マーリンズ・イチロー【写真:田口有史】

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得点力の大きさが前年から大幅アップ、昨季のOPS+は下位6人の数値も…

 マーリンズイチロー外野手は26日(日本時間27日)時点で今季打率.336と活躍し、メジャー史上30人目となる通算3000本安打まで残り16本と迫っている。米スポーツ専門メディア「スポーツ・オン・アース」は「2016年に最も復活した男」として特集。金字塔に向かってひた走る背番号51の“V字回復”は、アメリカでも大きな話題になっている。

 記事では、セイバーメトリクスの指標であるOPS+に注目。得点力の大きさを表すOPS+では、「メジャーリーグで昨年400打席以上立った合計211選手のうち、ナショナルズのウィルソン・ラモスとマーリンズイチロー・スズキは下位6人の中にいた」としている。メジャー野手の平均値を「100」とした場合、イチローは「56」、ラモスは「64」と、それぞれ相当低い数値を示したという。

 一方、昨季ア・リーグMVPに輝いたブルージェイズのジョシュ・ドナルドソン内野手はOPS+が「155」、ダイヤモンドバックスのポール・ゴールドシュミット内野手は「170」という高い数字を出していたそうで、昨季のメジャー最強級とも言える打者の数値と比較すると、2人がいかに打撃不振にあえいだかは一目瞭然だ。

今季OPS+は「127」に大幅アップ、過去30年でわずか9人と異例

 開幕前は、65本と迫っていた今季中の3000本安打も疑問視されていたイチローだが、大方の予想を裏切り、不振を一気にはねのけた。特集では、6月22日(日本時間23日)ブレーブス戦時点のデータを紹介。155打席に立ったイチローは、打率.355、出塁率.422、長打率.394という成績を残し、昨季「56」だったOPS+は「127」まで上昇したという。さらに「キャリア最高の四球率と最低の三振率も記録している」とも指摘。BABIPと呼ばれるインプレー打率を表す指標を見ても、昨季に比べて100ポイント以上も上昇しているそうだ。

 一方、イチローと同時に昨季の不振が指摘されたラモスは、視力矯正のレーシック手術のおかげで三振率は減少。昨季「64」だったOPS+は「145」にアップし、メジャー20傑に入るほどの復活ぶりを見せているという。

 記事によれば、OPS+が「70」以下に終わった翌シーズンに「110」以上の数値を叩き出した野手は、1986年シーズンからの30年間でわずか9人。「2人とも現在の生産レベルを維持できるならば、前年からの改善度としては、かなり異例のケースになるだろう」と、驚異の回復を見せた2人を称えている。

 メジャー1年目だった2001年には、新人王とMVPを同時受賞する偉業を成し遂げたイチローは、その後も10度のゴールドグラブ賞受賞とオールスター出場など、メジャー史に残る活躍を見せている。今季は3000安打到達に加え、42歳にして見せた華麗な復活劇でも、歴史に名を刻むことになりそうだ。