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今年も開催された「東京おもちゃショー」は、それに先立って実施された「日本おもちゃ大賞2016」での玩具・おもちゃトレンド発表に象徴されるように、VRや小型ドローン、NFCなど通信機能を取り入れたハイテク系トイの躍進が印象的なイベントとなった。

そんな中、「ガンダム」や「仮面ライダー」、「ウルトラマン」などのアイテムを展開する玩具メーカー最大手のバンダイが新たに展開するコレクショントイとして発表されたのが、日本の伝統的な民芸品・ダルマをモチーフにした「DARUMA CLUB」。玩具の原点に回帰するようなアイテムは会場でも注目を集めていたが、その「DARUMA CLUB」が6月18日に発売を迎えた。

同シリーズを手掛けるのは、「仮面ライダー」に新しい解釈を加えた人気ブランド「S.I.C.」や、SF大作「スター・ウォーズ」シリーズのキャラクターたちが甲冑を身にまとった「名将」シリーズなどヒット作を世に送り出してきたコレクターズ事業部の内海翼さん。なぜ今「ダルマ」なのか、そしてその狙いは? 本人を直撃した。

――もともと玩具やキャラクターが好きでバンダイに入社されたのですか?

そうですね。玩具好きで入社したつもりだったのですが、会社に入ってみて、僕が好きだったのは"玩具"じゃなくて"雑貨"だったんだなということがわかりました。

――"玩具"と"雑貨"の違いとは?

価格やギミック、売り場の違いもありますが、具体的には雑貨店に置いてあるようなおもしろいペンや、なんだかよくわからないけどインテリアとして飾るような洋トイのフィギュアを玩具なんだろうなと思っていました。でも玩具ってもっと大掛かりなんですよね。例えばアクションフィギュアの売りである可動がどれくらいすごいのか、などという玩具的な視点でフィギュアを購入しようという発想は当時はありませんでした。

もう一つの購入の動機として「キャラクターが好き」ということがありますよね。僕は1984年生まれなのですが、この世代ってほかの世代に比べて特撮ヒーローをあまり通ってきていないことが多いんですよ。こういう会社にいると、キャラクターが「すごく好きでたまらない」という人が多くて圧倒されることもありますね。

――そういった「熱烈なキャラクター好き」が多くいらっしゃる中で、内海さんはどのように商品企画を進められているのでしょう?

僕はそもそも映画が好きで、大学でも映画を勉強していました。ここ数年になってバンダイがアメコミや『スター・ウォーズ』などの商品を積極的に展開するようになり、個人的には「やっときたな」という感じではあるのですが、一方で、映画公開に合わせた商品展開をしたからこそより多くの方に商品を手に取っていただけたのだと思っています。時流を読み、ベストなタイミングで商品を展開することがヒットにつながりますし、それが、僕ならではのアイデアの商品化につながっていくと思います。

同時に、世の中には僕みたいな人もけっこういるのかなと思う視点も大事にしています。キャラクターを好きすぎていることによって、過剰にこだわりすぎたり、割り切れなくなってしまうのもよくないなと。特にコレクターズ事業部では、「こだわり抜いた商品を出す」ことが前提なのですが、行きすぎると何十万円という高額商品になってしまいます。商品をお客様の手に届きやすい価格・仕様にするためには足し算・引き算をする必要があるのですが、キャラクターを好きすぎると引くことができなくなってしまうんですね。その点については、仕事においてお客様目線のフラットな姿勢でいられるのは強みになっているのかなと思います。

――今回の『DARUMA CLUB』は集めて楽しむタイプのコレクショントイですが、内海さんも収集されているものはあるんですか?

冬の時期は「落ちている手袋」の写真を集めていますね。

――手袋!? 軍手とかですか。

一応自分の中でこだわりとルールがあって、軍手は撮りませんね。ポイント制で、軍手はポイントが低いんですよ。軍手は1点です。趣味があまりないので、何か冬にできることがあればなと思って始めました。片方だけ落ちてる手袋って美しいなと感じたのがきっかけではじめました。落ちている手袋を写真に撮って、iPhone内に作った「さみしんぼ」ってフォルダに集めていくという趣味です。去年だけで27個落ちてましたね。自分にとってのメダル的な感じで集めています。

――それは今後も展開していくんですか?

まだ3年くらいしかやっていないんですよ。今までで一番の当たりが2つくっついている子供用の手袋なんですけど、あれ絶対落としちゃいけないやつじゃないですか。あれは6点で最高点ですね。

――そういうストーリーを想像していくというところは企画にも影響していたりとか。

直接はありません。ですが、商品を企画する場合に単発ではアイデアだけでよくても、シリーズで展開するとなるとストーリーがあったほうがイメージが膨らみやすいということはあります。これはあくまで僕自身の中だけなんですけれど、「名将」シリーズのダース・ベイダーは、「もしダース・ベイダーが帝国の勢いそのままに地球にやってきていたら……」ということを想像しながら企画しました。

――内海さんの"ヒットの法則"のようなものはあるんですか。

もちろんブランドによりますが、「名将」シリーズの場合は、「スター・ウォーズ」という作品の根底にあるデザインコンセプトに着目したアレンジが、造形作家の竹谷隆之さんの力と相まって世界で認められているのではないかと思います。S.I.C.については、世界で唯一「仮面ライダー」をアレンジさせていただけるフィギュアブランドなので、アレンジ力が全面に出るように心掛けています。S.I.C.については、一つひとつの商品で常にお客様にビックリしていただこうという発想で企画すると、いい反応をいただけるのかなという印象ですね。

――企画を打つ際に、想定しているターゲットは?

