専門誌では読めない雑学コラム
木村和久の「お気楽ゴルフ」連載●第60回

 ゴルフの試合は大概スコアを競うストロークプレーですが、たまにマッチプレーの試合もあります。アマチュアでも、これをやるとすごく盛り上がります。もし機会があったら、ぜひ試してみてください。

 マッチプレーは、テレビのゴルフ番組でよく見かけます。以前も紹介したことのある、BSジャパン(7ch)の『ゴルフ侍、見参!』(日曜、朝8時)という番組では、シニアプロとトップアマが9ホールのマッチプレーで勝負しています。たまにアマ優位となり、プロがしぶしぶ「オーケーです。参りました......」と言うときなんか、痛快ですね。だいたい、マッチプレーには大叩きがないのがいい......って、推奨するとこはそこですかぁ〜。

 私も以前、鶴舞カントリー倶楽部(千葉県)の理事長杯に出場したとき、予選を通過して、マッチプレーをしたことがあります。その体験談をもとに、マッチプレーの魅力を語りたいと思います。

 鶴舞CCの理事長杯は、ストロークプレーによる予選があって、上位32人が決勝トーナメントに進出。そこからはマッチプレーで覇権が争われます。

 マッチプレーといっても、ハンデ戦ですから、たくさんハンデをもらえるほうが有利です。私が決勝トーナメントの初戦で対戦した方は、ハンデ3。こちらは確かハンデ16ぐらいだったので、13個のハンデをもらっての勝負となります。

 その13個のハンデをどう振り分けるかというと、スコアカードのハンデ表を元にして選びます。

 スコアカードを見ると、各ホールの難しさを表すハンディキャップが記されています。「ハンデ1」というのが、そのコースで一番難しいという意味ですね。そして、おおよそ「ハンデ1」がアウトにあれば、「ハンデ2」はインにあって、うまくバラけています。その低い数字の(つまり難しい)ホールから、もらったハンデを振り分けていけばいいのです。

 対戦相手からもらった13個のハンデは、相当オイシイです。ハンデホールでは、こちらがボギーで相手がパーでも引き分けですからね。ダブルボギーを叩いても、相手がボギーなら引き分け。うまいことパーを取って、相手もパーなら、そのホールは勝ちですから。それが、18分の13もあるんですよ。実は、格上と対戦したほうがマッチプレーは有利なのです。

 実際の対戦でも、相手がパーで上がっても、こっちはボギーで引き分けというホールが多々ありました。こちらはちょうど伸び盛りですから、ダボもあれば、パーもあるゴルフ。結果的に、負けるホールよりも、勝つホールのほうが上回るのです。

 勝負の醍醐味は、グリーン上です。

 ピンから遠い人から打つので、こちらがロングパットを先に打つことが往々にしてありますが、しっかり寄せると「オーケー」が出て、相手のアプローチ待ちとなります。そこでプレッシャーがかかるのか、相手は寄せ切れず、こちらがそのホールをモノにする。そんなことも、結構ありましたね。

 駆け引きは、どのくらいの距離で「オーケー」を出すか。50cm前後の微妙な距離でも、カップの上から打つ場合は「オーケー」を出しません。ただし、30cm未満で、明らかに入る距離で「オーケー」を言わないのは失礼になります。その判断が難しいところです。

「意地悪なヤツ」と思われると、相手もなかなか「オーケー」を出しませんから。結局、すべてカップインの勝負になった、なんてこともあるとか。人間性が出ますね。

 ゴルフ漫画などでは、微妙な距離なのに「オーケー」を出し続け、最後のホールで突如「オーケー」出さない。そうすると、相手はその日に打っていない距離のパットをするはめになり、動揺してミスをする。そんな逸話もありました。

 さて、ハンデ3の方と対戦したマッチプレー初戦は、2ホールを残して私が勝利。決勝トーナメント2回戦へと進出しました。

 その2回戦、今度はハンデ22の方と対戦。逆にハンデをあげる立場となりました。"追われる立場"というのでしょうか。やってみると、結構きつかったですね。

 同じスコアで上がったら、負けになるホールが6つもあるんですよ。そのハンデホールであれば、相手がダブルボギーを叩いても、こちらがボギーなら引き分け。「マジかよぉ〜、ダボなら普通負けだろ」って叫びたくなります。

 マッチプレーで敗色濃厚となると、どこからともなくマーシャルの車がやってきて、それに乗ったスタッフから「そろそろあんた、終わりでしょ」みたいな視線を投げかけられます。

 そうして、そこで叩いて「参りました......」となると、そのマーシャルの車に乗ってクラブハウスに戻るのです。いわば、マッチプレー界の"霊柩車"登場!? いやぁ〜、負けては乗りたくない車です。が、2回戦、私はトボトボとその車に乗って、クラブハウスに戻っていくことになりました。

 とまあ、マッチプレーは相手との駆け引きがあって面白いので、たまには同伴プレーヤーと昼食争奪戦といった感じでやってみてはいかがでしょう。大叩きしても、ホールマッチは単なる1敗。あとに引きずらないのがいいです。

 もちろん、マッチプレーをするときは、ハンデを多めにもらうのが鉄則です。まあ、格下の相手が「マッチプレーやろう」とは言ってきませんから、上手い人からいかにハンデをもらうか――勝負はそこから始まっていますね。

木村和久(きむら・かずひさ)
1959年6月19日生まれ。宮城県出身。株式をはじめ、恋愛や遊びなど、トレンドを読み解くコラムニストとして活躍。ゴルフ歴も長く、『週刊パーゴルフ』『月刊ゴルフダイジェスト』などの専門誌で連載を持つ。

木村和久●文 text by Kimura Kazuhisa