肥満や高血圧、高血糖などの生活習慣病は、程度が軽くても、合併することで動脈硬化や心筋梗塞、脳梗塞などのリスクを高めると言われる。ところが最近、このメタボリックドミノ症候群の中に、高尿酸血症も含まれることで注目されている。
 「実は、高尿酸血症と高血圧は密接に関係している。日本人は血清尿酸値が1(mg/dl)上昇するごとに、男性で18%、女性で25%、高血圧のリスクが上がるのです」
 こう語るのは、日本痛風・核酸代謝学会認定の痛風専門医の桑原政成医師で、先の高血圧学会でもこの論を報告して注目を集めた。

 同じように、米国医療機関でも、12〜17歳の追跡調査を行ったところ、尿酸値5.5以上の人は、7年後に2倍以上も高血圧を発症していた、という報告もある。
 「理由としては、尿酸値が高いと尿酸が血管に取り込まれて動脈硬化を引き起し血管を収縮させるホルモンの分泌が腎臓から増えてしまう、尿酸ができる段階でキサンチンオキシダーゼという酵素が血管拡張物質である一酸化窒素と結合することで血管のしなやかさも失われる、などと言われています」(健康ライター)

 我々の身体は約60億兆個もの細胞が活動することで成り立っている。細胞の核部分には「核酸」というものがあり、細胞がエネルギーを使って活動したり新陳代謝を行うことで、核酸がプリン体へと分解される。このプリン体が分解され、最終的にたどりつくのが尿酸だ。尿酸は身体にとって不要な老廃物、いわば“ゴミ”のため、尿として体外へ排泄される。
 「しかし元来、人間をはじめ一部の霊長類は、尿酸を分解するために必要な酵素が遺伝的に欠けているため、体内に溜まりやすい動物とも言われています。さらに食べ物、飲み物からの摂取量が過剰になりすぎ、腎機能の低下によって排泄しにくい状態になると、行き場を失った尿酸が血液の中に留まって増え続けて行くのです」(同)

 高尿酸血症は、一般的には性、年齢を問わず、血清尿酸値が7.0mg/dlを超えた状態。長く続くと血液に溶け切らなかった尿酸が結晶となって関節に沈着し、急性関節炎(痛風)を引き起こす。また、結晶は腎臓にも沈着し、腎障害を起こして尿路結石が出る人も少なくない。
 「最近では治療が早めに行われる環境になり尿毒症の治療も進歩したため、腎不全から尿毒症を起こして死亡する痛風患者は減りました。しかし、1980年代に痛風患者の死因を調べた統計では、実に40%が腎不全から来る尿毒症で亡くなっている。そのため、痛風による腎障害は、今なお十分に怖い合併症なのです」(同)