これもブランド、キャラクターによります。たとえば「スター・ウォーズ」やアメコミのS.H.Figuartsに関しては、まずはそのキャラクターがお好きな方がターゲットでありつつ、ブランドのメインで展開している「仮面ライダー」のお客様と、さらにはこれまでS.H.Figuartsを買っていなかった方たちを想定しています。このキャラクターについては"流行っているからこそ買ってくださる方をどうしても無視できないので、展開する際のタイミングや話題作りにも力を入れています。

――そういった要素が詰め込まれたのが、この「DARUMA CLUB」なんですね。

それが、今までやっている仕事とまったく違うんですよ。ただ、僕自身が雑貨好きなので、「DARUMA CLUB」ではそういう面が強く出ているのかなと思っています。

――なぜ今回「ダルマ」をモチーフにしようと思ったのですか?

コレクターズ事業部は普段、コアなファンの方に向けて一級品を届けることを得意とする部署なので、今回はそうではない、もう少しライトな方に向けた、手ごろな価格で気軽に集められるフィギュアを作ることをメインの目標にして企画しました。

最近は海外から観光で日本にいらっしゃるお客様が増えていることもあり、なにか日本伝統のものをモチーフにしたいと思っていました。「こけし」や「ダルマ」など日本的なモチーフが候補になりましたが、「ダルマ」が一番わかりやすいなと。

――観光客向けに企画された商品ということでしょうか。

基本的には日本の方に向けています。僕もそうですが、日本で生まれ育ったので、日本のものが好きですよね。でも、それについて詳しくは知らない。僕自身、今回企画をやる中で勉強になることが多かったですね。

――ただ今回は手足の生えた「ダルマ」ですよね。

ただ単に変な柄の「ダルマ」はけっこうあるんですよ。あえてタブーに挑戦してみることで、キャッチーになるかなと。若い人で「ダルマ」を集めているという人はあまりいないと思うのですが、これだったら気軽に集められるのでは。あとは縁起のいいものなので、お見舞いとか、知人が子どもを産んだとか、そういう時に「DARUMA CLUB」を持って行って「おめでとう」と。「変なダルマだね」って言われて会話が生まれればいいかなと。ダルマなので悪い気はしないとは思いますしね。

――ラインナップも幅広いですね。『魔法の天使クリィミーマミ』と『ウルトラマン』が並ぶという。

1BOXに6pcs入りのクローズドボックス仕様なのですが、内訳としては、DARUMA CLUBオリジナルのデザインが2つあって、これは日本的なものでいこうと決めていました。Vol.1は「赤いダルマ」と「富士山」で、Vol.2は「白いダルマ」と「相撲」です。あとはファンシーなキャラクターも取り入れようということで、Vol.1は「ペコちゃん」、Vol.2は「カピバラさん」。あとはヒーロー枠で「ウルトラマン」、加えて女性向けや、ファッション枠で「着物」、アーティスト・「studio crocodile」の文原聡さんとのコラボした「リス」などをラインナップしています。

――サイズは90mmと、コレクショントイとしては少し大きい印象があります。

多種多様なデザインを展開するため、あまり小さいと遊びがきかなくってしまいます。そういった理由で、開発の当初からある程度大きくしたいというところはありました。10mm単位で異なる試作を並べて検討した結果、現状の90mmのサイズが手に持った時にしっくりくるなと。価格を1,200〜1,500円に抑えたかったので、そういった観点からも一番適切と判断しました。

――商品化に至るまでにもっとも苦労した点は?

Vol.1の中ですと、非常に柄でこだわっているのが着物の「ダルマ」(JAPAN STYLE DARUMA)ですね。日本の伝統の技術ってすごいんだなというのを再認識しました。これは、日本の文化をいろんな世代に向けて発信している「JAPAN STYLE」さんにお借りした着物の柄をベースにしています。色彩を再現するために白を引いてから赤を乗せてと、色を何層にも重ねる方法で実現しています。これにより、美しい日本の着物の柄を再現できているので、ぜひ実物で日本らしい美しい色を楽しんでいただきたいです。

――「ウルトラマン」は質感がシリーズで展開しているフィギュアに近いなどアイテムごとに違いますね。

以前はボーイズトイ事業部に所属していて、「仮面ライダー」を3年、それから「デジモン」をやって、「マスコレ」シリーズを担当しました。コレクターズ事業部ではULTRA-ACTを担当していたこともあり、そういった経験が生きていますね。

――「DARUMA CLUB」の今後の展開は?

伝統的な日本を伝えながらも、商品を通して「新しい日本」を伝えられたらなと思っています。「JAPAN STYLE」さんもポップな着物を提案して日本人に日本のものを再認識してもらうというところを目的としているので、そこにシンパシーを感じました。

「DARUMA CLUB」を通じて日本人に「日本」を伝えながら、それを海外に向けて新しい日本の文化として発信していきたいです。今後も素敵でユニークなDARUMAが続々登場しますので、ご期待ください!!

(公文哲)