オリンピック全日本女子バレーボールチームは27日、東急京都ホテルで会見し、リオデジャネイロオリンピック出場の12名を発表した。

 番号は年齢順に、1.山口舞、2.荒木絵里香、3.木村沙織、4.迫田さおり、5.佐藤あり紗、6.座安琴希、7.田代佳奈美、8.石井優希、9.長岡望悠、10.島村春世、11.鍋谷友理枝、12.宮下遥。

 先月行なわれたオリンピック世界最終予選(OQT)の14名から、昨年ワールドカップで大活躍したパスヒッター(※1)古賀紗理那とリベロの丸山亜季が外れた形となった。また、OQTのバックアップメンバーだったロンドン銅メダリストのポイントゲッター(※2)江畑幸子も落選。
※1 レセプション(サーブレシーブ)をして、攻撃するアタッカーでトスの補助もする
※2 レセプションを担当しない攻撃専門のアタッカー

 そして、本来リベロである選手をふたり(佐藤、座安)登録し、ひとりをリベロに、もうひとりをレシーバーとして、パスヒッターが後衛時に交代する戦術を採ることにした。この方法を本格的に採り始めたのはOQTからだ。

「前回(銅メダル)以上が目標」という眞鍋政義監督は、「ベストの12名を選びました」と語った。選考には神経をすり減らし、じんましんが出たほどだという。以前から掲げる「4つの世界一(サーブ、サーブレシーブ、ディグ、ミスを少なくする)」をリオに向けて再度確認し、詰めていきたいと話し、選考の意図をこう説明した。

「オリンピックに参加する国の中で、日本が最も平均身長の低い国でしょう。バレーというのはどうしても身長が高く腕が長い方が有利。そして、我々のチームにはキム・ヨンギョン(韓国)やコシェレワ(ロシア)といった大エースはいない。

 そこで最も重要視したのはチームワーク。2番目がディフェンス力。特に今回は、リベロ+レシーバーということで、まだ現状(佐藤と座安の)どちらかがリベロで、どちらかがレシーバーかは決めていません。

 世界大会は大体1セット14〜15回ローテーションが回ります。その中で(レシーバーは)3回しか使えません。しかし、前回のオリンピックでいえば、アメリカ・中国・ブラジルなど強豪5チームがレシーバーを使っておりました。前回、我々は使っていません。今回、レシーバーを入れた方が、点数が取りやすいという統計が出ております。従って、この方法を採ることにいたしました」

 東京五輪でも中心メンバーになると期待されていた古賀を落とした理由について聞かれ、眞鍋監督は、「サイドアタッカーで外れたのは、古賀だけではありません。また、我々は古賀のためだけにやっているのではない。東京オリンピックの前に、まずリオオリンピックを戦うために、全力を尽くしたい」と答えた。

 OQTでの古賀は、故郷熊本の震災に胸を痛め、「熊本の人に元気を届けたい」と意気込んでいたが、その気持ちがやや空回りしたのか、レセプション、スパイクともに安定せず、タイ戦以降はベンチを温めることになった。6月9日からブラジルでスタートしたワールドグランプリでやや復調したものの、最終日のロシア戦でもやはりレセプションを崩され、スパイクでも、ブロックが1枚になってもミスするなど精彩を欠いた。

「このグランプリで自分をアピールすることはしっかりできた」と古賀は振り返っていたが、五輪にはあと少し届かなかった。バレー人生で初めての大きな挫折となるが、これを糧に東京につなげて欲しい。

 また、復帰が期待された江畑も昨年の大きなケガのあとジャンプ力が落ち、ワールドグランプリでも主力の抜けたタイなど、身長の低い相手には通用したが、セルビアといった高いブロック相手にはかつての攻撃力と勝負強さを失っていた。全日本での飛躍を念頭においた海外移籍と、帰国後のケガについて聞かれると、言葉を詰まらせてうつむく場面もあり、試合後のミックスゾーンで発した「私にもまだ五輪の可能性は残されているんでしょうか」という言葉からも、外れることを途中から予測していたようだった。

 4年前の五輪メンバーは、OQTから入れ替えがあった。今回はそれがない。その理由に、眞鍋監督の言う「チームワーク」があるだろう。今年度全日本がスタートしてから、眞鍋監督はずっと「化学変化が必要」と言い続けてきた。OQTが終わった段階では「まだ化学変化は見られませんね」と言っていたが、薄氷を踏んだフルセット大逆転勝ちのタイ戦、切符をつかんだイタリア戦でのメンバーを残したことを考えると、「チームワーク=化学変化」のカギはこの2戦にあって、その兆しが見えたのではないだろうか。

 OQTのタイ戦後、大活躍した迫田のところに江畑が駆け寄り抱き合う姿が見られた。迫田も当時「江畑が来てくれて嬉しかった。江畑のためにも頑張ってよかった」と発言。同じポジションのふたりは本来ライバル同士だが、ロンドンをともに戦った絆もある。迫田は今回「今まで一緒に戦ってきた仲間の思いも胸に、これまで以上に精一杯頑張ります」というコメントを寄せている。まっすぐで少し不器用なところもある迫田だが、きっと江畑のためにもリオでさらなる活躍を見せてくれるはずだ。

 古賀という東京五輪につながる選手と、ロンドン五輪銅メダルに貢献したダブルエースのひとり、江畑を敢えて切った眞鍋監督は、それだけ全力でリオでの「金」を狙いにいっているのだろう。勝負師の"本気"に期待したい。

 リオ五輪開幕まで、40日を切った。女子バレーの初戦は8月6日、OQTで敗れた韓国と対戦する。

中西美雁●文 text by Nakanishi Mikari