本日最終回。オールマイトが間に合った!「僕のヒーローアカデミア」12話

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「確かに時間はもう1分とない……! 力の衰えは思ったよりも早い!
しかしやらねばなるまい!! なぜなら私は……
平和の象徴なのだから!!」


熱い! 熱い! 
日5枠アニメ『僕のヒーローアカデミア』、先週放送の第12話「オールマイト」は最終回1話前のテンションの高さがぶっちぎり。本日放送の最終回の前におさらいしておこう。

No.1ヒーロー、オールマイト(演:三宅健太)抹殺を狙い、主人公・緑谷出久(通称デク/演:山下大輝)が通う雄英高校を襲撃した敵(ヴィラン)連合との戦いも、いよいよ最終局面!
生徒たちを守るために戦ったプロヒーロー、イレイザーヘッドと13号も倒れ、敵連合の大将、死柄木弔(しがらき・とむら/演:内山昂輝)と驚異の戦闘力を誇る改人、脳無(演:最上嗣生)の魔の手は、デクたちに伸びる……!

「もう大丈夫! 私が来た!」
間一髪! オールマイトが間に合った! かつては「ご都合主義」と揶揄されることもあった展開だけど、やっぱりヒーローはピンチに間に合うものだよね(『ワンパンマン』のサイタマは間に合わないこともある)。

しかし、無敵のオールマイトも、人知れず活動限界があった。同僚の13号によると、だいたいあと3分だ(指を3本出していたから)。活動限界3分のヒーローといえば、ウルトラマンか快傑ズバット(古!)。これもヒーローの王道だ。

ショック吸収能力と超再生能力、さらにオールマイトに匹敵するナチュラルパワーを持つ脳無の前に、互角の戦いを強いられるオールマイト。
轟焦凍(とどろき・しょうと/演:梶裕貴)、爆豪勝己(演:岡本信彦)、切島鋭児郎(演:増田俊樹)のヒーロー科1-A対人戦闘最強トリオも参戦するが、オールマイトと脳無の戦いぶりに圧倒されるばかり。

オールマイトは自衛隊だった!?


死柄木がオールマイトに動機を語りかける。
「俺はな、オールマイト、怒ってるんだ。同じ暴力がヒーローと敵(ヴィラン)でカテゴライズされ善し悪しが決まるこの世の中に。
 何が平和の象徴! しょせん抑圧のための暴力装置だ、お前は。暴力は暴力しか生まないのだと、お前を殺すことで世に知らしめるのさ!」

ここで死柄木が言う「暴力装置」とは、国家権力によって組織化され、制度化された暴力(警察や軍隊など)を意味するれっきとした政治学・社会学用語である。死柄木、インテリだねぇ。現実ではかつて民主党(当時)政権の官房長官が自衛隊のことを「暴力装置」と呼んでバッシングされたことがあるが、「別に普通の学術用語じゃん」というフォローも少数あった。自民党の政治家も自衛隊のことを「暴力装置」と呼んだことがある。

“平和の象徴”であり“犯罪の抑止力”そのものであるオールマイトは、死柄木にとって許せない抑圧の象徴だ。自分を抑圧する暴力装置は、(その後の世界がどうなろうとも)とにかく解体したいのだろう。

「めちゃくちゃだな。そういう思想犯の目は静かに燃ゆるもの。自分が楽しみたいだけだろう、嘘つき!」(オ)
「バレるの、早っ」(死)

ウソである。死柄木は自己顕示欲の塊であり、その表れとして“平和の象徴”の抹殺を自分の手で行って歴史に名を刻みたいだけだ。しかも、「ゲームオーバー」「コンティニュー」「クリア」と言っているように、ゲーム感覚で楽しもうとしている。死柄木の目からは醜い野心がダダ漏れだったということだ。

そんなやり取りの間にも、時間は刻一刻と過ぎていく。オールマイトの活動限界は残り1分少々。しかし、オールマイトはデクに力強くサムズアップ! うーん、アメリカン。敵がどんな相手かわからなくても、自分の限界が近づいていようと、ヒーローはけっして弱気なところを見せちゃいけない。

圧巻のアクションはケレン味200%!


オールマイトの覚悟が宇宙を光らせ、100%以上のSMASHを脳無に連続で叩き込む! 
脳無とのアクションシーンは圧巻中の圧巻だ。拳と拳の交わりは衝撃波を生み出し続け、2人の動きを追うカメラワークはグルングルンと動き続ける。
間にはちゃんとデクや死柄木らのリアクションもインサートされるので、彼らがいかに異次元のバトルを行っているかというのもよく伝わってくる。

「アクション自体は、地に足ついた感じがありつつ、+αでケレン味が出せたらという感じでしょうか」とは長崎健司監督の言葉だが、ことこのシーンにおいてはどう見てもケレン味200%。オールマイトのSMASH級のケレン味である。

「ヒーローとは常にピンチをぶち壊していくもの!
ヴィランよ こんな言葉を知ってるか!?」
さらに向こうへ! Plus Ultra!!」

連打でショック吸収を無効化され、オールマイトの宇宙をも拳に収めた渾身の一撃でキュピーンと星になった脳無。
オールマイトの爆発的な力が勝利をもたらした!
――が、敵はまだ2人、死柄木と黒霧が残っている。
オールマイトの活動限界は越えてしまい、行動不能寸前だ。
死柄木はどうする? オールマイトはどうなる? というところで、次回へ続く!

『ヒロアカ』は視聴者を甘やかさない


『ヒロアカ』の特徴は、視聴者にストーリーを俯瞰させないところにある。
視聴者だけでも敵の能力があらかじめわかっていれば、主人公サイドとのバトルを“天からの視点”で余裕を持って眺めることができる。敵が隠していた手を使えば「おおっ」と驚きつつ、「後出しジャンケン」「ご都合主義」とツッコミを入れられる余裕がある。しかし、『ヒロアカ』にはツッコミを入れられる余裕がない。

ヒーロー側の能力や性格、装備、考え方などはストーリーが進行するにつれて明らかにされていくが、敵側の能力や目的などがバトル前に明かされることは基本的にない。
敵側のストーリーもあるが、そこで語られる言葉は断片的であり、スペックや目的がわかりやすく語られることはない。見ている側は「こいつらは何を話しているんだろう?」「何を考えているんだろう?」と不安になっていく。

戦闘能力一つにおいても、戦っている最中にヒーロー側が気づくか、敵がポロッと明かしてくれるかでなければ、視聴者もどんな相手と戦っているのかわからない。
その分、敵はより一層不気味さを醸し出し、視聴者はヒーローの不安と、正体不明の敵に向かっていかなくてはいけない勇気も共有することになる。
『ヒロアカ』で、模擬戦闘などのヒーロー科同士の戦いと違い、敵との戦闘にすさまじいばかりの不穏さに満ちているのは、こうした理由だ。

原作者の堀越耕平はコミック7巻の「ステイン THE・ぼやきのコーナー」で、敵に関しては「親しまれてはいかんだろう」「恐ろしくあってくれ」という判断があると明かしている。
明朗な少年マンガの王道的ストーリーを展開する『ヒロアカ』だが、実は視聴者をまったく甘やかさないシビアな部分を持っているのだ。

さて、そんな『ヒロアカ』も本日で最終回。タイトルは「各々の胸に」。お見逃しなく! それではご唱和ください。さらに向こうへ、「Plus Ultra!」。
(大山くまお)