自由民主党HPより

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〈何で質問に答えなかったんですか?〉
〈ツイッターで質問募っておきながら、全く答えないって、これヤラセですよね。ツイッターはヤラセOKってことですか?〉
〈時間と電波の無駄でした。〉

 参院選での自民党優勢が伝えられる中、ツイッターユーザーから自民党へのこんな非難が続々と寄せられている。

 なぜこんなことになったのか。周知のように、これはツイッタージャパン社が参院選に際して立ち上げた「政党と話そう」という企画をめぐって起きた騒動だ。

 この企画、第一弾が自民党で、ツイッターのハッシュタグ「#自民党に質問」をつけて質問を投稿すると、自民党の山本一太参議院議員がネット生中継でそれらの疑問に答えるということになっていた。

 ところが、蓋を開けてみると、リツイートの多い質問は安倍政権や自民党の本質を突くような厳しい質問ばかり。いったいどう答えるのか、と昨日6月23日午後9時からの30分間生中継を見てみたら、山本議員は「#自民党に質問」の内容についてなんと、こうした質問をほぼ完全にスルー。自民党の宣伝に終始したのだった。

 では、実際にはツイッターではどのような質問が集まっていたのか。まず、RTの多かったものを紹介しよう。

〈消費税は何に使ったのですか? 【介護報酬】1130億円減額 【介護保険利用料】123億円負担増 【介護施設利用料】100億円負担増 【中小企業健康保険補助】460億円減額 【医療窓口負担】465億円負担増 【年金】1300億円減額 【生活保護】70億円減額〉(1741RT)
〈どうして安倍さんが統一協会の雑誌の表紙になっているのですか?〉(1660RT)
〈米軍関係費と自衛隊装備などに5兆円を超える予算をつけるのに、待機児童解消のための3000億にも満たない予算が出せない理由を教えてください。〉(1618RT)

〈この(註:創生「日本」の会合の)動画で、はっきり「憲法改正させましょう。基本的人権、国民主権、平和主義、この3つをなくさなければならない」と仰ってますが、選挙終わったら出してくるんですか?今はまだ隠してるんですか?〉(1418RT)
〈首相が外遊する度に、税金をばら撒いていますが、いったいそれ、誰が許したんですか?どこでどういうプロセスで決まったんですか?国内で財源のアテがないとして山積みになっている緊急に解決の必要がある問題を差し置いて国外を優先するのはなぜですか?またその財源は?〉(1129RT)
〈安倍首相が、#報道ステーションで「今ものすごい景気いいんです」といわれたそうですが、何故いま日本の子どもの六人に一人が貧困に苦しんでいるのですか? 格差を分析したところ、日本は先進41カ国中34位で、悪い方から8番目〉(1156RT)
〈安倍さんにちょっとでも批判的な集会とかデモとかすると、街宣右翼の人や差別主義団体の方々が、大きな街宣車で罵声をあげてくるんですけど、あれお友達ですよね? どうして街宣右翼や差別主義者の方とそんなに仲がいいんですか?〉(1113RT)

 さらには、〈カネで東京五輪買ったんですか?〉(516RT)、〈安倍首相が「取り戻す」日本には沖縄は入っているんですか? 沖縄の女性はいつまで蹂躙されて、犠牲になり続けなければいけないんですか?〉(856RT)というストレートな質問から、こんな安倍首相の側近議員の問題発言、不祥事に対する不信感まで幅広く拡散された。

〈「国民の生活が大事なんて政治はですね、私は間違ってると思います」なんておっしゃる方が、政務調査会長でいいんでしょうか?〉(1128RT)
〈甘利明氏に対して、党で調査をして処分しないのですか。〉(869RT)
〈ここまでハッキリ報道されているのに、高木復興相が名誉毀損で訴えることもせず沈黙しているのは、女性宅に不法侵入して下着を盗んだ事実があるからだとしか思えませんが、そのような人物が、なぜ大臣をやっているのですか?〉(522RT)

