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市場調査企業である米IHSは6月22日(米国時間)、2015年の世界車載半導体市場における売上高ランキングトップ10を発表した。これによると、世界規模での自動車業界の成長の鈍化とドルに対する欧州およびアジア通貨の為替変動の影響で、2015年の世界車載半導体市場(290億ドル)は、前年比でわずか0.2%の拡大にとどまったという。

○Freescale買収のNXPが世界トップに

2015年の半導体業界は、大型買収や合併が次々と行われたが、その結果、米Freescale Semiconductorを買収したNXP Semiconductorsが売上高42億ドル、市場シェアとしては14.4%を獲得しトップとなった。

「新生NXPは、車載インフォテインメント・システムに強みを発揮し、i.MXプロセッサが堅実な2桁成長をとげた」とHIS Technologyの車載半導体アナリストであるAhad Buksh氏は述べている。「キ―を使わないエントリシステム向け車載ネットワーキング技術の普及率増加のおかげで、NXPの車載アナログICも2桁成長を遂げた」(同氏)。

また、「NXPは、自動運転あるいはドライバー運転支援向けS32Vプロセッサファミリーで、マシンビジョンとセンサフュージョン市場を狙っている」との推測も述べており、レーダー用に長距離および中距離SiGeレーダーチップを幅広く取り揃えていること、ならびに短距離用CMOSレーダーチップを開発中であることを挙げ、「Frescaleの圧力と慣性センサ、NXPの磁気センサを融合させ、新生NXPは代表的なセンササプライヤーになるだろう」とセンサの側面でも強みを発揮していくことを示唆した。

○IRの買収で2位に躍り出たInfineon

Infineon Technologiesは、米International Rectifier(IR)を買収したことでシェア9.8%となり2位につけた。

同社はIR買収のほかにも、先進運転支援システム(ADAS)やハイブリッド電気自動車などの成長分野で顕著な存在感を示しており、2015年の同分野の業績としても前年比で5.5%の成長を果たした。中でも77GHzレーダーシステムIC(RASIC)チップファミリは同社のADASにおけるポジションを高めたとされるほか、TriCoreアーキテクチャに基づく32ビットマイコンチップファミリもパワートレイン、シャシー、安全領域の分野での地位が強化されているという。

○トップから3位へと転落したルネサス

2014年まで車載半導体で世界トップ企業だったルネサス エレクトロニクスの同部門の業績は、前年比でマイナス11.9%となり3位へと転落した。その結果、シェアも2014年の10.5%から9.1%へと低下している。このランキングはドル基準の売上高ベースのため、ドル対円の為替レートの変動がマイナスに働いたところが大きく、円ベース換算にすると約1%増となる。なお同社は車載MPUの分野では未だに、世界規模でリーディング企業である。

○4位は中国自動車メーカーとの関係強化を進めるST

4位はSTMicroelectronicsで、同分野の半導体売上高は前年比2%減となった。しかし、この減少の大部分は、2015年に20%下落したドルに対するユーロの為替レートに起因している。STは米国や欧州の複数の自動車メーカーから採用契約を取り付けているが、中国の自動車メーカーとの関係強化を進めているという。

○5位は車載半導体で2桁成長を果たしたTI

5位は前年の6位から順位を1つ上げたTexas Instruments(TI)であった。同社は、4年連続で自動車用半導体市場で好業績を上げており、2015年も前年比16.6%と2桁成長を達成。こうした成功の要因は、いずれか1つの特定領域からもたらされたものではなく、インフォテインメント、ADASおよびハイブリッド電気自動車向けを中心に幅広く成長したことによるものだという。

以下、6位は独Bosch、7位はON Semiconductor、8位はMicron Technologyと続き、9位に日本の東芝が入った。同社は2014年は7位であったが、2015年は前年比マイナス11.7%とマイナス成長で順位を下げた。

○LED照明のOsramがはじめてトップ10入り

FreescaleがNXPに買収されたことにより、独Osramが2015年に初めて車載半導体サプライヤトップ10入りを果たした。同社は照明機器の専業メーカーで、過去3年にわたって2桁成長を遂げている。新車へのLED照明の採用が増加しており、2015年には前年比14%の2桁成長を果たした。

○Qualcommが車載半導体で20位へ急浮上

半導体車載半導体ランキングで数十位の下位グループの中で、順位を大きく上げてきて、車載半導体に本格参入しようとしている半導体ファブレスが2社ある。その内の1社が、世界最大のファブレス半導体ベンダであるQualcommた。同社は、2014年には世界42位であったが、2015年には20位へとランクを上げてきた。Qualcommは、SnapdragonおよびGobiプロセッサを中心としたセルラベースバンドシステムで強い存在感を示している。同社が買収した無線チップサプライヤである英CSRの強みはワイヤレス用途のICで、とりわけBluetoothとWi-Fiで強みを発揮している。Qualcommは、現在インフォテインメント分野に限れば世界6位のサプライヤである。

○車載半導体に注力し83位から37位へと躍進したNVIDIA

NVIDIAは、Audiとの戦略的提携などの影響から2014年の83位から2015年は37位へと躍進した。これまでTegraプロセッサをインフォテインメントへと提供することで成功を収めてきたが、現在はADASはじめ安全と関連する分野へ参入を始めており、今後の本格参入が注目される。

(服部毅)