結局、日本は後半、シュートを1本しか打たせてもらえず、1-2の敗戦。マリが日本に残したインパクトは、あまりにも強烈で、同時に自分たちの甘さを教えてくれた。
 
「マリはやはりU-17ワールドカップで準優勝するようなチームだった。ものすごい迫力で、あの足の長さとスピードを駆使して、ガンガンボールを奪いに来る。それに対して、普段は相手が引いて待ってくれていたり、じっくり判断する時間を与えてくれる。
 
 でも、これだけ時間を与えてくれないなかで、ちょっと判断やコントロールをミスしたら、その瞬間に身体をぶつけられて、相手ボールになってしまう。だからこそのちょっとしたポジショニングやコントロールの質、パススピードも緩かったら足で搔さらわれるし、今日のように風が強ければ、ボールも食われる。
 
 思うようにいかない環境、相手にこそ、サッカーIQの高さが問われる。自分で相手や状況を観察して、打開策を見出そうとする。そういう選手じゃないと、世界ではとうてい戦えない」(森山監督)
 
 目の前に突きつけられた明確な『世界基準』。この現実に対し、今後、彼らがどんなアクションを起こしていくのか。これこそが日本がこの大会で得た最大の収穫であり、今後を占う大きな課題でもある。
 
「リベンジはもう始まっている。あのプレッシャー、フィジカル圧力のなかでなにができるかを自分で作り上げて、磨いていかないと意味がない。それは今日から始まっている。2人、3人かわされてシュートを決められた訳ですから。あの相手に守る、あの相手に攻撃をする。それを日常から忘れずに続けて、自分をプロデュースしてほしい」(森山監督)
 
 マリをはじめ、本物の『世界基準』と真っ向から戦って、このリベンジを果たすには来年のU-17ワールドカップに出場するのが前提条件だ。そのためには3か月先にあるU-16アジア選手権で、世界への切符を掴む必要がある。
 
 アジアに向けて、世界に向けて、そしてサッカー選手としての将来に向けて。彼らはここで掴んだ感覚を、プレーで表現していかなければいけない。
 
取材・文:安藤隆人(サッカージャーナリスト)