連続テレビ小説「とと姉ちゃん」(NHK 総合 月〜土 朝8時〜、BSプレミアム 月〜土 あさ7時30分〜)第12週「常子、花山伊左次と出会う」第69話 第70話 6月23日(木)放送より。 
脚本:西田征史 演出:岡田健


ものすごい深刻な音楽が流れる。
ユーモア特集の企画が警察の検閲にひっかかり、谷(山口智充)編集長が捕まってしまったのだ。
動揺する編集部員たちに向かって、「社長がいない間 いかにここを守るかに専念すべきじゃないかな」と冷静に応対しようとする五反田(及川光博)。女性好きなだけじゃなく、意外と頼もしいようだ。
あわや発禁か! となったが、ユーモア特集だけ切り取って難を逃れる。でも辛いよね、せっかく思いをこめた企画なのに。花山のイラストの入ったページも切られてしまう。ああ無情・・・。

広告が入らなくなることを心配する編集部員。あ、これって、ゆくゆく広告をとらない雑誌をつくることになる伏線かも、などと、モチーフになっている実在の人物と雑誌の話を知っている人はそう思う仕掛けなのか。
ユーモアが不謹慎だという話に、現在大河ドラマ「真田丸」が大好評放送中の三谷幸喜の代表作のひとつ「笑の大学」(94年、ラジオドラマ/96年、舞台初演/2004年、映画化)を思い出す。喜劇作家が、警察による台本の検閲にあいながらそのつどアイデアを駆使して切り抜けていき、検閲と修正を何度も何度も繰り返すうち、作家と検閲係との間には最初の頃とは違う空気が流れはじめる・・・というお話。時期的に昭和15年の話で、現在昭和16年設定の「とと姉ちゃん」とかなり近い。この時期、表現の規制に多くの作家達が苦労したのだあとしみじみ。「とと姉ちゃん」でも、三谷リスペクトで検閲VS 編集者エピソードやらないかな、やるわけないか。

一方、青柳では、清(大野拓朗)がもってきた工場宿舎の仕事が、滝子の理想とはまるで違うものだったため、滝子が激怒。何が彼女を怒らせたかというと、四畳半に四人が暮らすつくりの家だったこと。これでは「暮らしってもの自体が成り立たないじゃないか!」と滝子はご立腹。確かにひとり一畳は厳しい。
だが、清は切れる。このご時世、理想を語ってる余裕などないのだ。養子であるコンプレックスに苛まれる清。戦争は、せっかくうまくいっていた人間関係までまた蒸し返してしまうのか。いやですね、ほんと。
ものすごい哀しい音楽がかかる。大野拓朗、やっぱりひざを抱えるようにして座っている姿が絵になる。
全体的にしょんぼり回。これからはしばらく戦争に苦しむ描写になっていくのだろうか。救いは、谷や五反田たちの仲間と出版に対する信念の強さだ。
(木俣冬)