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●「監督の演出がどうかしているので、そこが一番楽しかった」
7月16日から公開される特撮映画『大怪獣モノ』の完成披露試写会が27日、ヒューマントラスト渋谷にて開催され、舞台あいさつに河崎実監督と主要な出演者、そして大怪獣モノが登場した。

『いかレスラー』『日本以外全部沈没』『ヅラ刑事』など、パロディ精神の強いコメディ感覚の特撮映画を多く手がける「バカ映画の巨匠」こと河崎実監督が贈る最新作は、巨大怪獣映画だった。

地底から出現した大怪獣モノを倒すため、西郷博士は助手の新田陽出人に万能細胞「セタップX」を注入し、身長40mの大巨人に変えてしまう。モノに勝利した新田は一躍国民的ヒーローになるが、酒と女におぼれて慢心した新田は再び現れたモノに敗れ、手のひらを返したように世間からバッシングを受ける。失意の新田だが、西郷の友人である泉忍道に叱咤激励され、滝の水を斬る猛特訓を開始する……という筋書き。

『ウルトラマンレオ』の真夏竜がエキセントリックでマニアックな趣味を持つ博士役を怪演し、『忍者キャプター』の風魔烈風、暗闇忍堂など印象的な悪役を務めた堀田眞三が新田の精神面を鍛える重要な役柄で出演するなど、特撮ファンに向けた豪華なキャスティングが大きな見どころ。さらに、堀内正美、西條康彦、モト冬樹、萩原佐代子、牧野美千子、なべやかんなど河崎作品でもおなじみの俳優、女優諸氏が顔を見せるほか、古谷敏、きくち英一という「ウルトラマンのスーツアクター」2人が防衛長官、副長官を演じているのにも注目である。

渋いところでは、ピン芸人のウクレレえいじが終始実直な事務次官を演じており、劇中ではマニアックすぎる濃い日本映画俳優のモノマネを披露しているのも見逃せない。また、特撮リスペクトバンドとして人気の「科楽特奏隊」メンバー・中村遼が音楽を担当し、『ゴジラ対メカゴジラ』の佐藤勝を思わせる軽快かつ壮大な広がりを持った最高の「怪獣音楽」を作り上げている。

上映前に催された舞台あいさつでは、プロレスの実況アナウンスでおなじみ、映画でも「怪獣と巨人の戦いを熱く実況する男」として出演している村田晴郎による司会進行のもと、河崎実監督、主演の飯伏幸太ほか主要キャストがスクリーン前に集まった。

昨年末の大怪我を乗り越え、みごとレスラーとして復帰を果たした上に、本作の主演を堂々と務めた飯伏幸太選手は、主演にあたっての意気込みを尋ねられて「まずセリフを覚えたり、演技したりは初めてだったので、それが難しかった」と、主演する以前に映画で演技をすることの難しさを語った上で「プロレスと演技はリンクしているので、今後のプロレスのためにもなった。非常にいい経験でした」と、新たなる戦いの場としての映画界参戦に十分な手ごたえを感じていた模様。

気になる「怪獣」との戦いについては「自分の中で普段通りのプロレスをやった感じ」と実直な感想を述べつつも、「怪獣との戦いは初めての経験。でも初めてのことはなんでもやってみたいと思ったので、話が来たときは即決でやります!と返事しました」と頼もしい言葉を重ねた。撮影時、印象に残った出来事を聞かれると「監督の演出がどうかしているので、そこが一番楽しかった」と河崎監督の独特な演出手腕を讃えながら、「滝の水を切る特訓をするシーンでは、冬の寒い時期に裸で水の中へ長時間入っていたものですから、とにかく寒くて大変でした」と、鍛えた肉体をもってしても耐え難い極寒の撮影をしみじみ振り返っていた。

『獣電戦隊キョウリュウジャー』で、クールなキョウリュウブラック=イアン・ヨークランドを演じて子どもから大人まで高い人気を集めた斉藤秀翼は、セタップX細胞を注入されて飯伏の演じる巨人に変貌してしまう助手・新田陽出人を演じた。西郷博士の娘・美和に思いを寄せながらも、自分の体格にコンプレックスを持っている新田(A)役について斉藤は、「最初の新田のキャラクターがはっきりしていれば、その後の落差や、キャラの変化などを作っていただきやすいかなと思って、わりとツッコミどころ多めのイメージで演じました」と説明。

