ヤバイ木村佳乃とコクの小池栄子。春ドラマを盛り上げた二人の魅力
【春ドラマを勝手に表彰!助演女優賞編】

 岡田将生、松坂桃李、松本潤、坂口健太郎とイケメン祭りにホクホクできた2016年春ドラマがすべてエンディングを迎えた。そしてイケメンの向こうにはドラマを支える美女たちがいる。ドラマ好き歴20年のライター・スナイパー小林が、今クールのドラマで光っていた2名の女優を「助演女優賞」にピックアップ。彼女たちの魅力に迫っていく。

◆満面の笑顔の怪演

助演女優賞:木村佳乃(関西テレビ・フジテレビ『僕のヤバイ妻』)

 望月真里亜(木村佳乃)の狂言誘拐から物語が幕を開ける。毎回、ニッコリとした笑顔で身代金の2億円を奪おうとする人間を追い詰めていく真里亜。何度倒されてもジェイソン(『13日の金曜日』)のように蘇る。それもこれも愛する夫・幸平(伊藤英明)と一緒に過ごすため、そして16億円という大金を手に入れるための布石に過ぎなかった……。

 結果、全9話すべてが彼女のトリックにハマったようなドラマだった。木村佳乃が回を追うごとにホラー度が増幅。ただ怖いだけを演じるなら貞子になるか、血糊でもつければいい。でも彼女が演じた真里亜は楽しそうに笑いながら卑劣かつ残酷な行為に及ぶという、一番身震いするパターン。そこを1ミリもズレることなく演じ切っていた。

 最終回に来て、裏番組のTBS『重版出来!』を超えて視聴率を平均一桁代から10.4%まで伸ばしたのもうなずける。

 この演技が脳にインプットされたのか、彼女が笑顔で爽やかに出演中の「チップスター」のCMを見ても、中に毒でも仕込んであるのではないかと妄想するようになったほど。

 背景に、木村佳乃の私生活が家庭円満であること、そして最近はバラエティ番組でも活躍する天真爛漫さとのギャップが、あのおどろおどろしい演技を引き立てていたのかなとも推測。

◆“縁の下の超力持ち”を思わせる確かな演技

助演女優賞/小池栄子(日本テレビ『世界一難しい恋』)

 かつては旅館の仲居、現在はホテル経営を手がける若社長の敏腕秘書・村沖舞子役の小池栄子。社長が恋路に悩んでいると、

「恋愛に必要なのは正直さではありません、心地よさです」
「些細な事にこだわる男は残念ながらモテません」

と名言集でもできそうな恋愛指南を落ち着いたトーンで話す。

 父っつあん坊やのワガママ社長に対し、時には冷たく突き放し、時には慰める。絶妙なタイミングで飴と鞭を使いこなすソツのない対応だ。以前出演したフジテレビ『リーガルハイ』でのセクシー秘書役とはまったく違う“THEデキる女性”だった。

 よく助演の女優を「主演を喰う」「主演を引き立てる」と表現する。この原稿を書くときにいろいろ考えたけど、彼女にはどれも当てはまらない。

 ただ強いて言うなら、コクのある演技をする人だなと思う。料理をしていると最後に「味が決まらない」と迷うことがある。この原因のほとんどはコクが足りないパターンだ。今回のドラマを見ていると、何かが足りない、そんなシチュエーションにコク出しの女優がラスボスのごとく登場する。ストーリーに必要な味をビシッと決める、それが小池栄子だった。

※次回はドラマストーリー賞を発表。

<TEXT/スナイパー小林>
【スナイパー小林 プロフィール】
ドラマ解説、芸能、恋愛、カルチャー、美容・健康ネタ好きのライターであり、編集者であり。執筆や編集を手がけた媒体は100冊以上。約20年以上ドラマをこよなく愛し、ついには趣味が仕事になった幸せ者のアラフォー。Twitter:@hisano_k