【WEEKLY TOUR REPORT 】
■米ツアー・トピックス

 今週のPGAツアーは、タイガー・ウッズ(40歳/アメリカ)のファンデーション(財団)が主催するクイッケンローンズ・ナショナル(6月23日〜26日/メリーランド州)が開催されている。

 同トーナメントの開幕前日、ウッズが会場に姿を現すと、彼の現状を知りたいアメリカメディアから数多くの質問が飛び交った。それらの質問に対して、ウッズはひとつひとつ丁寧に答えていた。

「体も、ゴルフも、日々よくなっている。ショットは打てるし、距離も以前と同じように飛んでいる。だけど、(体に)痛みがあるんだ。練習した翌日は、少しでも体に負担をかけないように、リハビリに専念している状態。とにかく今は、もっとショットのレベルを上げることが必要で、もっとたくさんのボールを打つことにトライしている」

 昨年8月以降、10カ月以上もツアーから離れているウッズ。ファンが最も気になっているのは、「本当にウッズは復帰できるのか?」「できるとしたら、いつなのか?」ということだ。が、残念ながら「復帰のめどは、今も立っていない」とウッズは言う。

 久々に見たウッズの表情や体つきはとても健康そうだったが、今回もまた、ツアー復帰に向けての新たな進展は見られなかった。ウッズ自身、本当にいつ復帰できるのか、わからないのだろう。

 ウッズが最後にツアー競技を戦ったのは昨年8月、レギュラーツアー最後の大会となるウィンダム選手権(2015年8月20日〜23日/ノースカロライナ州)だった。首位と2打差の2位タイで最終日を迎えたが、終盤でスコアを伸ばすことができず、10位タイに終わった。

 この大会のあと、ウッズの勇姿は見られなくなった。今季はメジャー初戦のマスターズも欠場。その後、全米オープンにはエントリーし、「ついにツアー復帰か?」と期待されたが、「体の準備がまだ整っていない」(ウッズ)として直前に出場を回避した。

 はたして、ウッズがこのままいなくなってしまったら、ゴルフ界はどうなるのだろうか? そんな心配も頭をよぎるが――。

"NO Tiger? NO Problem(タイガーがいなくても大丈夫さ)"

 最近、ゴルフ界ではそんな見方がだんだんと強くなってきている。それが現実だ。

 1996年、ウッズはプロに転向して以来、メジャー14勝を含めて、ツアー通算79勝も挙げてきた。近年のゴルフ界をけん引してきたのは、間違いなくウッズである。彼の活躍があって、ツアーの賞金総額はこの20年間でおよそ5倍に膨れ上がった(※)。
※1990年代後半の賞金総額はおよそ5600万ドル(約56億円)だったが、今では2億5000万ドル(約250億円)を超えている。

 ということは、ウッズがいなくなれば、当然人気低迷が予想される。事実、そのことを心配する声もある。しかしその一方で、今のゴルフ界は「ニュー・ビッグ3」と言われる、ジョーダン・スピース(22歳/アメリカ)、ジェイソン・デイ(28歳/オーストラリア)、ロリー・マキロイ(27歳/北アイルランド)といったスター選手が活躍。さらに、それに続くタレントも豊富で、ウッズ不在でもゴルフ界はさらに発展する、という見方が大勢を占めている。

 PGAツアーのコミッショナー、ティム・フィンチェム氏も、ウッズ不在に不安を見せることはなかった。ウッズが11試合しか出場しなかった昨季(2014−2015年シーズン)を振り返って、こう語った。

「若手選手の活躍で、ツアーの人気は下がっていない。実際にギャラリーの数も、テレビの視聴率も、陰りは見られない。ジュニア育成の成果が実って、これからますます、有望な若手選手がたくさん登場するだろう」

 しかしながら、「ビッグ3」に対抗する強いウッズがいてくれたら、どれほど面白い戦いが見られるだろうか――そんなことを考えるのは、私だけではないだろう。マキロイやデイのパワーに対して、円熟味を増した技で張り合うウッズ。スピースが絶妙なパッティングを決めれば、同様に難しいパットを入れ返すウッズ......そんな、「ビッグ3」とウッズが競り合う優勝争いを期待してしまう。

 今季、ウッズが出場できる試合は、全英オープン(7月14日〜17日/スコットランド)と全米プロ(7月28日〜31日/ニュージャージー州)のメジャー2戦を含めて9試合となる。だが、現状を踏まえると、このレギュラーシーズン中に、ウッズが復帰することは難しいかもしれない。

 ウッズは言う。

「前回復帰を目指したときは、無理をして失敗した。今度は、万全な状態で復帰したい。それは、そんなに遠くない」

 関係者に限らず、ゴルフファン、そして世界中のスポーツファンは今、彼の言葉を信じて待つしかない。

text by Reiko Takekawa/PGA TOUR JAPAN