圧倒的なフィジカルの違いを見せつけてきたマリの選手に対しても、久保は随所に光る個人技を披露した。写真:安藤隆人

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 2勝1敗の2位で幕を閉じたインターナショナルドリームカップ。
 
 この大会はU-16日本代表にとって、実り多き大会だった。なかでも第2戦のU-16マリ代表戦は、森山佳郎監督が選手に一番伝えたくて、強調していた部分が、まさに『生きた教材』として選手たちに体感させることができた。
 
「よく『世界基準を意識』とか、『上を目指す』とか言うけれど、本当の世界基準がどういうものかを、これまで分かっていなかったと思う。それがマリと戦って、なにもやらせてもらえなかったという経験を味わった」(森山監督)
 
 マリの身体能力は非常に高かった。それだけでなく、前からのプレスとパススピード、連動面などの質も高く、組織としてのクオリティも目を見張るものがあった。攻撃力に自信を持つ日本は、中村敬斗と宮代大聖の2トップ、右MF久保建英のアタッカー3枚の打開力、左MF平川怜、福岡慎平と喜田陽のダブルボランチのパスセンスを駆使して、積極的に仕掛けた。
 
 だが、縦パスは長い足でインターセプトされたり、久保の突破も1、2人目まではかわせても、素早いカバーリングでボールを奪い取られる。右SB桂陸人のオーバーラップもスピードで追いついて身体を入れてクリアするなど、ラストプレーまで持ち込ませなかった。
 
 しかもこの日の鳥取バードスタジアムは強風が吹き荒れ、日本は前半に風上を選択し、天候のアドバンテージを得て攻めたにもかかわらず、裏へのボールに対しても、しっかりと頭や強烈なキックで弾き返された。
 
 38分に宮代が中央から右サイドの久保に展開。久保が鋭い切り返しでDF2人を翻弄して突破し、マイナスの折り返しを送ると、平川が上手く右足で合わせてゴールに流し込み、先制には成功した。
 
 だが、本当の衝撃は後半に待っていた。
 
 日本が風下に回ると、マリは前線からのプレスをより激しくし、日本に襲いかかって来た。あまりにも激しいプレスに、日本はディフェンスラインでパスを回しても、思うように縦パスを打ち込めず、GKへのバックパスが多くなっていく。
 
 さらに前に大きく蹴っても、しっかりと前に飛ばしたマリに対し、強風に押し戻されてタッチラインを割ったり、ハーフウェーラインにも届かなかったりと、より相手に前向きでのプレーを許す展開になってしまった。
 
 そして52分、驚愕のプレーで日本の守備網は切り裂かれる。桂がGK谷晃生へバックパス。谷のキックが前向きのMFママドゥ・サマケにダイレクトに渡ると、そのままドリブルを開始。「相手のファーストタッチがでかかったので、奪いに行こうと思った」と福岡が反応して飛び込んだ瞬間、サマケは長い足を伸ばして、ワンタッチで福岡の股の間にボールを通すと、一気に加速して置き去りにした。
 
 福岡の後ろには監物拓歩と菅原由勢のCB2枚がいたが、食いついてしまった2人をさらに置き去りにしてGKと1対1に。谷も前に出てボールに先に触ろうとするが、またしてもサマケの長い足が伸びて、ゴールに押し込まれてしまった。
 
「あのシーンは信じられなかった」と福岡が語るように、1人の選手に中央をいとも簡単にこじ開けられての失点は、チームに大きなショックを与えた。
 
 直後の56分には、中央でMFシビリ・ケイタがボールを持つと、ワンツーからスピードに乗ってアタッキングエリアに侵入。それに対し、菅原が身体を寄せて、ケイタのシュートをブロックするが、前にこぼれたボールを桂とFWハジ・ドラメが競り合った瞬間、ケイタがさらに加速して、ボールがこぼれた瞬間を強烈に叩いた。ボールはゴール左隅に一直線に突き刺さり、またしても中央をこじ開けられる形で、逆転ゴールを許した。