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上野にある国立西洋美術館が専門家による諮問機関から登録勧告されたことで、2016年の世界遺産登録がほぼ確実になったことから、にわかに近現代建築が脚光を浴びています。国立西洋美術館を設計したル・コルビュジエは「近代建築の三大巨匠」と呼ばれるのですが、残りの2人はご存知ですか?

○三大巨匠、世界遺産コンプリートのはずが……

ひとりはミース・ファン・デル・ローエで、チェコにある『ブルノのトゥーゲントハート邸』が世界遺産に登録されています。そしてもうひとりが、フランク・ロイド・ライトです。実はライトの作品群も、2016年の世界遺産登録を目指しているのです。アメリカにある10の建築物が選択されており、中にはニューヨークのグッゲンハイム美術館(有名な渦巻き状の建物です)等が含まれています。

ライトも登録されれば、三大巨匠の世界遺産コンプリートとなるので個人的に楽しみにしていたのですが、先日ユネスコが公開した諮問機関の勧告をみると、「登録延期」になっているじゃありませんか!

○管理計画に対しても指摘あり

諮問機関の勧告は、「登録」「情報照会」「登録延期」「不登録」の4段階に分かれます。「登録」以外は、登録に値しないという評価なのですが、その中でももう少しで登録に手が届く「情報照会」、そして登録はかなりきびしいと思われる「登録延期」、どう転んでも登録はありえない「不登録」に分かれています。

実際の審議は、この勧告を参考にして7月の世界遺産委員会で行われるのでまだ結果は分からないのですが、ライトの登録はかなり微妙です。勧告の文書を読むと、彼の全作品の再定義が必要であるとか、全体的な管理計画が不十分、遺産の周辺に設けられる緩衝地帯の設定をやり直し、といったようなことが書かれていました。

思い返すとコルビュジエの推薦も波乱万丈で、過去に世界遺産委員会で2回審議されながらも登録にいたりませんでした。そのため、今回は3度目の正直となります。建築物は、その存在が同時代や後世の建築にどのような影響を与えたかというところが評価の大きなポイントになります。しかし、近現代建築に関しては現在進行形で展開しており、まだ定義や評価が定まっていないということが登録を難しくしているのかもしれません。

フランク・ロイド・ライトは自然と一体となるような建築が特徴です。日本ともゆかりがあり、大正時代には帝国ホテル本館(現在は明治村に移築)や東京・池袋の自由学園明日館などを設計しています。登録の行方はまだ何とも言えませんが、日本でも巨匠の作品を見学することができますから、訪問先リストに加えてみるのもいいかもしれませんね。

○世界遺産データ

フランク・ロイド・ライトの建築群。暫定リスト(文化遺産)。アメリカ

○グッゲンハイム美術館

○筆者プロフィール:本田 陽子(ほんだ ようこ)

「世界遺産検定」を主催する世界遺産アカデミーの研究員。大学卒業後、大手広告代理店、情報通信社の大連(中国)事務所等を経て現職。全国各地の大学や企業、生涯学習センターなどで世界遺産の講義を行っている。
○世界遺産検定とは?

世界遺産の背景にある歴史、文化、自然等の理解を深め、学んだことを社会に還元していくことを目指した検定。有名な観光地のほとんどは世界遺産になっているため、旅の知識としても役立つと幅広い世代に人気。
主催:世界遺産アカデミー
開催月:3月・7月・9月・12月(年4回)
開催地:全国主要都市
受検料:4級2,670円、3級3,900円、2級5,040円、1級9,250円、マイスター1万8,510円、3・4級併願6,060円、2・3級併願8,220円
解答形式:マークシート(マイスターのみ論述)
申し込み方法:インターネット又は郵便局での申し込み
その他詳細は世界遺産検定公式WEBサイトにて

(本田陽子)