梅雨に食べたい 京都の日本庭園に咲きほこる、半夏生をモチーフにした和菓子
はじめまして、京都で活動をしている和菓子ライフデザイナーの小倉夢桜(おぐら・ゆめ)です。これから和菓子のコト、京都のコトを毎週みなさんにお届けしていきたいと思います。
和菓子ライフデザイナー。
ちょっと聞きなれない言葉だと思いますが、それもそのはず。和菓子ライフデザイナーは、日本ではただひとり私しかいません。この仕事を通じて私が実現したいこと、それは「和菓子」という手のひらにのるような“小さな幸せ”を通じて、みなさんの毎日を満ち足りたものにしていくことです。
京都の街から発信される「手のひらの幸せ」で、ひとりでも多くのみなさんに花鳥風月を感じていただければ嬉しいです。
今回の「手のひらの幸せ」は、半夏生(はんげしょう)をモチーフにした外郎(ういろう)のお菓子です。
京都人にとって「梅雨の終わりを告げる草花」
梅雨を代表する花のひとつ紫陽花(あじさい)は、ここ京都でも6月初旬から咲き始め、そろそろ見頃が終わりを迎えようとしています。6月も残すところわずかとなった今、見頃を迎えるのが半夏生です。
半夏生って何?と思われる方も多いはず。地域によってはなじみのない植物かもしれません。
京都では庭園に造られた池の水辺でこの時期、半夏生の白い葉が一際目を引きます。京都人にとっては、半夏生はまさに梅雨の終わりを告げる草花。半夏生が見頃を迎えると「そろそろ祇園祭」という感じです。
この半夏生をモチーフにした外郎の和菓子には「水辺の涼感」という名前がついています。
外郎とは、米粉に砂糖や水を混ぜて型に入れ、蒸したもの。もっちりとした食感が特徴で、その透けるようなみずみずしさが、だんだんひどくなっていく蒸し暑さを和らげてくれます。
実は今回紹介した和菓子は、庭園で目にした半夏生の清涼感をリアルに伝えるため、職人さんにお願いして特別に作っていただいたものです。
半夏生を楽しめる京都の庭園
最後に半夏生が楽しめる京都のおすすめスポットを紹介しましょう。
一番のおすすめは両足院(りょうそくいん)です。四条大橋から舞妓さんが行き交う花見小路を抜けて、その突き当たりにある建仁寺の北門を潜ります。両足院は建仁寺の敷地内にある寺院なのです。
両足院の書院と茶室から眺める半夏生は庭先を白く清々しく彩り、初夏の水辺を涼やかに演出しています。
今年は7月6日まで特別拝観を行われていますので、機会があれば、訪れてみてはいかがでしょう?
■和菓子のお店情報
店名:笹屋吉清
住所:京都市左京区下鴨東半木町67
連絡先:075-781-0904