NZ式の放牧酪農は、北海道に根づくか

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「ニュージーランド・北海道酪農協力プロジェクト」は、北海道とホクレン農業協同組合連合会、NZ政府、そしてニュージーランド(NZ)の乳業最大手フォンテラ社が2014年12月から共同して実施している酪農振興事業だ。16年6月3日、プロジェクトの調査結果報告会が北農ビル(札幌市中央区)で開催された。

日本の牛乳生産費のおよそ半分は飼料費が占めている。1頭当たりの乳量を追求するため、草よりも高栄養の穀物を乳牛に大量摂取させている。その配合飼料は海外からの輸入に依存する。11年から15年にかけて飼料価格が大幅に上昇した結果、酪農家の経営を圧迫した。放牧を取り入れることで酪農の経営構造を改善しよう――。これが今回のプロジェクトの狙いだ。

プロジェクトは引き続き推進

北海道は日本の生乳の半分以上を生産する一大産地。しかし放牧に取り組む酪農家は一部に限られ、大半は牛舎で配合飼料が主体の飼育方法を採用する。

今回のプロジェクトは5戸の放牧酪農家が参加する。スタートにあたり、以下の改善目標が掲げられた。

牧草のME値(代謝エネルギー量)を上げる牛による牧草の摂取量を最大化させる余った牧草はサイレージ(サイロ内で作る発酵飼料)に回す採草地を年に3〜4回カットしてサイレージを作る肥沃な土壌をつくる高品質水準のサイレージを作る

報告会に出席したNZ大使館のピーター・ケル公使は、

「調査の結果、北海道でニュージーランドの放牧技術が利用されることにより、酪農家の皆様の収益とライフスタイルの向上に貢献できる可能性が明確になりました」

とあいさつ。続いて放牧酪農家に助言を行ったNZの農業科学研究者キース・ベタリッジさんは、

「夏に与えている補助飼料(編集注:穀物など)は、ほとんど牧草に置き換えられ、放牧酪農家も舎飼い酪農家も高品質のサイレージを生産できます。放牧酪農は酪農家のライフスタイルを改善するとともに、若い人たちを酪農産業に引きつけるでしょう」

と、プロジェクトが順調に推移していることを示唆した。

16年7月以降も調査は継続される。個々の酪農家に取り組むべき課題を提示して、了解した酪農家は2年間そのテーマに取り組む。年2回のグループディスカッション(放牧勉強会)を交えながら、結果を検証していくという。