睡眠不足は体内時計の老化が原因?知って得する生体リズムのメカニズム

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「最近よく眠れない…」
そう思うあなたの睡眠不足の原因は、「体内時計」が老化しているせいかもしれません。

 

さまざまなアンチエイジング方法が世に出ている肌や髪と違い、身体への影響やどんな対策が必要なのかがあまり知られていない「体内時計」の老化。
実は体内時計が乱れると、美容はもちろん睡眠不足や不眠にもつながり、病気や短命になる可能性があるんです!

 

今回は、睡眠の質の改善も促す体内時計のメカニズムを、生体リズムを研究されている明治大学農学部の中村孝博専任講師に伺いました!

 

生理機能にはピーク時刻がある!1日の周期性をもつ「概日リズム」とは

 

そもそも、私たちの身体には体内時計が備わっており、身体に約1日の周期である「概日(がいじつ)リズム」をもたらしています。でも、その時計はきっかり24時間を刻むのではなく、ヒトでは24時間よりも少し長く、マウスでは24時間よりも少し短い時刻を刻んでいるのです。

 

「概日リズム」は、9時にコレステロール合成がピークを迎え、13時に小腸運動が活性化、18時に尿量が最大になり、23時にはヒスタミン反応が強くなる、というように、生理機能ごとに日内変動をもちそのピーク時刻は異なります。このリズムは狂うことなく、毎日ほぼ同じ時刻にピークは出現するのだそう。

 

さらにマウスを使った研究によると、一日中暗闇で生活しているマウスと、明暗のある生活をするマウスとの活動時間に差があることから、「身体のリズムは“光”によって整えられている」ことが明らかになっています。24時間よりも少しずれた時計を毎日“光”で時刻を合わせているのです。

 

「脳内にある『時計遺伝子』のはたらきによってコントロールされ、睡眠のリズムはもちろん時間帯別にホルモンや内臓などさまざまな体の機能に働きかけている」という体内時計。日照時間の変化を感じて概日リズムを機能させているため、緯度の違う国や季節によって日照時間が変わると体内時計も変動するとのこと。

 

よく22時〜2時の間は「睡眠のゴールデンタイム」と呼ばれ、美肌やダイエット、日中のパフォーマンス向上につながると言われますが、日照時間が変わる冬と夏ではその時間にも少しズレがあるのかもしれません。

 

高齢者が早起きする理由は、脳神経の伝達能力の低下だった!?

 

2015年に、中村先生の研究室が、「体内時計の老化は、脳から送られる神経伝達の低下が原因である」と発表。

 

マウスを使った実験をおこなったところ、若いマウスも歳を取ったマウスも時を刻む細胞一つひとつの概日リズムは正確でしたが、歳を取ったマウスはその細胞からの指令伝達が悪いがために、それぞれの細胞がバラバラに活動し、正確な時刻を刻めなくなるというデータが出ました。

 

人間の場合でも、高齢者で睡眠の質が悪くなる傾向にあったり、朝早く目覚めがちなのは、神経伝達の機能が低下し、睡眠に時刻情報を送る体内時計が狂ってしまうからだと話す中村先生。

 

とするならば、脳神経伝達能力の低下を防ぎ、体内時計を整えることこそが、睡眠不足を解消する手立てといえそうです。

 

体内時計のリズムを正常にするためには、脳に光を与える時間を配慮すること

 

「一度狂ってしまった体内時計はすぐに戻すことはできません。でも、夜寝て朝日とともに起きる睡眠のペースを心がけることで、徐々に体内時計の正常リズムを取り戻し、寝付きやすい身体になる」と中村先生は話します。

 

体内時計を正常に維持し続けるポイントは、日中、適度に身体を疲れさせることと、就寝前に光を見ないこと。特にスマホやパソコン、テレビなどに使われているブルーライトは、脳に朝の光と勘違いさせてしまい、不眠や睡眠不足の原因になるので注意が必要です。

 

さらに中村先生たちの研究では、月曜日に学校や会社に行きたくないと思うブルーマンデーの原因を「週末に夜更かしをして体内時計が狂っているため、朝の光を浴びてもなかなか身体が目覚められないため」と結論づけています。

 

最近「寝付きが悪い」「睡眠不足が続いている」と感じている方は、脳に光を与える時間に配慮すること、例えば習慣化されている就寝前のスマホチェックをやめることからはじめてみましょう。

 

体内時計の老化を防ぎ、正常なリズムを刻ませることこそが、よりよい睡眠生活を送れる最大の近道といえそうです。

 

監修:明治大学農学部 専任講師 中村孝博

 

photo:Thinkstock / Getty Images