映画『二重生活』の主演女優・門脇麦に直撃インタビュー! 「尾行シーンが最高に楽しかった」その理由とは?

写真拡大


[公開直前☆最新シネマ批評・インタビュー編]
映画ライター斎藤香が皆さんよりもひと足先に拝見した最新映画のなかからおススメ作品の女優を直撃インタビューします。

今回、直撃インタビューをしたのは、小池真理子著の同名小説の映画化『二重生活』(2016年6月25日公開)の主演女優、門脇麦さんです。

最近では映画『愛の渦』『オオカミ少女と黒王子』『太陽』や、TVドラマ『お迎えデス。』『火花』など多数出演していますが、意外にも門脇さんにとって、本作は初の単独主演映画なのです。

今回は、修士論文のために男を尾行する大学院生を演じている門脇さん。その彼女に、撮影の裏側、この作品への想い、私生活のことなど……いろいろ聞いてきました!

【物語】

大学院で哲学を学んでいる珠(門脇麦)は、修士論文のために篠原教授(リリー・フランキー)から、哲学的尾行の実践を勧められます。無作為に選んだ対象人物を尾行して、その行動を記録するのです。

珠は書店で偶然、自分が住むマンションの隣家の石坂(長谷川博己)の姿を見つけます。出版社の編集者として作家のサイン会に立ち会っていた彼が書店を後にしたとき、彼女は石坂を尾行するのですが……。

【初めて自分の出演作を客観視できました】

――まずは単独初主演映画になる『二重生活』で演じた白石珠について教えてください。

門脇麦さん(以下、門脇)「珠は、悲しい過去を背負っており、そのせいで感情にフタをして生きている女性です。大人になるにしたがって、本当の感情にはフタをしがちですが、自分の素直な感情から目を背け続けると感情が麻痺して、悲しいはずなのに悲しい感情がちゃんと湧かなくなったり、常にモヤっとしたものを抱くようになると思うんですよ。珠はずっとそういう気持ちを抱いているような気がしました。」

――難しい役ですね。完成した映画を見た感想はいかがですか?

門脇「自分の出演した作品で初めて客観的に見ることができました。いつもは、脚本は何度も読んでいるし、様々なシーンを何度も演じているから、何が面白いのかさえわからなくなるんですよ。“このシーンは雨待ちしたなあ”とか、撮影現場のことを思い出して、お客さんとして見られなかったんです。でもこの映画は想像を超えていました。カメラマンさんは、ずっと手持ちカメラで撮影されていたので、どこをどう切り取られているのかわからなくて、自分が出演している映画なのに、自分が出ていない映画のように感じましたね。おもしろかったです!」

――菅田将暉さんが恋人役で出演していますが、二人のシーンは自然でリアリティある恋人同士でした。

門脇「珠と卓也(菅田将暉)のシーンは、段取りとかなく“こういう状況で暮らしています。ではご自由に演じてください”という感じだったんですよ。手持ちカメラでの撮影は360度、役者の演技が切り取られる現場だから、演技だけじゃカバーできない、自分自身を持ち込んでカメラの前に立たないといけないと思いました。あと菅田さんとは共演経験もあるので、相手役が菅田さんだから無理なくできたのかもしれませんね」

【尾行シーンは楽しかったです!】

――石坂(長谷川博己)を尾行するシーンが多いのですが、どんな気持ちで演じていたのですか?

門脇「最初の2日で卓也との同居シーンを撮影したのですが、ここで役をつかもうとしていたものの、すごく苦しかったんです。珠はすべてをいい塩梅にして、自分が傷つかないようにする自分中心な女の子。だから“珠ちゃんのこと好きになれるかな……”と、ずっとモヤモヤしていました。でも尾行シーンは珠の内面を考えなくてもよかったので、一気に気持ちが軽くなって、尾行初日は最高に楽しかった! でもそれは珠の気持ちとも重なっていたと思います。彼女も尾行することで現実逃避ができて、そういうことしている自分に興奮していたと思いますね」

――尾行シーンは、けっこう近づいたり、走ったりするので、バレるんじゃないかとドキドキしました。

門脇「正直、明らかに近すぎるかなと思うこともあったんですが(笑)、珠が石坂を尾行しているというシーンを確実に映すことが大前提なので。そこはファンタジーです(笑)」

――もし門脇さんが、誰かを尾行するとしたら、誰を尾行しますか?

門脇「全く知らない人がいいですね。知っている人の知らない一面を知って、いいことって何もないと思うんですよ。例えば喫茶店で隣に座っている人が、今日1日どういう行動をするか追ってみるとか。誰かを尾行しなくちゃいけないとしたら、そうします」

――なるほど〜。確かに知っている人の尾行は怖いですよね。ところで、石坂役の長谷川さんとは、芝居の打ち合わせなどは? 長谷川さんの印象を教えてください。

門脇「長谷川さんに限らず、共演の方と芝居について打ち合わせしたりはしなかったです。撮影したのが3月で花粉の季節だったので、長谷川さんは花粉症が辛そうでした。あと私はずっと尾行しているので、長谷川さんと過ごした時間のほとんどは背中を見ていたのですが、背中だけでもかっこよかったです(笑)」

――いつも共演される方とは演技の打ち合わせはせず、“せーの”で入る感じですか?

門脇「はい、そうですね。あ、でも仲良しの役の場合は、あらかじめコミュニケーションを取りますね。私が人見知りでちゃんと相手を知っておかないと、カメラの前で仲のいい空気が出せないので(笑)」

【オフは読書と映画鑑賞です】

――出演作が続き、忙しいとは思いますが、オフはどんな風に過ごされているのですか?

門脇「私は本屋さんが好きでよく本を買うので、家にまだ読んでいない本がたくさんあるんです。だから休みの日は読書をしたり、映画を見に行ったり。最近では『植物図鑑』を母と見に行きました。誰かと食事することの大切さがベースにある恋愛映画で、とても良かったです。読書は、哲学書を読むのが好きで、アドラーとかおもしろいなと思います。哲学はある意味、人間観察だと思うし、まんべんなくいろいろな考えがあるところが好きですね」

――最後に、この映画はサスペンスの一面も、人間ドラマの一面もありますが、門脇さんはどんな映画だと思いますか?

門脇「尾行のスリルとサスペンス、思考を刺激する哲学、尾行を勧めた教授の気持ち、ヒロインの成長など、いろいろな側面がある映画でそこが面白いと思います。人間は一歩踏み込んだところに何かがある……ということを描いた映画ですね」

ほんわかした可愛らしい一面と、シャープで切れる頭脳を持っている門脇麦さん。多面性の魅力を持った映画『二重生活』と同じく、いろんな表情を持った女優です。

映画『二重生活』で、門脇麦が演じる珠が尾行の先でつかんだものとは……? ぜひスクリーンで観てください。

取材・執筆=斎藤 香 (C)Pouch
撮影(門脇麦)=郄橋明宏 (C)Pouch
スタイリスト:佐伯敦子
ヘアメイク:石川奈緒記

『二重生活』
(2016年6月25日より、新宿ピカデリーほか全国ロードショー)
監督・脚本:岸善幸
原作:小池真理子
出演:門脇麦、長谷川博己、菅田将暉、リリー・フランキーほか
(C)2015「二重生活」フィルムパートナーズ

この記事の動画を見る