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●新しいヒーローを求めているのは子どもたちだけじゃない
「Amazonプライム・ビデオ」で配信されている特撮ドラマ『仮面ライダーアマゾンズ』が、7月から地上波のTOKYO MX、そしてBS朝日で放送されることが決まった。

本作は、毎週日曜朝8時からテレビ朝日系で放送中の「仮面ライダー」シリーズとはまったく異なる展開を目指しており、昭和の「仮面ライダー」シリーズにおいて最大の異色作と言われる『仮面ライダーアマゾン』をベースに置きながら、映像作品としての限界に挑戦したかのような過激なシチュエーションが話題となり、「仮面ライダー」ファンのみならず、刺激的なドラマを求める層から熱い注目を集めている。

物語の中心となる2人の仮面ライダー「アマゾンオメガ」「アマゾンアルファ」のほかにも、人間の肉を食らう凶暴な実験体「アマゾン」が無数に存在し、さらにこれを「狩る」ことで報酬を得る傭兵集団「駆除班」の面々がドラマに大きく関わっていく。特殊な環境下に置かれてもなお人間同士のつながりを守ろうとする者、生命を単なる実験台としか思っていない者など、さまざまなキャラクターが蠢き、ぶつかり合うスリリングなドラマ展開に目が離せない。

ここでは、"養殖"の「アマゾンオメガ」と対をなす"野生"の仮面ライダー「アマゾンアルファ」の変身者である、謎に満ちた男・鷹山仁を演じた俳優の谷口賢志にインタビューを敢行。『アマゾンズ』の魅力、そして撮影時の裏話、さらには役を演じた際の思いなどを訊いた。

――谷口さんといえば、1999年に放送された『救急戦隊ゴーゴーファイブ』でゴーブルー=巽ナガレ役を演じて以来の「変身ヒーロー」のレギュラーなんですね。

どちらかといえば今回の『アマゾンズ』の鷹山仁のほうが、僕本人に近いかもしれません。『ゴーゴーファイブ』のナガレとして、さわやか、優しい、そしてクールなヒーローを頑張って演じていたんですけれど、仁の場合はヒーローらしくないんですよ。まあ、あれから17年くらい年を取りましたし(笑)。演じ方なども変わってきますよね。

――いきなり本質的なことを訊ねてしまいますが、谷口さんが考える現代のヒーロー像とはどんなものでしょうか。また、『アマゾンズ』の基本設定についてはどう思われましたか。

時代が求めるヒーロー像というのは、常に変化しているんじゃないかと思います。単純に、変身したヒーローが守りに来てくれるってだけじゃない。特に「仮面ライダー」の場合、観る側の状況というのも変わってきていると思うんです。新しいヒーローを求めているのは子どもたちだけじゃないと。

そんな中、ネット配信という形式で、「仮面ライダー」のキャラクターを使って何を表現できるのか……といった部分が『アマゾンズ』に求められた課題だったんです。"養殖"といわれている悠と"野性"的な仁との対比によって、いろいろなドラマを見せていくという。最初に台本をもらったときから、非常に面白い作品だと思いました。

――仁の人物像について、どのように役作りをされましたか。

第1、2話の石田秀範監督からは、仁というキャラクターについて「ヒモで、アル中で、人殺しだ」とうかがったんです(笑)。もちろん冗談半分なんですけれど……。でも演じてみて、近からず、遠からずというところもありましたね。最初に受けた印象ってのはそんな感じでした(笑)。まあ、第1話に関していうと、仁のセリフって変身する時の「アマゾン」ってひと言だけですからね。屋上で鳥に餌をあげて、酒を飲んで、変身してほかのアマゾンを狩りに行くという、まさに石田監督から言われたとおりではあったんです。

――役を演じていきながら、仁という人物を探っていくような感じなのでしょうか。

撮影に入る前から、脚本の小林靖子さんや監督たちと話ができていたので、「これからこういう風な流れになるよ」みたいな展開や設定は把握していました。加えて現場でも監督と相談しながら、役を作っていきましたね。仁の場合、奇をてらおうというつもりはなくて、とにかく魅力的な人物を演じたいと思っていました。

仁の演じ方ですが、時にはすごく冷たい男のように見せる一方で、時にはただ明るいだけにも振ってみました。実は、どっちもやってみることで、両方の面があったほうが観ている側も「なんだコイツは」って思えるんじゃないかって。(藤田)富が演じる悠がわかりやすいキャラをしているので、仁は"よくわからない男"でいたいんですね。

●大げさじゃなく命がけで演じた
――子ども向けではない、大人に向けた「仮面ライダー」という部分をどのように受け止められましたか。

まだ最初の時に、白倉(伸一郎)プロデューサーから「『仮面ライダー』だからって思って芝居を作らないでください」って言われたことが心に残っているんです。ヒーローだとかライダーだとか考えずに、一人の人間を命がけで作っていけばそれでいいので、思い切りやってくれと。ありがたい言葉だと思いましたね。

