知ってる? 「妊娠中に食べるといいもの」

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執筆:山本ともよ(管理栄養士)


妊娠中はバランスの良い食事を心がけることが大切です。それに加え、妊娠中には特に積極的に摂って欲しい栄養素があります。妊娠中の食事法についてご紹介します。

積極的に摂りたい栄養素は?

葉酸

●含まれる食品:ほうれん草、ブロッコリー、アスパラ、枝豆、納豆など


細胞を作るのに欠かせない栄養素で、特に、初期の胎児の発育に重要と言われています。妊娠初期に不足すると「神経管閉鎖障害」という胎児の先天異常のリスクが高まります。妊娠していない場合の推奨量は、1日に240μgですが、妊娠時は1日に400μgの摂取が望まれています。

亜鉛

●含まれる食品:牡蠣、牛赤身肉、粉チーズ、卵、アーモンドなど


細胞分裂を促し、順調な発育をサポートします。妊娠中は赤ちゃんに優先的に使われるので、ママは不足となりがちです。また、つわりの原因は明確になっていませんが、亜鉛はつわりの症状緩和につながることがわかっています。女性ホルモンの分泌や自律神経のバランスを保つのに働くことが関係していると考えられています。

鉄分

●含まれる食品:レバー、赤身肉、卵、がんも、胚芽米、ひじきなど


赤血球のもととなり、身体中に酸素や栄養素を運ぶのに働きます。食事で摂った分だけでなく、母体に蓄えられている分も優先的に胎児の発育に使われます。その結果、母体は貧血になりやすいのです。

カリウム

●含まれる食品:さつまいも、ほうれん草、アボカド、バナナなど


妊娠中は、赤ちゃんに栄養を送るため、母体の血液循環量が増します。そうすると、水分バランスの調整もしづらくなり、むくみやすくなります。また、体内の塩分濃度が濃くなると、それを薄めるためにさらに水分量が増え、むくみの原因になります。カリウムは、余分な水分や塩分を身体の外へと排出させてくれる働きを持っているため、むくみを解消する効果があります。

食物繊維

●含まれる食品:(水溶性食物繊維)アボカド、オクラ、山芋、きのこ、納豆など。(不溶性食物繊維)切干大根、おから、小豆、野菜など


妊娠中は、黄体ホルモンの分泌により腸の蠕動運動が低下し、子宮が大きくなります。そうすることで大腸圧迫や腹筋力低下もあり、水分不足なども加わって便秘になりやすいのです。そこで、食物繊維を積極的に摂ることが重要です。腸内環境を調える水溶性食物繊維と、水分量を調整したり蠕動運動を促す不溶性食物繊維の両方摂ったりすることを心がける必要があります。

妊娠中におすすめしたい食材は?

妊娠中はいつも以上にエネルギーが必要である一方で、体重コントロールも必要な時期。ストレスを溜めないことも大切ですから、バランスのとれた食事の1品や間食でつまむのにもおすすめ食材をご紹介しましょう。

ドライプルーン


水溶性、不溶性両方の食物繊維が豊富です。また、葉酸、亜鉛、鉄分、カリウムなどのミネラルも摂ることができます。妊娠中は何かと便秘になりやすいですが、プルーンをたべることで便がやわらかくなり、お通じがよくなります。

ドライプルーンは生のプルーンよりもビタミンB6の栄養価が約5倍、カリウムは約2倍にまで増えます。プルーンを食べるときは、生のプルーンよりも乾燥させたドライプルーンがオススメです。ただし、食べ過ぎは糖分の摂りすぎにつながります。1日3〜5個を目安に摂りましょう。

アーモンド


亜鉛は動物性食品に多く含まれるので、手軽さには欠ける栄養素。そんな中で、アーモンドには亜鉛が豊富です。1日10粒程度を目安に摂りましょう。

枝豆


実は、豆ではなく野菜に分類される枝豆。海外セレブにも支持されるほど、その高い栄養価が注目されています。冷凍食品でも、最近の技術の向上により栄養価はほとんど変わらないと言われています。


妊娠は、食生活を見直す良いきっかけになります。ぜひ、身体のことを考えたバランスのいい食事を実践しましょう。


<執筆者プロフィール>
山本ともよ(やまもと・ともよ)
管理栄養士、サプリメントアドバイザー、食生活アドバイザー
株式会社 とらうべ 社員。企業で働く人の食と健康指導。糖尿病など疾病をもった人の食生活指導など活動中