演したりして、自分から発信する方が向いているのです。起業をすると自分自身を売り出さなくてはなりません。そのために「自分は何ができるのか」「何が得意なのか」を、自分と向き合ってとことん考えました。そうすることで自分が本当にやりたかったことが見えてきたんです。

以前は人から「忙しそうでいいね」と言われることに充実感を覚えていました。人からの評価で自分のことを測っていたのです。でも本当はそんなに忙しくしたくなかった。

──そこから次の展開が始まるのですね?

宮本:自分で仕事を決められれば、イヤなことをやめられるんです。じゃあ、イヤなことをやめるにはどうすればいいか? そこから考えました。パーソナルスタイリストの仕事に興味のある仲間を増やし、彼女たちに仕事を任せることで、少しずつ私自身はその仕事を手放していきました。起業して以来、私がもっとも得意としていて、しかも好きなのは「集客」だと気づいていたので、この集客を自分の仕事のメインに据えることにしたのです。

未来の不安のために今を犠牲にしない

──なるほど。そこから現在のワークライフスタイリストという仕事が始まったと。ワークライフスタイリストとしての主な仕事は?

宮本:仕事や生き方を変えたい人たちに向かって、本やブログでアイデアを発信します。それがセミナー(300人規模)やワークショップ(50人規模)の集客につながっています。

セミナーは講演形式で90分くらい。地元名古屋をはじめ、東京、大阪、福岡とツアーのようにやっています。ワークショップの方は「人生のモンモン期脱出編」と銘打ち、5時間半かけて参加者にもどんどん話してもらいます。

──これから先のビジョンは?

宮本:実はどうしようか迷っています。今は望みがすべて叶ってしまっているので。「今が旬だから、次の手を打っておけ」と人に言われることがあり、男性的な戦略で、よりビジネスを拡大していく方法を考えたこともありましたが、私にはそれが苦しくて、拒否反応が出てしまい、やめました。

「未来の不安のために今を犠牲にしちゃダメ」と私自身が言っておきながら、自分がその状態に陥っていることに気づいたんです。とにかく自分の目の前にある楽しいことをやろうと原点に返ったところです。

〈宮本さんの1日の過ごし方〉

朝8時起床起。朝食をつくり、洗濯機を回しながらメールチェック。ランチは外で。食後スタバなどで文章を書いたり、買い物をしたり。夕方帰宅して夕食を作って食べ、テレビを観るなど、ダラダラして過ごす。テレビを観ながら、気が向いたらブログの文章を書くこともある。0時過ぎ就寝。

(浮田泰幸)