ダメな香川照之、普通の坂口健太郎に春ドラマの助演男優賞を!
【春ドラマを勝手に表彰!助演男優賞編】

 ラブコメディ、弁護士モノ、婚活ドラマ……とバラエティー豊富だった2016年春ドラマが終わった。最近朝から晩まで10時間近くテレビを見ていて、もうライターじゃなくてテレビヲタク疑惑さえ浮上している私、スナイパー小林。主演を盛り立てた、いや主演以上に存在感が光っていた男優たちに「助演男優賞」を授与してみた。

◆ダメな香川さんに会えて良かった

助演男優賞:香川照之(TBS『99.9-刑事専門弁護士-』)

 主演の松本潤演じる深山大翔は、自分の勘を頼りに猛烈なツッコミを入れて事件を解決していく偏屈な弁護士だ。その上司となるのが、企業弁護のトッププレイヤーだったはずが刑事専門ルームの室長を命じられ、なるべく波風を立てずに事件解決を促そうとする佐田篤弘(香川照之)。

 ほぼアドリブだったというふたりの掛け合いはドラマの見どころだった。そこでは佐田はいつも深山にやり込められてしまうというのがオチ。自宅に戻っても妻と娘にはまったく頭の上がらない父親として、ちょっと可愛い香川照之がそこにいた。

『半沢直樹』『ルーズヴェルト・ゲーム』『流星ワゴン』『新参者』と立て続けに出演を重ね、TBS日曜21時放送ドラマ枠の“影の主演”というイメージの彼。どの作品でも一癖も二癖もある役で時には“主役喰い”と言われていたけれど、今回はエリートなのに憎めない、普通のおっさんの一面が見えた。こういう香川さんを視聴者はずっと待っていたはず……。

 バラエティ番組に出演するときの彼も好きだ。高田純次も驚くくらいのテキトーなトークで笑わせてくれる。プロ意識が必要以上に強いのか、このドラマの番宣でカマキリの着ぐるみを着て登場したときは、笑いを通り越してあっけに取られた。

 笑いと情熱の間をうまくかき分けて進む香川照之。それもこれもすべて、東大卒の頭脳を生かした計算なのかもしれない。

◆いるいる、こんな出版社の営業マン!

助演男優賞:坂口健太郎(TBS『重版出来!』)

 今や朝ドラ、連ドラ、CMと見ない日はないんじゃないかというほど人気の坂口健太郎。しっくりくる役がないんだよなぁと思っていたが、『重版出来!』で演じた出版社の営業マン役がはまった。

 編集者になりたくて異動届けを出し続けて早や3年が経過した、坂口健太郎演じる小泉純。仕事にやりがいも見出せず、存在感が薄すぎて営業先からは幽霊扱い。でもそんな営業マンが読者へ本を届ける大切さに気づいていくという、彼が主役になった回があった。

「やだ、いるわ、こういう営業の人!」

 思わず声を上げてしまった。出版業界に身を置く代表として言わせてもらうが、本当にやる気のなさそうな本の営業マンはいる。愛情込めて本を制作しているのは編集者だし、営業は何十冊も担当しているのだから熱意に差が生じてしまうのは当たり前。でも実際よく揉める……というか、ドラマ通りに編集ばかりが熱くなるパターンがほとんどかもしれない。

 熱意がないわけじゃないけれど、全てに息を荒くしていたら営業も身が持たない。だから余計なことは言わない。そういうゆるさを坂口くんは表情と少ないセリフで好演していた。

 敢えて“普通っぽさ”を光らせた25歳に今後も期待大。

※次回は助演女優賞を発表。

<TEXT/スナイパー小林>
【スナイパー小林 プロフィール】
ドラマ解説、芸能、恋愛、カルチャー、美容・健康ネタ好きのライターであり、編集者であり。執筆や編集を手がけた媒体は100冊以上。約20年以上ドラマをこよなく愛し、ついには趣味が仕事になった幸せ者のアラフォー。Twitter:@hisano_k