2人で一つの役柄を作り上げることについては「本読み段階から、自分のシーンが終わっても監督から『ここ読んで』と、新田(B)のセリフを僕が読み、飯伏さんがリピートするなど、役柄のすり合わせを行ったところもあります。でも、基本的には自分の出番が終わったら、飯伏さん頑張って!って、面白く撮影を観ていました(笑)」と、激しい撮影をこなす飯伏を応援する一幕もあった。

●「今度は『シン・ゴジラ』の便乗です」
真夏竜演じるエキセントリックな西郷博士の娘・美和を演じた河西美希は、今回の映画が演技初挑戦。役について尋ねられ、「美和は勝ち気でしっかりしている女の子。でも普段の私はけっこう抜けているので(笑)、美和を演じられるように頑張りました。どうでしたか?」と飯伏に目を向けると、飯伏は「……よかったですよ!」と笑顔をたたえながらOKを出していた。「撮影時のエピソードは?」との問いに対しては、「大変だったというよりも、飯伏さんが大変そうだなあって思いました。山奥に行くシーンは朝早くて、とても楽しかったですけれど寒かった〜!」と、寒い時期の撮影に備えて携帯用カイロを常備していたことを明かした。

プロレスラーとしても活躍する赤井沙希は謎の女スパイ・リサを演じ、妖艶な魅力をふりまきつつスピーディなアクションシーンをこなした。赤井は「アクションは初めてだったのですが、プロレスで殴る、蹴るをやっていたことで、その経験が生きたかなと思っています」と、アクションに自信のほどをうかがわせた。プロレスの試合でも絡んだことのある飯伏とは本作でラブシーンを披露しているが、これについては「(飯伏選手とは)路上プロレスで攻撃されたことはありますが、まさかラブシーンがあるとは……。しかし照れたら負けですので、撮影に入るときは試合に行くみたいに気合をバンと入れて臨みました」と、さすがに肝の据わったところを見せていた。

小松左京・原作による大ヒット映画の現代版リメイク作『日本沈没』が公開されたのに合わせて、作家・筒井康隆氏原作のブラックジョーク満載の『日本以外全部沈没』を初映画化して話題を集めた河崎実監督は、「今度は『シン・ゴジラ』の便乗です」と、本作が同じく7月に公開される怪獣映画の超大作『シン・ゴジラ』を見据えた作品だと説明した。

本作の企画については「昔『フランケンシュタイン対地底怪獣(バラゴン)』という映画があったけれど、ここでの巨人VS怪獣という図式が後の『ウルトラマン』に発展していった。プロレスラーが怪獣と生死をかけたガチンコの戦いをするという、怪獣プロレスの決定版を狙った」と、1965年公開の東宝映画『フランケンシュタイン対地底怪獣』における、不死身の怪人フランケンシュタインと凶暴な地底怪獣バラゴンとの決闘シーンにオマージュをささげた映画だということを強調。

現役プロレスラーである飯伏選手の起用について監督は、「飯伏選手は戦いのところもいいんですが、戦い以外の演技のところ、これが面白いんですよ! これぞ棒読み!という感じでね(笑)。バッチリです」と、格闘のプロでも演技が素人というギャップ部分の面白さを高く評価した。

映画の中には、昨年ごろから世間をにぎわせた万能細胞をめぐる騒動をはじめ、今年で誕生50周年を迎える国民的特撮ヒーローシリーズのパロディなどがふんだんにちりばめられているのも大きな特徴。河崎監督は「怪獣とプロレスラーが戦うというアイデアから、時事ネタをいろいろ盛り込んで作った映画です。真面目にバカをやるというのが僕のスタイルですので、そこを観てほしい!」と、映画を猛烈にアピールした。

舞台あいさつ終了後、突如後方から「大怪獣モノ」が猛然とスクリーン前に襲来。「葛飾北斎の描く鳳凰」をモチーフに、漫画家・森野達弥がデザインを手がけたモノは、リアリティーと派手さを両立した怪獣となった。今回の舞台あいさつでもモノのスーツを着ている谷口洋行は、映画の中で飯伏選手から実際にパワーボムをはじめとするプロレス技をモロに食らいながらも、人間ではない「怪獣」独特の動きを取り入れた確かな演技力と優れた身体能力でモノに生命をふきこんでいる。

映画『大怪獣モノ』は7月16日よりヒューマントラスト渋谷、シネ・リーブル梅田ほかでロードショー公開。

(C)2016『大怪獣モノ』製作委員会

(秋田英夫)