『ふきげんな過去』 (C)2016『ふきげんな過去』製作委員会

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【映画を聴く】前編/まだ変化の途中。
50歳にして変わり続ける小泉今日子の変わらない魅力

◆アイドル期、サブカル期、女優期の3つの変化

今日から二階堂ふみとのW主演作『ふきげんな過去』が公開される小泉今日子。近年では何と言ってもNHK連続テレビ小説『あまちゃん』の天野春子役が印象的だったが、映画の主演は永瀬正敏との元夫婦共演が話題となった2011年の『毎日かあさん』以来5年ぶり。現実と非現実が入り交じる前田司郎監督の独特な世界観の中心をなす未来子という死んだはずの謎の女を演じている。発売50周年という「明星 チャルメラ」のCMに“同い年”として出演、年を重ねることを楽しむかのようなそのスタンスは、いつまでも若さを保ち続けようとする“美魔女”とは対極にあるが、以前にも増して同年代の女性の熱い支持を受けているようだ。

“小泉今日子のスゴさ”を論じた本はこれまでにもいつくか世に出ているし、メディアで語る人も多い。最近では日本文学研究者の助川幸逸郎さんが昨年刊行した『小泉今日子はなぜいつも旬なのか』(朝日新書)が小泉今日子論の最新型にして決定版と言っていい好著だ。幅広く丹念な取材と深く骨のある洞察、そして本人への距離の取り方が、いい形で実を結んでいる。ざっくりまとめると、タイトルになっている“小泉今日子はなぜいつも旬なのか”という問いかけに対する答えを著者は“変化する力”と結論づけているのだが、それは先の“年を重ねることを楽しむスタンス”にも通じるし、34年にわたる彼女の歩みを振り返ればさらに納得できる。

“花の82年組”のひとりとして、当初は松田聖子以降の清純派路線で売り出されたがパッとせず、髪を切ってイメチェン。男性だけでなく女性にも支持される新しいアイドル像を確立した80年代。“渋谷系”やクラブカルチャーに接近してアーティスティックな活動にシフトしていった90年代。相米慎二監督の2000年の遺作『風花』への出演を機に、映画界に独自の立ち位置を見出した00年代以降。小泉今日子の34年のキャリアは、80年代のアイドル期、90年代のサブカル・クイーン期、00年代以降の映画女優期の3つの時代に大きく分けることができ、そこにはいつも必然ともドラスティックとも思える変化が伴っている。

どの時代にも言えることは、小泉今日子という存在をソリッドに浮かび上がらせる強力なブレーンやコラボレーターが存在すること。そして彼らから得た知識やノウハウを漏れなく吸い上げながら、最終的にはそれらを“小泉今日子にしかできない表現”としてアウトプットする姿勢も一貫して変わらない。(後編「小泉今日子を支えた2人のブレーン」に続く…)

【映画を聴く】後編/小泉今日子を支えた2人のブレーン

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