日本選手権終了翌日の6月27日、名古屋市内のホテルで、すでに発表されていた男女マラソンと男子20km、50km競歩の代表12名に加え、男女32名の陸上競技リオデジャネイロ五輪代表が発表された。

 今後は7月11日までに、出場枠を満たしていない種目については、参加標準記録を突破すれば追加される可能性もある。またリレー種目では、すでにリオ五輪の出場枠を獲得している男子4×100mリレーを除いた男女3種目で、世界ランキング上位8位以内(すでに出場枠を得た国を除く)に入れば出場枠を獲得できるという。

 そんな中、注目の男子4×100mリレーは、日本選手権の100mで1位から3位になったケンブリッジ飛鳥(ドーム)と山縣亮太(セイコー)と桐生祥秀(東洋大)。200mで優勝した飯塚翔太(ミズノ)と2位の高瀬慧(富士通)に加え、故障で6位ながらもすでに陸連の派遣設定記録を突破していた藤光謙司(ゼンリン)が代表に選ばれ、彼ら6名で戦うことになった。

 その6名のベスト記録は、桐生が10秒01で山縣が10秒06、ケンブリッジが10秒10。200m勢も飯塚が20秒11で藤光は20秒13、高瀬は20秒14とハイレベル。現時点の世界ランキングでも、100mの桐生は21位で山縣は39位、ケンブリッジは59位。200mの飯塚は10位で、昨年出している藤光と高瀬の記録は13位と14位に相当し、史上最強のオーダーが組める状況になっている。

 もちろんその柱となるのは桐生だろう。日本選手権の決勝では痙攣が起きたために3位に終わったが、高校時代からリレーになると抜群に力を発揮する。「リレーは大好きなんです。やるなら3走か4走。3走とか4走だと、他の選手が走っている間もドキドキするから面白い」と笑顔で語っている。

 そんな桐生を中心にして、多彩なオーダーを組めるのが今回の日本チームの長所である。1走は12年ロンドン五輪で走った山縣か、昨年の世界選手権ではケガがなければ走る予定だった高瀬が有力だろう。

 高速でコーナーを走る3走は技術も必要で、それまではあまりわからなかった他国の選手との差や状況も目に入りやすいだけに、精神面でのプレッシャーもかかるところだ。ここには13年世界選手権で走っている高瀬と、14年世界リレーで走った桐生。さらにはケンブリッジも、13年東アジア大会では3走を務めているなど候補が多い。

 飯塚は12年ロンドン五輪と13年世界選手権は4走を務めているが、現在の走力ならエースが走る2走でも十分通用し、元々200mが専門でトップスピードが持続するケンブリッジも適任者のひとりだ。さらに藤光も09年世界選手権からメンバー入りしていて経験豊富で、体調さえ万全になれば1走以外はどこでも任せられる技術と走力を持っている選手だ。

 ただそんな中で、今シーズンのこれまでの状態を見た限りでは、有力なのは山縣が1走で2走は飯塚かケンブリッジ、3走が桐生かケンブリッジ、4走は桐生か飯塚というオーダーだろう。

 また現地で高瀬が調子を上げてくれば、彼を3走にして桐生と飯塚、ケンブリッジのうち状態のいい選手を2走と4走に起用することもでき、藤光をスーパーサブとして控えさせることもできる。

 これまでは誰かしら故障を抱える選手が出てオーダー編成に苦労するところもあったが、今回の場合はたとえ誰かひとりが痛んだとしても、遜色のない力を持ったオーダーを組めるところが、他国と比較しても有利だといえるだろう。また100mと200mを兼ねる選手がいないことで、しっかり休養を取れるというプラス要素もある。

 そんな日本チームがまず目標にするのは、昨年の世界選手権で3走に9秒99の蘇炳添、4走に10秒00の張培萌を擁して銀メダルを獲得した中国だ。中国を破り、彼らが世界選手権の予選で出した37秒92の記録を塗り替えて、アジア記録を奪還する。それができればメダルはぐんと近づいてくる。2020年の東京五輪での活躍を見据える上でもこれくらいの結果は必要不可欠だろう。

 7月後半からの合宿でリレー練習が始まり、そこである程度のオーダーも決まるが、選手たちの目標ももちろん、37秒台の記録とリオ五輪のメダル獲得だ。それができる戦力が整っただけに、期待が大きくなってきた。

折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi