リオ五輪のオーバーエイジ(OA)に、興梠慎三が加わった。すでに内定していた藤春廣輝と塩谷司に加えて、29歳のストライカーが手倉森誠監督の要請に応えた。

 最初に触れるべきは、クラブ側の姿勢だろう。リオ五輪に出場することになれば、J1のセカンドステージを最大で5試合欠場することになる。選手層の厚いクラブでも、確実に痛みを伴う。

 しかも、彼ら3人が所属するクラブは、第1ステージの優勝を逃している。チャンピオンシップ出場へ向けて、第2ステージで巻き返しをはからなければならない。そのなかで、ガンバ大阪は藤春を、サンフレッチェは塩谷を、浦和レッズは興梠を送り出す決断を下した。

 クラブとしての利益は、ひょっとしたら損なわれてしまうかもしれない。それでも、OAの参加でU−23日本代表が上位進出を果たせば、Jリーグにとっては追い風となる。観客動員アップなどの波及効果が見込める。3クラブの決断は、具体的にはチームの指揮を執る監督の決断は、改めて評価されるべきだ。

 OAの選定と並行して、U−23世代の絞り込みも最終段階を迎えている。手倉森監督は「ある程度のメンバーの枠組みはすでにある」と話しつつ、「差し替えも可能」と続ける。7月1日の発表を前にして、6月29日の南アフリカ戦で最終テストが行われる。

 最大の論点は、ケガ人の回復具合だ。1月のアジア最終予選に参加したDF松原健、室屋成、鈴木武蔵、中島翔哉らのコンディションは、どこまで戻っているのか。連戦に耐え得るレベルを、ここから取り戻せるのか。南アフリカ戦のパフォーマンスだけでなく、リオ五輪での戦いにまで踏み込んだ見定めが、26日からの合宿で進められる。

 FWの人数が気になる。今回の南アフリカ戦には招集されていないものの、久保裕也と南野拓実のメンバー入りは間違いない。彼ら2人に加えてOAの興梠、浅野拓磨を加えると、FWの人数に不足はない。南野は2列目が定位置だが、2トップの一角に適応する。

 ボーダーライン上にいる鈴木武蔵とオナイウ阿道は、高さという特徴を持っている。攻撃だけでなく守備でも、彼らのうち少なくともひとりがメンバーにいるメリットはある。

 ただ、2列目でもFWでもプレーできる選手を増やしたほうが、連戦に耐え得るメンバー構成を作りやすい。鈴木とオナイウがいなくても、南野、中島、野津田岳人、矢島慎也らがいることで、手倉森監督がベースとする4−4−2と4−2−3−1が成立する。このあたりを、指揮官がどのように判断するか。

 もうひとつのポイントはGKだ。最終予選までファーストチョイスだった櫛引政敏は、所属する鹿島アントラーズで定位置をつかめていない。一方、トゥーロン国際に続いて招集された中村航輔は、柏レイソルのゴールマウスを守っている。どちらが正GKを務めるのかも、南アフリカ戦ではっきりさせたいところだ。