ホラー映画史に残る傑作『死霊のはらわた』がテレビシリーズとして復活だ。
しかもアッシュが帰ってきた!
さらにしかも第1話の監督はサム・ライミだ! Groovy!


『死霊のはらわたリターンズ』、Huluで第1話が6月24日配信。以降、毎週金曜日配信だ。

『死霊のはらわた』は、『シンプル・プラン』『スパイダーマン』等で大監督になったサム・ライミのデビュー作。
1981年の『死霊のはらわた』で、ホラーファン大歓喜。
それをリメイクした『死霊のはらわたII』で、ホラーもやり過ぎればコメディになることを見せつけた。
さらにやりたい放題の『死霊のはらわたIII』(落語オチバージョンが好きです)。

2013年にリメイクされたが、これは、まあ番外編ってことで置いておく。
このテレビ版こそが『死霊のはらわた』大復活版。
なんといっても、ファン大歓声をあげたのは、主人公がアッシュ(ブルース・キャンベル)ってこと。
『死霊のはらわた』の主人公はやっぱりアッシュじゃなくっちゃ!
もちろん30年の時がたっている。
ディープ・パープルの名曲「スペース・トラッキン」でノリノリでトレーニングしているアッシュは、“中年で少々肉もついてる”。
『死霊のはらわたII』の死闘で失い義手になった右手を見せて「こどもを救った」なんて嘘をついて女をナンパするプレイボーイだ。

最大にくだらない理由で、またも「死者の書」の呪文を詠唱して悪霊が復活。
老体に鞭打つ(入れ歯だ!)中年男と悪霊の壮絶な死闘の幕が開けるのだった。

ホラーは苦手というひともだいじょうぶ。
huluのカテゴライズでは「コメディ」だ。

頭部を180度ぐるりと回し、白目になって両手をぐいと反対側にねじって、ギクシャクと後ろ向きで(もはや、どっちが後ろでどっちが前だか判らない状態になって)こちらに迫ってくる様子は、恐ろしい気味悪いというよりも、「なんだそれは!」である。

悪霊と化した少女人形に飛びつかれ、鼻をかじられ、鼻の穴を鷲掴みにされ、大暴れ。自分で自分の顔に植木鉢を連続でぶつけるアッシュの悪戦苦闘っぷりは、きゃーと目をそむける残酷シーンというよりも、「チャップリンか!」である。

コメディのなかに、スラップスティックと呼ばれるタイプがある。
転けたり、ぶつかったり、常軌を逸した体の張り方で、爆笑を生み出す。
「ドタバタ喜劇」とも呼ばれる。
『死霊のはらわた』は、転けたり、ぶつかったり、さらには、吹き飛ばされたり、腕がふっとんだり、首がぶっとんだり、身体ごとふっとんだり、失った右腕にチェンソー合体したり、常軌どころかもはや生死すら逸した肉体の張り方であり、スラップスティックを超えてスラップスティック。

ホラー版「トムとジェリー」だ。
襲うのが猫じゃなくて死霊で、追われるのがネズミじゃなくて人間なので、血がガンガン吹き出すのだが。

『死霊のはらわた』ファンは必見。
ファンじゃない人や、ホラーって怖いからダメって人も、だいじょうぶ。
笑うのも、驚くのも、怖がるのも、全部いっしょくたになって襲ってくる傑作だ。
『死霊のはらわたリターンズ』から観るもよし、『死霊のはらわたII』から観るもよし。
ポテトチップス片手に、気楽にどうぞ。オススメ。(米光一成