感想をいただく中に、「これは子どもに見せられない」という意見が多くあるんですよ。でも、『アマゾンズ』のテーマは普遍的な「"生きる"ってどういうことなんだろう」「人間が生きる意味とは?」みたいなところがあるんです。例えば、ライオンが草食動物を捕食するって映像を子どもに見せるのかどうか、なんてことと本質的に同じなんじゃないかなって思うんです。子どもには残酷だから見せないという考え方もあるし、これは我々が生きていく上で見ておかなくちゃいけないことだという考え方もありますよね。

――仁、悠、そして駆除班メンバーたちは毎回のように生死をかけた戦いを行うので、誰かがどこかの回で死んでしまうのではないかと心配してしまうような展開ですが、これについてはどう思われますか。

毎回台本をもらうのが、これほどドキドキする作品はなかったですね。第1話から駆除班の中で大変なことが起こりますしね。この先どこかで死んでしまうか、僕にしても、駆除班の連中にしても、わからないわけですから。でもそういう展開だからこそ刺激的で、とても面白い撮影でした。

――凄絶そのものの仁の生活の中で、七羽と接する時だけは安らぎを感じられます。ああいった大人の男女のリアルな生活感というのも、「仮面ライダー」らしからぬ異例さですね。

仁はああいう風な男ですけれど、「アマゾン」なので人を襲って食うかもしれないんです。そんなヤツが、女を作って一緒に暮らしているというのは、すごいことなんですよ。仁と七羽は普通に日常を過ごしていますが、よくよく考えてみればとても特殊な環境なんですね。いつ食われるかわからないような状態で、日常的に笑っていられるって、どういうことなんだって。七羽と過ごしている何気ないシーンでは、そんなことを常に意識しながら演じています。

――悠や仁が変身した「アマゾン」と、覚醒した「アマゾン」との戦いの描写も生々しく、まさに野獣同士の殺し合いのような緊張感があります。

「仮面ライダー」をあらためて描くにあたって、ただ変身してライダーが怪人と戦うだけではなく、変身に至るまでのドラマをじっくり見せていきたいというのが、『アマゾンズ』の狙いだと思います。そして、変身後の戦いも、殴られれば痛いし、傷つけば血も出る。リアルに考えればそうなっていきますよね。そこがいいっていう人と、やりすぎだって人もいるでしょうけれど、どちらにも対応しようとすると中途半端になりますし、新しい扉は開けないと思うんです。

――最後に、鷹山仁という役柄および『仮面ライダーアマゾンズ』という作品全体についての感想をお願いします。また『アマゾンズ』がこのたび地上波、BSでも放送されることについて、ひと言お願いします。

鷹山仁という役に出逢えたことは、自分にとってとても幸福だったと思います。すでに撮影はすべて終了したのですが、いまだに心の中には鷹山仁が色濃く残っています。大げさじゃなく命がけで演じたつもりです。現場の空気がすごくよくて、監督はじめスタッフがみんな笑顔で、好きなもの、やりたいものをみんなで作っているんだなあと実感できました。

今度は地上波でも放送されるということですので、より多くの人に『アマゾンズ』を観ていただけると思うと、とてもうれしいです。撮影している間は、この描写とか芝居とか、地上波ではダメなんじゃないか?みたいなことを考えず、配信をご覧になる方に最高のものをお届けしようと演じてきました。

第1話なんか力が入りすぎて、まさかの40分越えでしたからね(笑)。あれが地上波放送になって30分に編集されたら、「仁の出番なくなるんじゃないの」って心配してしまいますけど、僕たちも地上波放送を楽しみにしています。撮影から日数も経って、かなり落ち着いて作品に向き合えるんじゃないかと思いますし、みなさんの感想などもしっかりと受け止めたいですね。どうぞよろしくお願いします。

特撮ドラマ『仮面ライダーアマゾンズ』は、BS朝日が7月3日スタートで毎週日曜25時〜25時30分、TOKYO MXは7月6日スタートで、毎週水曜22時30分〜23時。各話30分、全13話でオンエアされる。

■プロフィール
谷口賢志(たにぐちまさし)
1977年生まれ。東京都出身。
『救急戦隊ゴーゴーファイブ』(1999年)ゴーブルー/巽流水(ナガレ)役でデビュー。 演劇ユニット「ハイブリッド アミューズメント ショウ bpm」のメンバーとして活動。 『舞台 戦国BASARAシリーズ』明智光秀/天海役、『VISUALIVE ペルソナ4』堂島遼太郎役など。
(C)2016「仮面ライダーアマゾンズ」製作委員会 (C)石森プロ・東映

(秋田英夫)