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男性ホルモンの象徴とも言われることがある「テストステロン」。ただ、その働きについてはあまり知られていない。今回は、順天堂大学医学部附属浦安病院 泌尿器科 先任准教授の辻村晃医師にテストステロンの持つ役割などについてうかがった。

○テストステロンの働き

テストステロンは睾丸(こうがん)からつくられる男性ホルモンで、男性ホルモン全体の95%を占めている。体のさまざまな部分に対する重要な作用を有しており、主な働きでいえば、「骨や筋肉の強度向上」「造血作用や抗肥満作用(メタボ予防)」などがある。

また、性機能(勃起力や性欲)や生殖機能、記憶力、認知力にも関係しているとされている。精神的・肉体的な元気さを維持するために必要なホルモンと考えるとよい。

○健康のバロメーターでもあるテストステロン

テストステロンが減少すると勃起力が低下したり、性欲が減退したりと性機能が明らかに低下する。わかりやすいバロメーターとしては早朝勃起があげられる。テストステロンの低下に伴い、早朝勃起を自覚する日が少なくなる。

テストステロンは男性の活力のもととなるホルモンだが、不足すると性機能以外にもさまざまな症状が現れる。一例を下記にまとめた。

■疲れやすい、または疲れが取れない
■睡眠不足
■精神的に落ち着かない
■不安感、うつ症状、イライラ感
■集中力、やる気の低下

テストステロンは年齢を重ねると減少していくため、「若い頃に普通にこなせた仕事量がこなせなくなった」と精神的に落ち込む人もいる。現に、精神的に落ち込んでいる状態の人のテストステロン値を測ると、テストステロンの数値が低いことがわかっているという。

他にも、テストステロンが低下することでメタボリックシンドロームになりやすいことがわかってきている。すなわち、肥満に加えて高血圧、高脂血症、高血糖が生じやすいということだ。さらにこれらのメタボ因子が重なり、動脈硬化が進みやすく、心血管系イベントの発症リスクになるのではないかという説もある。

○テストステロン値が高いとモテる?

男性ホルモンの象徴ということもあり、テストステロン値が高い人は「男らしくて攻撃的」と考えてしまうかもしれないが、そうでもない。むしろ「社会的ホルモン」とも呼ばれ、テストステロン値が高い方が人との交渉能力や決断力に優れ、正直であるという研究データも存在するという。

さらに先述のようにテストステロンには抗肥満作用、抗メタボリック作用があるため、テストステロン値が高い人の方が外見上、スリムで若々しく見えるというメリットもある。活力がみなぎり、バリバリ仕事をこなしている姿は、女性にとっては魅力的だろう。

それを証明するような報告もある。女性に約70人の男性の写真を見せて好みの男性を選別してもらった結果、選ばれた男性は免疫力が高い、テストステロン値の高い人であったという。また、猿山のボス猿も、猿の中で最もテストステロン値が高いように、テストステロン値が高い方が社会的に成功しやすい。これらの結果も、「テストステロン値が高い方がモテる」という考えを多少なりとも支持するだろう。

○テストステロンを効果的に増やす方法

そんなテストステロンを増やす方法だが、「十分な睡眠をとり、趣味を持ったり、友人と出掛けたりするような社会的な活動をする」とテストステロン値が上がると言われている。逆に自宅に閉じこもりがちだと下がってしまう。

筋肉トレーニングも効果が期待できる。筋トレで「アンドロゲン受容体」(男性ホルモンと結合し、遺伝子の発現調節を行う核タンパク質の総称)の発現に影響が出ることが知られているからだ。筋肉トレーニングの運動負荷後、筋肉内のアンドロゲン受容体は一時的に発現低下するものの、回復期に発現上昇したと報告されている。

筋トレの目安としては「スロースクワット10回を3セット」「30分程度のウオーキング」などを継続するとよい。あまりに激しい運動、例えば短期間に何度もマラソンに参加するなどを行うと、逆にテストステロンを低下させてしまうので要注意だ。

からだエイジング

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