タトゥーがまったくないクリスティアーノ・ロナウド選手(写真:AP/アフロ)

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欧州サッカー界ではタトゥー(入れ墨)を入れる選手が多いが、スペインリーグのレアル・マドリード所属でポルトガル代表のクリスティアーノ・ロナウド選手は、一切入れていない。その理由を「献血できなくなるから」と話している。

日本赤十字社は、タトゥーをした人が献血すると重篤な感染症を引き起こすおそれがあると指摘した。

日本では6か月以内にタトゥーを入れた人は献血できない

ロナウド選手は毎年2度の献血をしており、そのためタトゥーを入れていない。過去に欧米メディアが報じていたが、2016年6月24日現在開催中の「UEFA欧州選手権(EURO 2016)」の報道でも、ロナウド選手の姿勢が改めて注目を集めている。

なぜタトゥーがあると献血ができなくなるのか。日本赤十字社(日赤)血液事業本部の担当者は、J-CASTヘルスケアの取材に対し、以下のように答えた。

「入れ墨を入れる際に、血液の付着など消毒が十分に行われていない器具が使用されることがあり、その場合、肝炎等のウイルスに感染する危険性があります」

タトゥーは、針を皮膚から2ミリほどの深さまで刺し、染料を染み込ませて入れるため、刺した部分からウイルスが入るおそれが生じる。感染症の中には自覚症状がないものもあるため、感染しても気付かずに献血して、その血液を輸血された人へと感染が拡大する可能性がある。そのため、

「6か月以内に入れ墨をした方からは献血をご遠慮いただいております」

という。

タトゥーと言っても、体全体を覆うような大掛かりな「模様」から、ファッション感覚で手首や指先にワンポイントで入れたものまで、大小さまざまだ。日赤は、「入れ墨の大小に関係なく」、入れてから6か月間は献血を断っているという。さらに、6か月を過ぎても、献血前の問診で医師の判断により断られる場合がある。ごく小さい入れ墨でも、感染症のリスクありというわけだ。

医師法上、タトゥーの施術には医師免許が必要だ。そこで、医師が法に則ってタトゥーを入れたと証明できた場合はどうか。日赤は、これも同様に、感染症のリスクをぬぐい去れないため献血できない、と回答した。

血液検査で感染初期のウイルスは検出できない

しかし、たとえ入れ墨を彫っている人でも、血液検査すればウイルスがあるかどうかは分かるのではないか。日赤に問い合わせると、

「血液中の肝炎等のウイルスは現在の検査感度では、感染ごく初期の段階では検出できない」

と明かした。

ウイルス感染してから検出できるようになるまでのこの空白期間は「ウインドウ・ピリオド」と呼ばれる。たとえばHIV(エイズウイルス)のウインドウ・ピリオドは11日間。検査技術の向上により、大幅に短縮されてはいるものの「ゼロにはできない」という。

そのため、献血には慎重を期す姿勢が見える。背景には、献血が原因でウイルス感染してしまった過去の経験がある。日赤は2013年12月13日、HIV感染者から献血され、60代男性に輸血されて感染したと発表。「血清学的検査」と「核酸増幅検査」という二段構えで感染症検査を行ったものの、血液中のウイルスがごく微量だったため、検出できなかったという。以来、安全性の向上により一層取り組むようになった。

なお日赤では、タトゥー以外にも献血できない場合をウェブサイトで列挙している。たとえば「6か月以内にピアスの穴をあけた」人もあり、理由はタトゥーと同じ。他に「出血を伴う歯科治療をした」人も治療後3日間はできない。24時間以内にインフルエンザや破傷風などのワクチンを接種した人や、海外から帰国して4週間以内の人も「ノー」だ。種類にもよるが「服薬中」の人も断られる。