ヒトは「糖」によって生きるにあらず!? 栄養学の新たな常識

写真拡大

ごはんやパンといった炭水化物から得られる糖質は、生命を支える重要なエネルギー源である…というこれまでの常識は間違っていたのかもしれない。医師・宗田哲男が語る、栄養学のコペルニクス的転回。(『WIRED』 VOL.22より転載)

「ヒトは「糖」によって生きるにあらず!? 栄養学の新たな常識」の写真・リンク付きの記事はこちら

INFORMATION

VOL.22特集「未来の処方箋」より転載

2016年4月9日発売の『WIRED』日本版に掲載した記事より、未来の常識になるかもしれない8つの「処方箋」を順次公開。超簡単な遺伝子編集技術、細胞ナノスキャン、ゲーム治療、ミトコンドリアや皮膚から見えてくる新しい健康法…。関連記事は、こちらより。

人類が組織的な農耕をし始めたのは、およそ紀元前8,000年ころだと考えられている。それはつまり、農耕が始まるまでの約700万年間(要するに進化に費やしたほとんどの期間)、人類は狩猟、漁労、採集を中心として生きてきたことを意味している。これを現代の栄養学的にいいかえれば、人類は誕生からほとんどの時間において「糖質制限」をしていたということになる。

「人体には本来、穀物に依存して生きるような遺伝的システムはないのです」

そう語るのは、医師の宗田哲男である。糖質(炭水化物)の代表格であるブドウ糖は、通常カラダのエネルギー源だと広く認知されているが、生命活動に必要なのは、実は体内の脂肪の分解によって生まれる物質=ケトン体なのだと宗田は主張する。

「お腹の中の赤ちゃんは、母親が糖質制限をしている、していないにかかわらず、血中のケトン体濃度がとても高い。これは、脂質を使った代謝こそが人類の本来の姿だという証だとわたしは捉えています。食生活や栄養学に関する常識を、見直す時期がきていると思います」

ケトン体は自己主張しない縁の下の力持ち。糖質は派手で依存状態を引き起こす。この体内エンジンの覇権争いは、注意深く見守る必要がある。

宗田哲男|TETSUO MUNETA
医師。1947年生まれ。宗田マタニティクリニック院長。地質調査等に従事したのち医師へ転身。著書に『ケトン体が人類を救う 糖質制限でなぜ健康になるのか』。

INFORMATION

『WIRED』VOL.22「BODY & HEALTH 病気にならないカラダ」

先端科学とテクノロジーは、ぼくらのカラダをいかに変えていくのか? 微生物・量子・遺伝子から見えてくる身体の新常識、21世紀のヘルスを拓く施設、そしてウェアラブルや遺伝子編集などのテクノロジーがもたらす「未来のヘルスケア」を読み解く。第2特集「イスラエル ゼロワン国家の夢」のほか、人間と囲碁AIの頂上決戦を目撃した4人の証言、映画『レヴェナント』の音楽を務めた坂本龍一&主演レオナルド・ディカプリオの独占インタヴューを掲載。