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●女性ホルモンが体に与える影響は多岐にわたる
女性の体と心に大きな影響を与える女性ホルモン。言葉は聞いたことがあり、なんとなくその意味を知っている女性も少なくないだろうが、きちんとその役割を理解しきれているだろうか。

特に女性の場合、50歳を前後にして必ず「閉経」というイベントを迎えるため、きちんと女性ホルモンと向き合うことは必要不可欠といえる。そこで本稿では、ホルモンに詳しいAACクリニック銀座の院長・浜中聡子医師の解説をもとに、「女性ホルモンの減少が体に及ぼす影響」について紹介する。

○2種類の女性ホルモンの違いを知る

そもそも、女性ホルモンには「エストロゲン」(卵胞ホルモン)と「プロゲステロン」(黄体ホルモン)の2種類がある。

生理が終わると排卵をコントロールするエストロゲンが徐々に分泌され、およそ2週間後にピークを迎えて排卵を終えた後、エストロゲンの量も減少する。入れ替わるようにプロゲステロンの量が増えていき、28日前後の周期で来る生理を前に次第に減少し、生理を境にまたエストロゲンが増えていくという仕組みで、生理前は2つの女性ホルモン共に分泌量が低くなる。

分泌量そのものは20代でピークを迎えて漸減していき、40代後半から50代前半にかけて一気に減少し、閉経期を迎える。ではこの2種類の女性ホルモンが不足してくると、体には一体どのような変化が訪れるのだろうか。下記に代表例をまとめたので参考にしてほしい。

女性ホルモン不足による症状

生理痛 / 乳房痛 / セルライト悪化 / 下腹部や太ももへ脂肪が付きやすくなる / 小じわ増加 / 骨がもろくなる / 薄毛 / 脂質代謝力減少 / ほてり(主に更年期障害) / ホットフラッシュを含む発汗(主に更年期障害)など

「体の不調ということでいえば、30〜40代の女性であれば生理痛が多いです。『生理休暇というのを聞いたことがありますが、とてもじゃないが取得できません』と相談されてくるなど、痛みがひどくても我慢されてらっしゃる方もいらっしゃいます。更年期の女性で目立つのは、ほてりと発汗ですね」と浜中医師は語る。その他では「おなかが緩くなる」「胸に張りが出てくる」などもあるという。

○生理の影響を受けやすいのはエストロゲン

先述の生理周期でいえば、2つの女性ホルモンにおいてエストロゲンの方が影響を受けやすい。エストロゲンは「女性らしさ」と結びついている部分が大きく、「髪をつややかに保つ」「肌に潤いを持たせてしわを少なくする」という作用を持つ。

一方で女性ホルモン減少は慢性的な疾病にも関わってくるため、年齢を重ねてきたら要注意。脂質代謝が下がれば高脂血症や動脈硬化のリスクも上がるし、骨粗しょう症は寝たきりの原因にもなる。

「さらに女性ホルモンは脳の機能にも関わってきます。アルツハイマー型認知症はエストロゲンレセプター(受容体)との関連性がこれまでの研究で指摘されており、女性ホルモン量が多い方が脳の機能が安定します」と浜中医師。このように、女性ホルモンが体に与える影響は多岐にわたる。

●キーワードは「食」と「ストレスフリー」
これらの体に現れる不調を少しでも和らげるためにできることについて伺ったところ、その一つに「食」というキーワードが浮かび上がった。

食生活で言えば、たんぱく質やビタミン、ミネラルをしっかりと摂取したうえで、脂質をなるべく減らすようにする。場合によってはサプリメントやハーブの助けを借りるという選択肢もあるという。

「サプリメントで言えば、大豆イソフラボン配合の製品や場合によってはプラセンタもありえます。ハーブではブラックコホシュやレッドクローバーなどですね」。

アメリカのハーブであるブラックコホシュは『ファイトエストロゲン』と呼ばれ、「ホルモンにしっかり作用するものを摂(と)ることで、エストロゲンと同様の効果が期待できる」と現地で人気があるとか。

もう一つのキーワードとしては「ストレスフリー」。運動で汗を流したり、リラックスしたりすることも女性ホルモンにとっては重要だ。

「リラックスという意味でヨガをやったり、アロマテラピーをやったりと人それぞれの方法で自律神経を整えましょう。現代人は過労を放置しない、つまり『ストレスをためすぎない』ということに気をつけてほしいですね。ストレスがたまることで免疫力も落ちますし、ホルモンの分泌も抑えられてしまうので」と浜中医師は指摘する。

○女性ホルモン減少の"サイン"を見逃さない

生理周期に伴う体の不調は自分で把握しやすいが、明らかにそのサイクルから外れたところで今回紹介したような症状が出てきたら気をつけよう。それは女性ホルモンの分泌量が恒常的に減ってきていることの"サイン"だからだ。

骨や脳機能は別として、毎日鏡を見ている女性ならば髪や肌の異常は比較的すぐに気づくはずだが、「その時」の到来を少しでも遅くできるよう、毎日の食事やメンタルヘルスに気をつけて日々の生活を過ごそう。

※写真と本文は関係ありません

○記事監修: 浜中聡子(はまなか さとこ)

医学博士。北里大学医学部卒業。AACクリニック銀座院長。米国抗加齢医学会専門医、国際アンチエイジング医学会専門医などの資格を多数取得。アンチエイジングと精神神経学の専門家で、常に丁寧な診察で患者に接する。

(栗田智久)