今年2月に糖質制限ダイエットの伝道者的存在、桐山秀樹氏が急死しました。原因は心不全ですが、これに糖質制限ダイエットが関係しているのかいないのか、話題になりました。

糖質制限ダイエットを提唱したのは、アメリカのロバート・アトキンス医師。アトキンス法と呼ばれた糖質制限は、体重が100キロ以上ある超肥満者に向けた医療に近いダイエット方法でした。それが2000年代前半に、ダイエット志望の人々にも広がっていったのです。

このダイエットの是非について、医師の間では意見は真っ二つに割れたまま。賛成派の意見は、短期間での減量が可能で、血糖、血圧、脂質を低下させることができ、糖尿病をはじめ生活習慣病全般の予防になるというもの。一方、反対派の意見は、糖質は人間の活動エネルギー源であり、脳の働きに欠かせない成分であり、不足すれば脳の働きが鈍くなるばかりか、栄養バランスが崩れて病気のリスクが高まるというもの。

著書『先生、医者代減らすと寿命が延びるって本当ですか?』などでダイエットにも言及している元慶応大学病院医師、近藤誠先生は「血糖値の高い人が糖質制限によって糖尿病を予防できる可能性はある」と言います。しかしながら「糖質は人間のエネルギー源ですから、食べなければ脳も体も動きませんよ」とダイエット法としては否定。その上で「食事のときに、いきなり糖質を食べないよう工夫することは有益でしょう」と糖質摂取のタイミングを指南しました。

糖質はお肌にも脳にも必要です……。

まず、糖質制限が糖尿病予防になり得るメカニズムについてご説明します。ごはんやパンなどの炭水化物が小腸に大量に入ってくると、血糖値が急上昇します。これを下げるために膵臓からインスリンが大量に分泌されます。これを繰り返しているうちに膵臓が疲れ、やがてインスリン分泌が減少。そうして血糖値が高い状態が続いてしまうと糖尿病になるわけです。

「ですから、糖質を食べるのがいけないのではなく、いきなり大量の炭水化物を摂取するのがいけないのです。炭水化物を摂る前にサラダを食べたり、汁ものを飲んだり、いわゆる低GI食品を食べ、それから炭水化物を食べる。それだけで血糖値の急上昇は抑えられ、大量のインスリンを必要とすることもありません」と近藤先生。

好きなパンやパスタを我慢するのではなく、サラダやスープをいただいてから食べればいいのです。とってもやさしい糖質制限です!

糖質抜きダイエット、油抜きダイエットなど、とかくダイエットは過激になりがちです。しかし、糖質も油分も脂肪分も、人間の体にとっては必要なもの。どれかが欠ければ、それを補うために体は何かしらムリをすることになります。

「ダイエットで一切の肉や魚を食べない菜食主義者もいます。たしかにスリムになりますが、肌のハリや髪のツヤは、年齢以上に老けて見える人が多いですね。理由は栄養不足。コレステロール不足です。コレステロールはすべての細胞の原料になる大事な成分ですから。実際、100歳を超えてもお元気な方は肉も魚も大好きな人が多いですよ」(近藤先生)

何ごとも過ぎては及ばざるがごとし。美しく、楽しく、健康に生きるには、炭水化物はいきなり食べず、低GI食品のあとに食べる。糖質制限は量よりタイミングに気をつけたほうがよいダイエットになりそうです。

女性の健康、検診、病気予防のウソ・ホントを近藤誠先生と漫画家・倉田真由美さんが徹底解説。『先生、医者代減らすと寿命が延びるって本当ですか?』(小学館刊 1100円+税)好評発売中!