 もっとも、上に紹介したのは膨大な質問のなかのほんの一部。繰り返すが、こうした安倍自民党の政策の核心や本質に迫る質問の数々を山本議員はオールスルーしたのだ。

 そして、かわりに明らかに応援団が投稿したと思われる質問ばかりを取り上げ、延々予定調和のやりとりを繰り広げた。

Q アベノミクスは成功ですか? 失敗ですか?
山本「失敗には全く当たらない」

Q 政策が一致していないにもかかわらず選挙のためにだけ協力したとしか思えない民進党と共産党をどう思いますか?
山本「争点は経済」「民共合作は混乱の極み」

Q なぜ今回の選挙で改憲を争点にしないんですか?
山本「最大の争点は経済。景気回復の実現」

 さらには、「安倍総理のツイッターの中の人は山本一太さんというのは本当?」「山本先生のネット戦略アドバイザーとしてのご自身の働きをどう評価していますか?」という、山本議員の自己宣伝としか思えないような質問をとりあげたり、「安倍総理は人として尊敬できますか」という質問に「答えはYES。信義がある人。安倍総理は本当に信頼できると思います。第一次政権のころは結構イライラしていましたけど、いまは周りの人に聞くとほとんど怒ったことがないみたいですね」と露骨なヨイショをしてみせたり......。

 これでは、ユーザー、視聴者の怒りが沸騰するのも当然だろう。実際、中継が行われたアプリPeriscopeは、ツイッターユーザーが画面にリアルタイムでコメントを投稿できる仕組みになっているが、中継中から〈公約はネットで確認できるので、回答お願いします〉〈30分しかないんだから、質問に早く答えてよ〉〈しつもんに答えてくださーーーーーい〉などといった書き込みが殺到。呆れ果てた視聴者から〈どうでもいいわ!〉〈時間つぶしかよ〉〈テレビショッピングの小芝居のほうがマシ〉などと揶揄される始末だった。

 ところが、自民党は最後の最後までこの「やらせ」を貫き、さらに当事者である山本議員は中継後の24日早朝、自身のブログを更新し、そこでこんなことを書いていた。

〈予想したとおり、視聴者からのツイートは辛辣なものが多かったらしい。参院選挙中であることを考えれば当然だろう。ここぞとばかり、「アンチ安倍」の人たちが、ワッと攻撃を仕掛けて来るのは目に見えていた。 
 が、自分以外だったら、もっとひどかったに違いない(笑) とにもかくにも、反響が大きかったのは良かったと思う。伝わるひとには、伝わっているはずだ。〉

 何を言っているのだろう、この安倍の腰巾着は。国民から質問を募っておいて、それにまともに答えないばかりか、その不誠実な姿勢に対する不満の声を「アンチ安倍の人たちがワッと攻撃」などとほざく。国民をなめているとしか言いようがない。しかも、「伝わる人には、伝わっているはずだ」、だと? 

 たしかに、今回の一件で、自民党が結局のところ、国民の疑問に答えるつもりなどないということは十分伝わった。

 争点を経済の一点張りでアベノミクスの虚構をひたすら喧伝し、誰がどう見ても真の争点である改憲の野心を隠し、議席獲得後に手のひらを返す。そうした国民軽視の卑劣なやり口が、今回のツイッターの企画で完全にあぶり出された形だ。

 だが、政治家連中がいくらなかったことにしようとしても、ハッシュタグ「#自民党に質問」は多くのツイッターユーザーの目に止まり、ある種のムーブメントにすらなった。今後も、自民党や安倍政権の政策に対する疑問を、どんどん投稿していけば、その危険な本質はネット上に広まっていくはずだ。

 いつまでも連中の広報に乗せられてはならない。政治をジャッジするのは、わたしたち自身にほかならないのだから。
(小杉みすず)